地球の調べ方
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Essay■ 5_181 酸素と自転 2:原始の大気
Letter■ 卒業研究のツメ・里の冬も近い
Words ■ 日々の冷え込みが進んでいきました


(2021.11.11)
 現在の地球は、酸素を含んだ大気になっています。過去から現在までの酸素の濃度の変化がわかるのでしょうか。そもそも地球の創成期の大気は、どのようなものだったのでしょうか。どのように探っていけばいいのでしょうか。

Essay■ 5_181 酸素と自転 2:原始の大気

 地球の酸素濃度と自転速度に関連性があるという報告がありました。そのために、まずは地球の酸素の起源を見ていきましょう。
 過去や太古、あるいはできたときの大気の組成は、もはや地球には残されていません。現在の地球の大気には、酸素が20%ほど含まれています。大気は全地球で循環しているので、組成は地球のどこでも均質な値となっています。ですから、地球の過去の大気の組成やその濃度の変化を調べることは、現在の大気からはできません。どうすれば、原始の地球の大気を探ることができるでしょうか。
 地球の原始大気はいくつかのアプローチで探求されています。ひとつは、惑星の材料となった隕石(始原的隕石と呼ばれています)からの探求です。始原的隕石のガスになる成分(揮発性成分と呼ばれます)は、二酸化炭素や窒素、水蒸気が含まれていることがわかってきました。材料からもたらされるガスの成分が、原始の大気になるはずで、その組成は二酸化炭素、窒素、水蒸気が主成分と考えられます。そこには、酸素は含まれていませんでした。
 次は、比較惑星学からのアプローチです。太陽に近い側にある隣の惑星の金星は、地球(100kPa)の100倍近い大気圧(9321.9kPa)になるのですが、その主成分は二酸化炭素です。遠い側の隣にある火星の大気は、100分の1程度(750Pa)ですが、主成分はやはり二酸化炭素です。このような地球両側の惑星は、形成時の大気が今も残されているようです。それらの惑星が大気圧は大きな差があるのですが、似た大気組成をもっています。そのような比較から、地球の創成期も、酸素がなく二酸化炭素が主成分の大気だったと推定されます。
 地球内のアプローチとして、堆積岩が利用されます。堆積岩は、海底で堆積し地層となります。海水は地球表層の環境を記録します。大気とも接しており、大気の痕跡も地層に記録しています。もし大気中や海水中に酸素があれば、酸化された鉱物や物質が地層の中に記録されることになります。古い堆積岩から、地球表層の環境を読み取っていくと、酸化された記録は見つかっていません。
 これらの推定や証拠から、地球初期の大気には酸素がなく、二酸化炭素が主成分であったと考えられています。
 では、いつ、どのように酸素ができ、その濃度はどのように変化してきたのでしょうか。それは次回としましょう。


Letter to Reader■ 卒業研究のツメ・里の冬も近い 

・卒業研究のツメ・
卒業研究のツメの時期になっています。
毎日、空き時間に個別の添削をしています。
最初の文章作成の指導は大変でしたが、
全員、長文の書き方を理解してきたので、
自身で書き進めるようになってきました。
毎週、少なくとも一度は添削することにしています。
定期的に添削をしいないと、
気を抜いてストップすると、一気に遅れてしまいます。
そのためにも、毎日、だれかの添削をしています。

・里の冬も近い・
北海道は、木々の紅葉も終わり、
ほとんどの葉も落ちてしまいました。
10月に一度、各地で降雪がありましたが、
その後は、寒波がないので、降雪は少ないようです。
住んでいる街では、今シーズンはまだ降っていません。
いつ降ってもおかしくない時期になりました。
自家用車は冬タイヤにしていますが。


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