地球の調べ方
戻る

Essay■ 5_175 DCO 5:生物誕生、進化の条件
Letter■ クリスマス・年末の講義
Words ■ 北海道はホワイト・クリスマスです


(2020.12.24)
 DCOのは、さまざまな研究成果を上げてきました。このシリーズで、その一部を紹介してきましたが、地球の研究が主でした。しかし、地球以外の天体にも、適用できる可能性があります。生命の誕生や存在の可能性についてです。

Essay■ 5_175 DCO 5:生物誕生、進化の条件

 前回、オフィオライトと二酸化炭素の関係を紹介しました。さらに前々回にでは、ダイヤモンドと二酸化炭素の関係を示しました。それら2つの結果を組み合わせることで、新たな仮説が生まれてきます。
 オフィオライトを構成している玄武岩やカンラン岩が、二酸化炭素と反応して炭酸塩鉱物ができることがわかりました。オフィオライトのカンラン岩に水分が加わると、蛇紋岩が形成されます。その時、メタンが形成されることも知られています。これはマントルに水があれば、メタンができる可能性を示しています。
 地下深部で形成されたダイヤモンドの中に、陸上の生物起源の二酸化炭素が見つかったことを紹介しました。ダイヤモンドには、その他のガス成分も見つかっています。成分として水やメタンがありました。水は、ダイヤモンドだけでなく、マントルの鉱物内で結晶水としても、少量ですが含まれています。特に沈み込む海洋プレートの玄武岩やカンラン岩には、かなり含まれています。DCOの研究では、マントル内の水の量は、現在の海洋の量より多いと推定されています。
 オフィオライトとダイヤモンドの2つの成果を組み合わせると、マントル内に存在する水とカンラン岩が反応すると、蛇紋岩とともにメタンができます。その深度はダイヤモンドが形成される深部であっても、メタンができることがわかっています。もし、そこにメタンを利用する生物(メタン細菌のような生物)が地下深部にいれば、マントル内も生存圏となりえます。さらに、マントル内でも、カンラン岩が反応して蛇紋岩ができるようなところは、水とメタンという生命誕生のための条件を満たしている場ともなりえます。
 つまり、地球内部で海洋プレートの沈み込みによって水やメタンが供給される場では、生命の誕生と進化の場が、昔から地球内部にあったことになります。地表や海底などと比べれは、非常に安定した環境になり、もしかすると生命がいるかもしれません。
 このような仮説は、地球外の生物の誕生も可能にします。惑星の固体物質は、鉄と岩石の成分が主となります。惑星の材料には、普遍的に水(H2O)もあります。ですから、水が循環する惑星系があれば、マントルの深部までを、生物の誕生、生存の場と考えられます。そんな指摘もDCOからなされています。表層に生物が存在するのは、特別な条件が必要ですが、地下深部なら普遍的に誕生、生存の場があるのかもしれませんね。


Letter to Reader■ クリスマス・年末の講義 

・クリスマス・
今年のクリスマスは、多くの人は自粛で過ごすことでしょう。
我が家では、子どもが小さいときは
プレゼントを渡したり、ケーキなどを食べていましたが、
大きくなってからは、特別なことはしなくなりました。
今年も、例年通り、通常の日々となります。
ただし、年末は年越しの準備をしていきます。
買い物も家内といくことにします。
今年中にしたいこともありますので、
淡々とした研究の日々を過ごしましょう。

・年末の講義・
大学の12月の講義は、今週で終わりです。
後期は、一部対面授業を再開しながらスタートしたのですが、
11月からは感染拡大のため、再び遠隔授業に切り替わりました。
在学生は、この1年間、パソコンを中心として大学生活になりました。
教員も同様で、パソコンで授業、
ゼミナールもライブですがパソコンです。
学生との個別面談もパソコンです。
すべてがパソコン経由での対人関係も進んでいます。
私も家族以外では、大学で時々会う先生くらいしか
対面で話をすることがありません。
家族がいるので対話ができるので幸いなのでしょうね。


戻る