地球の調べ方
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Essay■ 5_112 炭素14年代 1:年代測定
Letter■ ホッと一息・ジレンマ
Words ■ 本当にホッとできるのか?


(2013.07.18)
 年代測定の結果は、「○○年前」と表記されます。放射性年代の原理によって、言外に「現在から」という意味が含まれています。「現在」として「2013年」か「1950年」かは、何万年前、何億年前の年代であれば、誤差ですみますが、新しい年代だと、「現在」をいつにするのかによって問題がでてくる可能性があります。そんな年代測定として炭素14の年代があります。


Essay■ 5_112 炭素14年代 1:年代測定

 ある物がいつできたかを知りたい時、年代測定をします。いずれの年代測定も、特別な装置を用いますので、だれでもできるものではありませんが、年代という情報は多くの人が接っするようになってきました。
 年代測定に、いくつかの方法がありますが、放射性核種による年代測定がよく用いられ、放射年代や絶対年代とも呼ばれています。
 放射性核種は、ある一定のスピードで崩壊していきます。崩壊のスピードは、半減期や崩壊定数として表されますが、地球の自然状態(核融合や中性子の照射などが起こらないようなところ)では、定まった値を持っています。いったんできた放射性核種は、一定のスピードで壊変するという原理になっているということです。この原理を年代測定として利用します。
 もともとの放射性核種の量(比や個数など)がわかれば、減った現在の量を測定することで、経過した時間を見積もることができます。ただし、問題はもともとの放射性核種の量です。どう見積もるかが問題となります。
 ひとつは、ある放射性核種が、常に一定量、形成される場合です。その例として、炭素14があります。ひとつの試料から一つの年代を決めることができます。
 もうひとつは、もともとの量がはっきりとわからない場合です。これを解決するために、同時にできた性質の違う物をいくつか測定することで推定していくというものです。例えば一つのマグマ(均質な同位体組成をもっている)から、いく種類かの鉱物や組成の違う火成岩が固まったものを利用します。各鉱物や各岩石には、放射性核種の濃度が違った状態で固まります。そこから壊変が起こると、できた核種の量が一定の比率を持ってきます。グラフに書くと、ある傾きもった直線に現在の値が並んでいきます。マグマの時は、水平の直線であったものが、経過した時間に比例した傾きの直線になります。この傾きから年代を見積もることができます。
 さらに、年代を得るには、いくつかの測定条件を満たす必要があります。基本的なことですが、目的の核種の量、適切な半減期の核種の選択、分析能力です。
 年代測定のために用いる放射性核種が、測定できるほどの量が含まれていなければなりません。ただし、分析装置の精度は上がってきているので、少量でも測定は可能になっています。
 ものの形成年代と核種の崩壊のスピードがあっていることも重要になります。早い半減期の核種は新しい年代にできたものに、遅い半減期の核種は古い年代のものに用います。
 また、求めたい年代と分析の精度も問題になります。量が少ないものの測定は精度も悪くなります。分析能力にあった試料や核種、量などが選定できているかどうかという条件です。
 以上のような条件を満たした時、得たい年代を求めることができます。今回取り上げるのは、炭素の放射性核種で、質量数14の放射性核種です。14C(14は上付きの小文字)と表記されます。次回は、それについて、詳しく見ていきます。


Letter to Reader■ ホッと一息・ジレンマ 

・ホッと一息・
昼間は暑いですが、
夕方からは休に涼しくなりホッと一息できます。
過ごしやすい北海道の夏はありがたいです。
北海道の人は、暑さには弱いのですが、
乾燥していると、日陰が涼しく、
風が吹けばホッと一息できます。
大学もあと少しの講義を残すのみとなりました。
終われば、ホッと一息つけます。

・ジレンマ・
4月から校務が忙しくなり、
論文に時間をかける余裕が減ってきました。
年2本以上の論文を自分自身のノルマとしています。
今週明けが締め切りの論文があったのですが、
1週間遅れることになりました。
担当者と査読者にも了承を得ましたが、
私は性分として締め切りを守らないのは、嫌いなのですが、
自分が実行でないときは非常に歯がゆい思いをします。
研究をし、成果を問うことは
研究者としてのアイデンティティでもあるはずです。
それが滞るのはつらいです。
でも、研究者として存在も組織がありきの上に成立っているので、
ジレンマでもあります。
ただ、両立できるように頑張るしかなのでしょう。


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