地球の調べ方
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Essay■ 5_80 原動力:テクトニクス4
Letter■ お盆・旅の報告
Words ■ 私の夏休みはまだです


(2009.08.13)
  プレートが動くのは、地球内部の熱が外に向かって放出される、という天体の熱の営みによるものです。固体内を、物質が移動しながら熱が伝わるという現象は、マントル対流と呼ばれています。理屈は単純ですが、実際に起こる現象は複雑です。その単純さと複雑さを結ぶ因果関係は、まだ解明できてないことも多々あります。


Essay■ 5_80 原動力:テクトニクス4

 プレートが動くのは、プレートの下に滑りやすいアセノスフェアがあることがひとつの要因でした。しかし、動かす駆動力が問題となります。現在でも、この全貌はまだ完全には解明されていませんが、2つの駆動力があるとされています。
  一つは、海嶺での広がる力です。大陸が割れはじめのとき、大陸プレートが広がります。そのきっかけは、大陸プレートの下部に、熱いマントル物質が上昇してくるためです。マントル対流の上昇部が、大陸プレートの下にくることになります。それには、必然性があります。
  マントルは、対流によって地球内部の熱を地表に運びます。熱の放出場は、火山です。大規模な火山は、海洋プレートの境界になっている中央海嶺となります。大陸プレート内には火山はありますが、大規模なものは稀で、大陸下部は、長らくて熱を放出することがなく、熱が蓄えられることになります。そのため、大陸下には、熱いマントルが存在することになります。なにかのきっかけがあると、大陸下部から熱いマントルが上昇してきます。
  割れた大陸の間には、地下ではマントルが上昇し、地表では海が侵入します。その結果、海嶺が形成され、海洋プレートが形成されることになります。海嶺は、マントル対流の熱の出口として、両大陸プレートを両側に広げます。やがては、海洋プレートが広がっていくことになります。これが、プレートを動かす力となっています。
  海洋地殻は玄武岩からできていますが、その下には玄武岩が抜け出した、でがらしのマントルの岩石(ハルツバージャイトと呼ばれます)があります。玄武岩とハルツバージャイトを合わせれば、もとのマントルの成分になりますが、水分やガスなどの気体、液体成分は抜けていきます。玄武岩とハルツバージャイトが分離した状態で、海洋プレートとになります。
  大陸プレートの広がる力は、ある一定以上に海洋地殻が広くがるとそれほど強くなくなり、プレート移動の駆動力ではなくなります。そこで、もう一つの駆動力として、海溝に沈みこむ海洋プレートによる引っぱる力が、重要になってきます。
  そもそも海溝ができるのということは、冷えた海洋プレートが、マントルのアセノスフェアにもぐる込むことです。これは、海洋プレートが、アセノスフェアより、密度が大きくなるためと考えられています。
  海嶺でできたばかりの海洋プレートは、温度が高いため、密度は小さくなっています。時間がたっていくにつれて、海洋プレートが冷えてきます。ある時間がたつと、つまり一定以上に広がった海洋プレートは、アセノスフェアにもぐりこむ密度になります。すると、海溝が形成されます。相手がたとえ海洋プレートであっても、古い方が沈み込んでいきます。
  熱いマントルが、海洋プレートになり地表(実際には海底)で冷やされます。冷えた海洋プレートは、密度が大きくなりマントルに沈み込みます。この力もなかり強いようで、力関係でいうと、大きな海では、海溝の沈み込みよる引っ張りの力によって、海嶺が広がり、そこにマグマが上昇してくるということになってしまうようです。その転換期は、いつ、どこかになるのかなどは、まだよく分かっていないようです。
  海溝で下へ向かうプレートの動きも、一連のマントル対流の一部とみなせます。プレートテクトニクスとは、マントル対流の地表付近の営みを見ていることになります。ただし、熱いマントルが上昇してきて、表面で冷えたマントルとして、また地球内部にもどっていくという単純なものではありません。詳細に見ると、いろいろな場所や時期ごとに、複雑な現象の因果関係の事象を起こしています。それらの複雑な事象が、大局的に見ると、マントル対流になっていることが、わかってきたのです。


■ Letter to Reader お盆・旅の報告 

・お盆・
いよいよ、お盆シーズンとなりました。
我が家は、北海道でじっとしています。
今週は卒論学生と個別に
論文指導の面談をしています。
そのため、週末でないと休みがとれません。
さらに、研究室は暑いので、
午前中しか仕事になりません。
午後には、自宅に帰ります。
これは、毎年のことなので、なれていますが、
ただ今年は、湿度が高く、
北海道らしくない夏となっています。
連日、朝のうちは曇っていて、
午後に晴れてくるというパターンの繰り返しです。
ただ、時々雨がぱらつくこともあるので、
出かけるのに躊躇します。
まあ、今週はお盆なので、
どこにいっても混んでいそうなので、
人のあまり来ないところを探して
出かける予定です。

・旅の報告・
先週、道南に旅をしたのですが、
今回のテクトニクスのシリーズが始まって、
区切りがつかず、ついつい紹介できずにいます。
8月末には、1泊2日で西予市に出かけます。
9月上旬には、宮崎に1週間、
中旬には、日高に4日ほどでかける予定です。
下旬連休には、ふるさとの京都に家族で帰省する予定です。
あわただしい日々の後に、
連休明けには、後期の授業が始まります。
ですから、シリーズの終了後も、
ばたばたしているので、旅を紹介できるのは、
だいぶ先になりそうです。
まあ、気長にお付き合いください。


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