地球の調べ方
戻る

Essay■ 5_158 火星の水 3:科学的後退
Letter■ 熱中症・老母
Words ■ 北海道は涼しいです


(2018.09.06)
 存在が証明できれば、そこから次なるステップにいけます。しかし、存在が証明できないときは、後退を余儀なくされます。どのような後退の仕方をするかも、なかなか悩ましい問題です。

Essay■ 5_158 火星の水 3:科学的後退

 科学は面倒くさい手段を取っていきます。科学的な証明は、証拠と論理に基づいてなされていきます。例えば、火星生命や化石が発見されとしたとしましょう。その生命や化石をだれでも調査でき、検証できれば、その存在証明ができます。その後、生物がどのように誕生したのか、どのような生物なのか、地球生物との共通点と相違点などが、次なるステップとなるでしょう。現状までに、何度かの探査が繰り返されてきたのですが、まだ火星生命(化石)の存在は、確認ができていません。少なくともすべての科学者が納得できるような証拠は、出されていません。
 生物の存在が証明できないのであれば、研究を諦めるかというと、一歩下がってスタートすることになります。
 火星には、生命が誕生でき、長く生存でき、進化できるような条件を満たしていたのか、などを探ることです。前回紹介したH2Oの液体の存在が、生命の誕生にとって非常に重要な条件だと考えられています。ですから、液体の水を火星で見つけることに重点がおかれることになります。
 このステップに関しては、成果を上げています。かつては、水が存在した証拠は見つかっています。火星には、海にできる海岸地形や、河川がつくりだした地形があることは、火星表層の詳細な地形調査でわかってきました。
 2015年のNASAが、火星の表面で「過塩素酸塩」を検出したいう報告をしました。過塩素酸塩は、水が存在しなければ、合成されない物質です。それまでにも、この物資は発見されていたのですが、今回は地質学的に重要な意義を持つ場所で見つかりました。火星には、斜面で、暗い筋ができたり消えたりするところが見つかっていました。それは、季節変化だと考えられていました。5年前に見つかっていた筋で、この物質が発見されました。2つの根拠から、水が存在するとされていました。ただし、水を直接、検出したわけでありませんでした。
 火星の両極には白っぽく見える氷があります。その大部分は二酸化炭素の個体ですが、一部はH2Oの氷であることもわかっています。ですから、恒常的にH2Oの氷があることはわかってきました。
 生命誕生や進化には、液体の水として、長期に渡って継続的に存在している場所があるかどうかが重要になります。もし、現在も生きている生物が存在するならば、そのような現在も水の存在することが不可欠になるはずです。
 これまで、液体の水の存在は不明でした。火星表面は詳細に調べられているので、大規模な海や恒常的な河川はありません。季節変化でできる河川はありそうですが、それは恒常的な水の存在ではありません。
 あるとすれば、地下になるでしょう。しかし、氷ではだめです。液体の水が重要です。オロセイさんたちは、地下でH2Oの液体を発見したとサイエンス誌の報告しました。その手段は、軌道上の探査機のレーダーでした。詳細は次回としましょう。


Letter to Reader■ 熱中症・老母 

・熱中症・
先週は、帰省していました。
暑かったです。
北海道は涼しかったので、バテてました。
暑い中、母に関する所用で
あちこち、歩き回ったので、
夜、調子が悪くなってきた。
熱中症になってしまいました。
2日間不調で所用を
こなすのに支障をきたしました。

・老母・
酷暑の京都で、母は一人で、
かなりよぼよぼになっていますが、
たくましく生きています。
毎日、連絡をとっていたのですが、
いつも暑いという言葉を聞いていました。
その暑さは実感しました。
北海道に来ていれば、暑く苦しい思いをしなくて
すんだはずなのですが、まあ、母の希望です。
独居できるかぎり、現状で暮らせればと思います。
子としては、そんな母を
できる限りサポートするしかありません。


戻る