地球の調べ方
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Essay■ 5_101 隕石年代 4:水の形成
Letter■ データ整理・冬と春
Words ■ 冬から春へ向かいつつ


(2012.02.16)
  隕石の中の炭酸塩鉱物の年代が、今まで正確に決めることができませんでした。それが、今回、精密に決められるようになりました。正確な年代値によって、太陽系の母天体の形成時期、その天体での水の形成時期などが推定できるようになりました。


Essay■ 5_101 隕石年代 4:水の形成

 隕石の中の炭酸塩鉱物の年代を求める難しさと、その解決法が見出されたと紹介ました。今回は実際の測定とその結果、意義を紹介していきましょう。
  分析は、二次イオン質量分析計を用いてなされました。二次イオン質量分析では、炭酸塩の鉱物の表面にイオンビーム(一次イオンと呼ばれています)を当てます。もちろん炭酸塩鉱物の分析した面をきれいに出しておく必要があります。イオンビームがあたった鉱物表面からは、原子がイオン(二次イオン)として飛び出してきます。電荷をもったイオンを、磁界の中を高電圧をかけて飛していきます。イオンは質量数の違いに応じて、曲がり方がかわってきます。その違いを利用して、質量数ごとの違い(同位体)を計測するものです。数個の質量数を同時に補足できるので、同位体比として精度よく測定できます。
  今回の報告は、二次イオン質量分析計の中でも、ナノシステムという最先端ものを用いてなされました。
  未知の試料の測定値を組成がはっきりわかっている試料の測定値で補正することで、より正確な測定値を求めます。組成がはっきりわかっている試料とは、前回紹介したように、藤谷さんたちが人工的に合成したものを使用されています。
  新たに開発された最先端の手法を用いて、4種類の炭素質コンドライトの分析がなされました。それまで炭酸塩鉱物は不確かな年代しかなったのですが、45億6340万年前に集中することが明らかになりました。
  この年代は、45億6820万年前といわれている太陽系の誕生後、480万年ほどあとです。それまであった年代の矛盾(太陽系誕生より炭酸塩鉱物の年代が古い)は解消され、一定の年代に収まったことになります。年代が定まったことで、炭酸塩鉱物の形成の意義が明瞭になるはずです。
  炭酸塩鉱物が、水の存在のもとで形成されると考えられていることは、前に紹介しました。炭酸塩鉱物が、小惑星のような母天体でできたとすると、天体の温度変化から、母天体の形成は太陽系誕生後350万年後であったと推定されています。
  水は生命誕生の条件として非常に重要な成分です。それが太陽系の天体において、いつできたのかを限定することは、重要な情報になります。それを限定することに、今回の成果は大きく役立つことになります。


Letter to Reader■ データ整理・冬と春 

・データ整理・
空き時間を用いて身辺整理をしています。
紙データをなんとか整理して
一杯になった書棚のスペースを空けたいと考えています。
まずは、自分自身の論文の別刷りの整理をしました。
最近の論文はPDFファイルがあります。
古い論文のPDF化をしました。
それによって別刷りの古いのを
保存分を除いて大量に処分しました。
また、大量の古い論文もあります。
最近はPDFで論文が配布されているので、
紙は最小限で済ませているのですが、
以前収集した大量の紙の状態の論文があります。
それはまだ手が出ませんが、
必要なデータだけを取り出してファイルしたものが
本棚1段半ほどあります。
それをデジタル化したいのですが、
なにせ古いので、スキャンしてもトラブルを起こし
なかなかはかどりません。
でも、思い切ってしなければと思っています。
砂の試料も保存場所がいっぱいなので
整理が必要になります。
でも、最優先は2月末の締め切り論文の執筆です。
現実逃避にならないように、
優先順位を忘れないようにしなくては。

・冬と春・
暖かい日が来るようになったのですが、
激しい吹雪、寒さも繰り返しています。
1月は寒さが増し、冬も深まっていると感じましたが、
2月も中旬になると、
着実に春に向かっていることを感じます。
大学は、現在、追試がおこなわれています。
そして企業説明会もおこなわれています。
これも冬と春の混在でしょうか。


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