地球の調べ方
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Essay■ 5_165 ケプラーからTESSへ 4:ファーストライト
Letter■ より深い探求・安全基準
Words ■ 3月も半ばになりました。速いです。


(2019.03.14)
 TESSは夏には、正式な運用がはじまりました。その時の最初の画像も公開されました。なかなか素晴らしいものでした。ケプラーよりずっと広域を観測できます。TESSは今後2年間の運用が予定されています。

Essay■ 5_165 ケプラーからTESSへ 4:ファーストライト

 TESSは、2018年4月18日に打ち上げられ、5月17日には最初のテスト画像が送られてきました。テスト画像は、4つあるCCDのうち1台を使って、たった2秒の露出での撮影されたものでした。軌道もまだ定まっていない状態での、CCDのテストでした。そこには12の星座が含まれており、非常に広い範囲の星が写っていました。
 8月7日には、4台のCCDをすべて使って、30分かけて撮影した画像「ファーストライト(first light)」が公開されました。これは、本格的な観測をはじめた、最初の正式な画像になります。非常に広い範囲が撮影されています。その後、観測は順調に進んでいるようです。
 さて、TESSはトランジット法を用いています。恒星の前を横切った惑星による明るさの変化を調べる方法ですから、継続的に観測していくのが、最もはっきりと惑星の存在を検証できます。そのため、同じ恒星を長期間、継続的に観測することが有効な方法となりますが、CCDの範囲の領域しか観測できません。
 一方、広い範囲、できれば星域全体を観測するためには、同じ領域ばかりを観測はできないので、断続的になりますが、定期的に繰り返し観測することになります。
 惑星の探査では、継続観測で検証の精度、「質」をとるか、広域観測で「量」をとるか、の選択となります。系外惑星の観測は、ケプラー宇宙望遠鏡でもまだ星域の一部しかなされていません。そのため、NASAは、「量」を選択しまし、まずは基礎的な記載を進めることにしました。
 研究にはいろいろな段階があります。予察、記載、一般化、より深い探求など、さまざまなレベルがあります。ケプラー宇宙望遠鏡は、予察にあたります。ある星域を定めて、そこだけを精密な観測をおこなったら、どの程度の確実な系外惑星が発見できるかというものでした。その結果、2600個以上の惑星の存在を検証しました。
 TESSでは、2年間でファーストライトの26倍の領域の観測をおこないます。ほぼ全星域で、系外惑星の有無の記載がなされることになります。このプロジェクトが完成すれば、個々の系外惑星で、精密な探査が進めらていきます。その精密探査も、ケプラーの成果からすでに進められていると思います。今後の成果に期待したいものです。


Letter to Reader■ より深い探求・安全基準 

・より深い探求・
ケプラーもTESSも、最も期待される成果は、
地球型惑星の存在を検証することです。
地球型惑星の確実な証拠は、
水が存在するかどうかが重要になります。
遠くの天体、それも恒星の横切るだけで
その存在が確認された惑星で、
水の有無を検証するのは、難しいものでしょう。
まして生命の存在の可能性については
もっと難しい観測になるはずです。
技術や科学は、大きな飛躍がありえますので、
その飛躍に期待したいものですね。

・安全基準・
TESSが2年間の運用予定なので、
装置自体はその間大丈夫なように設計されています。
安全基準は、1.5から2倍程度の余裕をもって
設計されていることになります。
2年の運用を目指していますが、装置が持てば、
もっと長く運用されるはずです。
そして、さらなる成果が挙げられます。
しかし、まあこれはとらぬ狸の皮算用ですね。


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