地球の調べ方
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Essay■ 5_172 DCO 2:表層部の循環
Letter■ 寒さとコロナと・ケイ素系生物
Words ■ 師走になってもコロナが


(2020.12.03)
 大気や生物には多くの炭素が含まれています。表層部の炭素が、どのように循環しているのでしょうか。いろいろなところがで、いろいろな形で循環しています。複雑な循環ですが、概要を見てきましょう。

Essay■ 5_172 DCO 2:表層部の循環

 私たち生物が身近に接している炭素は、体を構成している有機物としての炭素、そして大気中の二酸化炭素でしょう。植物の体を形成している炭素化合物は、生物の生態系を考えるときには、重要な役割を果たしています。
 これら表層部の炭素の循環は、観測して移動量を測定すれば、循環の詳細は解明できそうです。自然状態なら、生物の炭素は、どのような形態(化合物)、どのような生物に、どの程度の量か、それらが移動や変化があったとしても、炭素の総量は変わりません。このような炭素の循環は、生態系から解明することができます。
 ところが、人間が関与してくると、炭素の循環は乱れます。例えば、森の木を切り、耕作地にすると、その地域にあった炭素量は明らかに減ります。また、化石燃料を燃やせば、生物間を循環していない炭素を大気中に放出することになります。これまでの生態系による炭素の循環のバランスを崩していきます。これが地球温暖化の原因だとも考えられます。
 気づきにくいですが、プレートテクトニクスによる炭素の循環もあります。地球深部から上昇してきたマントルが、海嶺でマグマ活動を起こし、新しい海洋プレートが形成されます。海洋プレートは、海嶺から海底を移動して、海溝で沈み込みます。マントル物質がマグマを経て、火成岩に形態を変えて移動(対流)しているだけのようにみえます。
 しかし、海底では生物由来の深海堆積物や海洋地殻中に炭素を含む鉱物が形成されます。炭素が形を変えて海洋プレートとして海溝から沈み込んでいきます。海洋プレート中の炭素は、大気中の二酸化炭素が海水中に溶けて、沈殿や生物の殻として海洋底堆積物になったもの(石灰岩)です。また、海嶺のマグマの活動に伴って、変質・変成作用によって炭酸塩鉱物ができて加わっていきます。一方、マグマの活動で、マントル中に含まれたいた炭素が、火山ガスとして海水中に出ていくものもあります。
 海洋プレート最上部の堆積物は、沈み込みによって、陸側に削り取られて付け加わる(付加作用といいます)ことがあります。付加作用により、石灰岩が陸に持ち上げられることになります。このような石灰岩は、大気中の二酸化炭素が、海洋とプレートテクトニクスと通じて、固化したものと見なせます。陸地には大量の石灰岩があるので、大気中の二酸化炭素が、取り除かれた結果となります。
 沈み込みによって、絞り出された水分が陸側のマントルに供給されます。その水分が、マントルの岩石を溶かし、マグマを形成します。それが日本列島のような島弧で火山活動が起こします。その時、海洋プレートに由来する炭素が、火山ガスの中に含まれていることがわかっています。島弧の火山活動で、大気から海水、そして深海底にいった炭素が、再び、大気中に戻されことになります。
 炭素はさまざまなメカニズムで、大気や表層部から、地下深部へとを行き来しているようです。大気、海洋、プレートテクトニクスが連動して、炭素循環が起こっているます。見えたり、観測できる場での活動なので、実態を調べて正確に定量化していく必要があり、検討されています。炭素の地球深部と表層の循環も、地球環境の変化を考える上で、重要なテーマとなります。それがDCOの目的もでありました。


Letter to Reader■ 寒さとコロナと・ケイ素系生物 

・寒さとコロナと・
いよいよ12月です。
大学の研究室は、例年になく冷え込んでいます。
それは、コロナ対策として、廊下の窓を
朝から、何箇所か、開けているためです。
研究室は、窓を締めているのですが、
廊下から暖気が抜けていくようで、
研究室がなかなか温まらないのようです。
しかたがない対処です。
今年の冬はコロナだけでなく、
寒さとの戦いも加わりそうです。

・ケイ素系生物・
炭素は、地球生物を特徴づける元素です。
炭素は、宇宙では普遍的な元素なので、
地球生命と似た炭素系の生物が
他の天体にいてもいいはずです。
他の元素としては、周期律表で炭素の下にある
ケイ素が候補になります。
しかし、ケイ素は、液体として反応するためには
マグマの海のような条件が
維持されていなければなりません。
1000℃前後の高温でなければなりません。
惑星の条件としては、なかなか困難でしょうね。


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