地球の調べ方
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Essay■ 5_159 火星の水 4:地下の水
Letter■ 通常号・後期のスタート
Words ■ 被災地、北海道は、秋めいていきました


(2018.09.20)
 火星の地下に広がる氷の下に、H2Oの水がある可能性が示されました。複雑な解析や前提があるのですが、今まで生物の存在に対して、否定的な状況だったのですが、これは明るい材料となりそうです。

Essay■ 5_159 火星の水 4:地下の水

 火星の表層には、恒常的なH2Oの水はないのですが、地下で水を見つけたという報告がありました。
 火星の南極には、H2Oの氷があります。氷だけでなくチリも混じっている、多層構造になっているようですが、巨大な氷を主成分とする塊があります。広さは200 kmもあるようです。オロセイさんの報告では、それらの氷の層の下、1.6 kmほどの深さのところに、20 kmの広さにわたって、明るく見えるレーダーの反射が見つかりました。
 この明るい部分は、氷の可能性もあったのですが、堆積物の組成や地下の温度構造を想定して、詳しく解析していきました。この明るい部分は、固体状の物質としては強すぎるため、液体の水が染みこんだ堆積物と氷との境界面であることだと推定されました。さらに、装置の検出限界を考えると、液体の水の厚みは、少なくとも数十cm以上となると推定されています。
 かなり複雑な処理をしていますし、いくつかの仮定もおいているので、今後も検討が必要になります。もしこれがH2Oの水の層だとしたら、という仮定が持てるような根拠ができのです。
 この水の層は、地下の深いところに、広くひろがっているので、恒常的に存在しそうです。この水が、どのようにできたのか、そしてどれくらい前にでき、途絶えることなく継続しているのか、などの疑問は今後、解かなければなりません。これまでは、火星生命の探査では、否定できな証拠しか出てきませんでした。これは、火星生命にとっていは、非常に有望な証拠となります。
 もし火星に生命が誕生していれば、そして地球生物のように水を基本的に必要とするものであれば、この水の存在は重要な意味を持ちます。火星には、かつては海や河川もありました。その頃に誕生した生物が、火星の表層から海や河川が恒常的に存在できなくなるような環境になってきたとき、この地下の氷の下に逃げ込んだかもしれません。そして、水が長期間存在していれば、今でも生きのびているかもしれません。などという妄想がもてるようになりました。
 少々深いところですが、この水の層までボーリングすればいいのです。そして、そこに生物いるかどうかをチェックすればいいのです。火星生物の存在する可能な環境が見つかってので、その検証ができるのです。今まで生物の現在の生存にとって、あまり有利な証拠はなかったのですが、今回の報告は希望が持てるものとなりました。


Letter to Reader■ 通常号・後期のスタート 

・通常号・
前回は、北海道胆振東部地震で、
急遽作成したエッセイを配信しました。
今回は通常号に戻って、続きのエッセイとなります。
火星の水は、生命の起源となったのでしょうか。
生命は誕生したとしても
現在まで生き延びるは大変だったでしょうか。
真実を知りたいものです。
今後の探査や研究が待たれます。

・後期のスタート・
大学の授業がはじまりました。
地震の被害を受けた学生はいないようですが、
精神的にダメージを受けた学生はいるようです。
一人で地方から出てきた学生にとって、
知り合いの少ない都会での被災は、
心細い思いをした学生もいるようです。
自宅で家族と共に過ごしても、
精神的には疲労感があったのですから、
一人暮らしの学生には辛い体験となったようです。


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