地球の調べ方
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Essay■ 5_79 構造:テクトニクス3
Letter■ 道南の旅・定期試験
Words ■ 今年の北海道の夏は蒸し暑い


(2009.08.06)
  いよいよ、今回から、プレートがなぜ動くかの説明となります。プレートが動く理由のひとつは、その構造にあります。硬いプレートの下に、軟らかい岩石からできている動きやすい層があるためです。その説明をしていきましょう。


Essay■ 5_79 構造:テクトニクス3

 地表で見ると、プレートは10数枚に区分されています。地殻もマントルも、種類は違いますが、岩石からできています。岩石とは、そもそも硬いものです。なのにプレートとして、それぞれがすべるように移動するのは、なぜでしょうか。それは、硬いプレートの下部には、同じ岩石でも、少々性格の違うものがあるからです。
  プレートの厚さは、平均としては100km程度ですが、場所によってさまざまな厚さになっています。海洋地殻では、70kmほどで薄いのですが、大陸地殻の下では、厚く、200kmほどになるところもあります。
  プレートの厚さは、岩石とマントルの密度の関係で決まってきます。大陸地殻は、海洋地殻に比べ密度が小さくなっています。マントルは、海洋地殻と比べても、密度が大きくなります。密度の大きなマントルに上に、薄い海洋地殻と厚い大陸地殻が浮かんでいるような状態になっています。まるで、水(マントル)に浮んだ木(地殻)のようになっています。
  軽くて厚い大陸地殻は、上にも出っ張っていますが、地下にも深く入りこんでいます。一方、密度の大きい海洋地殻は薄いにもかかわらず、低くなっているのは、密度が大きくマントルへの沈み込みのためでもあります。そのような地殻の性質を反映して、海洋のプレートは薄く、大陸プレートは厚くなっています。このような密度によるバランスを、アイソスタシーと呼んでいます。
  アイソスタシーが成り立つということは、マントルを構成している岩石が、地殻の密度と体積に対応して、自由に上下できる流動性があることを示しています。ところが、マントルは、そもそも固体のはずです。プレートの下の岩石もマントルで固体のはずですが、流動性を持っているのです。少々奇異な感じがします。
  それは、岩石が軟らかくなっているためです。なぜ軟らかいのかというと、岩石は高温高圧条件に置かれると、たとえ溶けていなくても、可塑性、流動性がでてくるためです。キャラメルが固体なのに、温かいと割れることなく形を変えられるのと同じ理由です。もちろん、さらさらと流れるわけではなく、長い時間をかけて、ゆっくりと流動することになります。
  このような軟らかい部分は地震波で調べられていて、地球内部での分布がわかっています。軟らかい部分は、地震波の伝わる速度が遅くなることから、低速度層と呼ばれています。低速度層は、70kmから250kmほどの深さのところに広がっています。
  低速度層の始まりは、場所によって違います。その違いは、大陸プレートと海洋プレートの違いを反映してます。この低速度層のはじまりが、プレートの底となります。
  低速度層は、アセノスフェアと呼ばれています。アセノスフェアとは、軟らかい岩石の部分です。アセノスフェアに対して、プレートの硬い部分は、リソスフェアと呼ぶこともあります。
  このような流動性があるアセノスフェアの上に、硬いプレート(リソスフェア)が乗って動いていることになります。アセノスフェアが流動できるので、リソスフェアが硬いプレートとして動くことになります。つまり、プレートとその下のアセノスフェアというセットになった構造が、プレートが動ける要因となります。
  では、プレートを動かす原動力はなんでしょうか。それは次回としましょう。


■ Letter to Reader 道南の旅・定期試験 

・道南の旅・
8月上旬の4日間、道南にでかけていました。
道南といっても、かなり中央よりで、
長万部、黒松内、島牧、瀬棚のあたりをうろうろしていました。
ただ、4日間、ほどんど毎日、
一日で雨、曇り、晴れが繰り返すような
天候不順でした。
外で行動するにはあまりよくない天気でした。
あいにく天候でしたが、
行くべきところをキャンセルしましたが、
思わぬ発見もありました。
旅行には、思わぬ出来事がつきものです。
そんな旅行を楽しました。
その様子は近々紹介します。

・定期試験・
大学は、今週が定期試験の期間です。
8月になっての試験は、暑いので大変です。
何のための夏休みなのでしょうか。
暑いから夏休みのはずが、一番暑いときに試験とは
どうなっているのでしょうか。
まあ、北海道では、暑いのはほんの1、2週間ほどです。
ですから、1ヶ月も2ヶ月も夏休みはいらなくなります。
じっさい小中高校の夏休みは、30日程度で
本州より10日ほど短くなっています。
その分冬休みが長くなっています。
本当に寒いのは、冬休みが終わってからの、
1月下旬から2月にかけてなのですが。
地域ごとにもっと、自由に休みや運営をすればいいのですが、
一度できた慣習はなかなか変えられないものです。
来週から、大学は2ヶ月近く夏休みとなります。
しかし、私は、来週から採点と卒論生との面談があります。
私の夏休みは、8月下旬になってからです。


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