地球の調べ方
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5_3 ジルコン


ブラジル産ジルコン

(2001年2月15日)

 最古の鉱物は、ジルコンというものでした。古い時代の岩石の年代決定には、ジルコンがよく用いられています。その理由はどのようなものでしょうか。小さなジルコンに秘められたパワーを解明しましょう。


 最古の鉱物とは、ジルコンと呼ばれるものでした。ジルコンは、古い岩石や鉱物の年代決定に一番よく利用されるものです。その理由は、非常に丈夫な鉱物であることと、多くの岩石に含まれていること、年代決定に必要な成分を多く含んでいることです。
 丈夫というのは、熱や圧力による変成作用を受けても変化しないことや、風化や川の運搬によってもある程度の大きさで残るという特徴をもっています。ですから古い時代の岩石本体や他の構成鉱物が変化したりなくなったりしても、ジルコンだけは残っていることが多いからです。
 多くの岩石に含まれているということは少し誇張しています。というのは、ジルコンが含まれているいるのは花崗岩と呼ばれる石英をたくさん含んでいるような岩石だけです。ですからすべての岩石に含まれているわけではありません。しかし、花崗岩は大陸を作っている岩石なのです。大陸の歴史を調べるのはジルコンが最適な材料となります。大陸の歴史はジルコンからなのです。
 ジルコンはウラン(U)やトリウム(Th)を成分として多く含んでいます。ウランやトリウムは、放射能をもつ元素です。放射能とは、ウランのような放射性元素と呼ばれる元素が壊れて(放壊といいます)別の元素に変わる時に、さまざまな放射線(α線、β線、γ線など)を出すことをいいます。この放壊は、時間に応じて一定の割合でおこります。ですから、放壊した元素や放壊によってできた元素の量が正確に測定すれば、できてからどれほどの時間が経過したかがわかります。ウランは放壊を繰り返して鉛になります。ですからウランと鉛の量を正確に測定して年代を決めることができます。その材料としてジルコンが利用されているのです。
 ちっぽけな鉱物、それも岩石を構成する主要な成分ではない鉱物が、地球の歴史をその中に記憶していたのです。ジルコンという小さな鉱物に秘められた歴史を私たちは読み取れるようになったのです。