地球の調べ方
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Essay■ 5_130 新しい天体
Letter■ 準惑星の導入・年末は
Words ■ クリスマス・イブには星の話を


(2015.12.24)
 今日は新しい星の話をしましょう。新しい星とはいっても、天体が新たにできたわけではなく、発見されたという報告です。新しい天体、珍しい天体を何度か紹介したこともあるのですが、今回は太陽系内の特別なところにある天体です。


Essay■ 5_130 新しい天体

 新しく見つかった天体を紹介をします。新しい天体は、毎年たくさん見つかります。探査衛星ケプラーによって、太陽系外の惑星が多数見つかていることは、以前「5_109 地球型惑星 2:ケプラー」などでも紹介しました。太陽系外惑星ではなく、太陽系内での発見です。太陽系内でも小惑星帯(火星と木星の間)では、多数の惑星が、今でも発見されています。ただし今回は、小惑星帯でもないところから発見された惑星の話しです。
 太陽系内で小惑星帯以外で発見されるのは、カイパーベルト(正確にはエッジワース・カイパーベルト)とよばれている太陽系の一番外の惑星(海王星)より外側にある帯です。カイパーベルトには冥王星のような準惑星と呼べるようなサイズの天体から、小さなものまでたくさんの天体があります。
 太陽系内で、これまで一番遠くで見つかっていた天体は、エリスと呼ばれるもので、太陽から約145億km(97天文単位。1天文単位は太陽と地球の距離である約1.5億kmのこと)離れたところにあります。エリスは、冥王星と同じくらいの大きさがあり、準惑星とされています。
 今年11月13日に新たに報告されたV774104と呼ばれている天体は、エリスよりもっと外側で、太陽系で最も遠いところで見つかったものとなりました。太陽からの距離は、約154億km(103天文単位)とされていますが、その軌道はまだ正確には定まっていませんし、その大きさも500〜1000kmと不確かです。ただしその軌道は、冥王星の40天文単位と比べると、3倍以上の遠いところにあることは確かなようです。
 かつて(古典的、あるいは狭義と呼ばれています)カイパーベルトは50天文単位あたりまでとされていたのですが、それより外側にも天体があると考えられていました。そして今回発見されたV774104は、103天文単位の軌道で海王星の影響がおよぶ範囲(50天文単位)よりずっと外側、カイパーベルトのかなりはずれになります。
 カイパーベルトより外側にも多数の天体が存在し、「彗星の巣」となっていると推定されているオールト雲と呼ばれていることろがあります。V774104は、オールト雲の一番内側にあたる「内オールト雲」に位置する天体かもしれないと考えられています。
 今回発見された遠くの天体は、大きさもそれほどではなく、情報も不確かです。しかし、それがそこにあるということが、重要な情報になります。存在が自体が、仮説から実体のあるこを示す証拠となります。肉眼ではみえない星ですが、遠くのかすかな痕跡でも新しい発見の話もいいものですね。


Letter to Reader■ 極小と極大の連結・心残りままに 

・準惑星の導入・
準惑星エリスは、冥王星を惑星から引き下ろす
きっかけとなった星です。
このエリスの発見した研究者は、
サイズからすると惑星になると命名しようとしたのですが、
惑星の命名の規則がありませんでした。
これまで新たな惑星が発見されるとは
考えられていなかったのです。
今後太陽系内で似た星の発見があったときや、
太陽系外でも惑星らきものが見つかった時
そもそも惑星とは何かという定義が
なされていなかったのです。
そのことにエリスの発見で気づいたのです。
その結果、いろいろな議論を経た後
現状のように準惑星という分類が導入されました。
新しい発見は、時に今までの考え方に
変更を迫ることもあるのです。

・年末は・
大学は23日の祝日は通常通りに講義があり、
あとは年末年始の休講に入ります。
しかし、教職員は講義がなくとも
25日まで仕事があります。
私は、26日も出る予定があります。
年末もどうなるか不明です。
まあ、我が家では、年末年始は
特別なことはあまりしませんので
私がいなくても、いつもとは変わりはないのですが。


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