地球の調べ方
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Essay■ 5_164 ケプラーからTESSへ 3:後継機の性能
Letter■ 研究費・三寒四温
Words ■ 大学はいよいよ卒業の時期です


(2019.03.07)
 ケプラー宇宙望遠鏡の後継機は、すでに打ち上げられています。その運用もすでにはじまっています。後継機の性能は、ケプラーを大きく上回るものです。後継機の観測が順調なら、系外惑星の探査に大きな進展が期待できます。

Essay■ 5_164 ケプラーからTESSへ 3:後継機の性能

 ケプラー宇宙望遠鏡の運用が停止されたことは、前回のエッセイで紹介しました。宇宙空間から太陽系外の惑星探査するための次なる望遠鏡が、すでに打ち上げられています。その宇宙望遠鏡はTESSと略されています。TESSは、トランジット系外惑星探索衛星(Transiting Exoplanet Survey Satellite)の頭文字をとったものです。トランジットの効果で、系外惑星を探査するための衛星です。TESSは、2018年4月18日に打ち上げがおこなわれました。6月25日には通常の科学的観測をはじめました。
 この衛星にはいくつかの特徴があります。アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)がGoogleの基金を受けて設計したもので、月との共鳴軌道をとっています。ただし、その軌道は北天と南天の両方の観測するために、ケプラー宇宙望遠鏡とは違って、非常に離心率が大きなものとなっています。その起動は、非常に安定した軌道となっています。さらに、地球のバンアレン帯の外側を巡る軌道なので、機体が損傷する危険性を抑えることもできます。2週の周期で地球をまわっています。もっとも地球に近づいた時、3時間ほどかけて、2週間貯めていた観測データを送信します。
 TESSは、CCDを4台を用いて撮影します。ひとつのCCDは、16.8Mピクセルあり、縦横24度の角度が撮影できます。CCDは、縦に4つ並んでいて、96度の広範囲の撮影が一度にできるように配置されています。
 TESSのCCDでは、ケプラー宇宙望遠鏡より350倍の広さを観測できます。これは全星域の85%にあたります。TESSの観測では、ほぼ全星域の基礎的な観測ができるようになります。これは、非常に重要な点です。NASAは、網羅的な系外惑星の記載を、この観測で一気に進めていく方針のようです。
 TESSでは、12等級より明るいG型とK型の恒星や、地球の近くの赤色矮星も合わせて、約50万個の観測をおこなう予定です。その成果として、地球サイズより大きい系外惑星で、2ヵ月以内の公転周期をもったものが、1000個から1万個の候補が発見できると期待されています。


Letter to Reader■ 研究費・三寒四温 

・研究費・
最近はいずれの国も経済的に苦労しているので
科学、特に基礎科学への税金の投入は控えめです。
日本では、集中投資をして、選ばれた研究への重点投資をします。
これはこれはいい考えなのですが、
本庶佑(ほんじょ たすく)先生は
「基礎研究を計画的に長期的な展望でサポート」
の重要性を指摘していますが、大いに共感できます。
どこから研究の芽が生まれるかは、だれにもわかりません。
日本の重点投資は、今後発展しそうな研究への投資にみえます。
いってみれば見返りの期待できる投資です。
見返りの不明な投資が、日本では少ないようです。
今回のTESSのような投資ができるアメリカ合衆国は
科学の先進国として君臨している理由がわかります。

・三寒四温・
北海道は三寒四温で寒暖が繰り返されています。
主だった道路の雪は溶けてきました。
しかし、今年はドカ雪が多かったのと
各家庭に除雪機が普及しているので、
庭先の雪の残雪量は、
例年になく高く積み上がっているように見えます。
しかし、我が家は家内が手作業で除雪をしているので、
それほど高くはなっていません。
道路が早目に溶けているので、
ぐしょぐしょの水たまり状態はなさそうなので助かります。


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