地球の調べ方
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Essay■ 5_108 地球型惑星 1:ハビタブルゾーン
Letter■ 事実の先行・春まだ浅く
Words ■ 北国の春は、いつ来るのか


(2013.05.09)
  地球は、人類にとって唯一無二の存在で、どんなに文明が進んでも、人類は地球に住み続けると思います。興味として、地球以外の天体や、太陽系以外の惑星に生命はいないのか、というもの常にあります。科学も両面の探査を続けています。最近、太陽系以外の惑星に大きな進展がありました。


Essay■ 5_108 地球型惑星 1:ハビタブルゾーン

 ハビタブルゾーン(habitable zone)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。Habitableとは「住むのに適した」という意味で、ハビタブルゾーンとは「住むのに適した領域」という意味になります。天文学で使われている用語で、生命が誕生するのに適した領域のことを意味します。時には、生命誕生だけでなく、生命が誕生した後進化できる条件をも加味されることもあります。
  生命が誕生するのに適した領域を本当に決定するには、実際の生命が誕生するか、誕生したかで検証しなければなりません。しかし、生命が存在しているのは、今のところ太陽系の地球の例しかなく、すべての天体に適用できるかどうかは不明です。生命の存在が確認できない場合は、生命誕生に不可欠な条件を見つけ、その条件が達成できるかどうかでハビタブルゾーンを設定ます。可能性での議論となります。
  恒星は核融合が起こっている高温の条件で、生命誕生の場にはなりませんが、生命にとって必要なエネルギーの供給源となります。恒星のエネルギーを効率的に利用できる環境として、惑星表面、あるいは表層付近(地下、海底、氷の下など)が想定できます。惑星表層で生命の誕生に不可欠な条件とは、液体のH2O、水が存在できるかどうかが重要です。H2Oは、宇宙ではたくさん存在する分子ですので、素材としては充分あります。
  H2Oは、温度が高ければ気体、低ければ氷、ある限られた条件(地球表層では0〜100℃の範囲)では水になります。恒星の周りに惑星系があるので、温度は恒星からの距離と惑星表層の条件に依存します。惑星の表層は多様なので、決定しづらいところですが、必要条件として、H2Oが水として存在できる範囲を、天文学的ハビタブルゾーンと設定します。
  ただし、ハビタブルゾーンには、きつく考える立場とゆるく考える立場があります。
  きつく考える立場では、単純に恒星の明るさと距離だけの条件で水が存在できる範囲を考えるものです。惑星の表層の条件はとりあえずは、考えないものとします。太陽系では、金星から火星のあたりの範囲になります。
  ゆるく考える立場は、惑星の表層条件をいろいろ設定すれば、水が存在できそうな範囲を広く考えようというものです。太陽系では金星から小惑星帯の範囲が入ります。さらに、木星や土星などの大きな衛星では、太陽のエネルギーより母惑星との潮汐などをエネルギー源として、氷の下などの特殊な環境で、液体の水が存在する可能性も指摘されています。多様な天体を考えると、ハビタブルゾーンは、かなり広く存在する可能性があります。
  ただし、ゆるい立場に立つと、個々の天体の特殊性や個性がわからないと、先に進めなくなります。ですから、通常はハビタブルゾーンは、太陽系をモデルにして、恒星の明るさと惑星まで距離から単純に計算して、ハビタブルゾーンを見積もっていきます。この方法は、恒星の明るさがわかれば、ハビタブルゾーンが一義的計算できるという利点があります。
  太陽系以外の恒星系でハビタブルゾーンが設定できれば、次の問題は、そこに惑星が存在するかどうかが重要になります。最近、そのような惑星が見つかったというニュースが流れました。詳しくは次回にしましょう。


Letter to Reader■ 事実の先行・春まだ浅く 

・事実の先行・
ここのエッセイで想定している生命は、
私たち地球生命を典型としているものです。
それ以外の生物は、想像できないものは
想定していません。
宇宙は多数の天体があり、
多様なので、想像できない生物がいてもいいのかもしれません。
しかし、想像できないものは、
科学にもってくるのはなかなか困難です。
あるいはいろいろ想定できるものにしても、
根拠や論拠がないと、真剣に議論するのは難しいものです。
人間は浅はかで、人間の想定など、
自然は簡単に越えていきます。
事実を先行させたほうがいいのかもしれませんね。

・春まだ浅く・
北海道は、まだまだ寒いです。
ストーブをいまだにつけています。
冬物の上着をなかなか脱げません。
先日も、朝、歩いていると、
水たまりに、氷が張っていました。
驚きましたが、歩いていも寒い気温なので納得しました。
近くの山なみにも、何度も雪が降っていて、
なかなか雪が消えません。
例年ならもう始まっている畑作業も
まだはじまっていません。
今年の春は、まだまだ浅いようです。


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