地球の調べ方
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Essay■ 5_173 DCO 3:マントルの時間スケール
Letter■ 師走・自粛期間
Words ■ 淡々と過ごす日々を耐える


(2020.12.10)
 前回は、プレートテクトニクスとともに起こっている、大気中の二酸化炭素と海洋や岩石との炭素循環を考えました。もっと大きな時間のオーダーで、マントルでの炭素循環をみていきましょう。

Essay■ 5_173 DCO 3:マントルの時間スケール

 大気と生物の炭素循環は、長寿な樹木の成長を考えても、100年から1000年のオーダー(単位)となります。人間活動による循環の乱れも、やはり100年から1000年のオーダーでの変動となります。このような生物や人間活動の炭素の循環は、1000年のオーダーですが、時間オーダーの異なった循環もあります。
 海洋プレートを構成する岩石中に含まれる炭素の量は、他の成分と比べて、非常に少ないものです。そして、プレート運動も、年間10cmから数cmの非常に小さな移動速度です。プレートテクトニクスにおける炭素の移動量は、部分でみると微々たるものです。しかし、海溝の総延長は長大で、プレート運動も地球史の億年オーダーでの移動を考えていかなければなりません。それらの長い距離や時間で積分していくと、移動する炭素の量は莫大なものになるはずです。
 炭素だけでなく、地球規模の成分のサイクルは、数百万年から数億年のオーダーで考えなければなりません。
 もともと地球は、金星や火星のように、二酸化炭素を主成分とする大気であったと考えられています。現在では、ほとんど二酸化炭素がない状態にまで減少しています。大気から海洋、そして海洋プレートを経由して、少しずつですが、大気中の大気から二酸化炭素が取り除かれていったと考えられます。海洋プレート中に少量しかなく、少しの移動速度しかしなくても、長距離、長時間の蓄積で、大量にマントルに戻っている可能性があります。
 プレートテクトニクスによって、表層の炭素が、マントル深部に持ち込まれている証拠が見つかっています。マントル内の深部の温度圧力条件では、炭素が濃集しているところがあれば、ダイヤモンドに変わります。ダイヤモンドの形成条件は、マントル遷移層付近の410kmから660kmの深度になります。地表にもたらされたダイヤモンドの研究から、中に生物由来の炭素があることがわかりました。その量は微量ですが、表層にあった炭素が、地下深部に入り込んでいた証拠になりました。
 炭素は、数億年のオーダーで、表層からマントル深部まで循環が起こっていることになります。マントル深部の炭素は、マントルのどこに、どのような形態で、どれくらいの量があり、どれくらいの期間とどまっているのでしょうか。これらは、まだ解き明かされていない謎です。DCOが明らかにした地球深部の炭素循環を、もっと探求していく必要があるでしょう。


Letter to Reader■ 師走・自粛期間 

・師走・
12月は師走なので、本来ならクリスマスは年末や年始の準備で
世間はにぎやかになるはずなのですが、
今年はどうなるでしょうか。
ついついそんなことを考えてしまう時期です。
我が家は、子どもたちが、コロナで移動できません。
そのため、夫婦ふたりだけの年越しになります。
また、義母が今春なくなったので、
喪中でもあり、年始のお祝いはなしです。
淡々とした年末から年始になりそうです。
まあ、これは例年とあまり変わらないのですが。

・自粛期間・
北海道はコロナ感染拡大のため
自粛期間が今週の11日までとされていました。
ところが、12月になってもコロナの感染の拡大は
増加はおさまっているようですが、
今までにない大きな感染ピークが継続しています。
大学では今年一杯は、遠隔授業と決定しています。
来年のことはわかりませんが、
まだまだ予断を許さない状況になっています。


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