地球地学紀行

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Essay■ 4_167 火星研究への旅 12:シャーゴッタイト
Letter■ 遅ればせながら・野外調査再開
Words ■ 予約発行をするのを忘れていました。申し訳ありません。


(2022.06.09)
 火星起源隕石のひとつのタイプとしてシャーゴッタイトと呼ばれるものがあります。その隕石が、火星のどこからきたのかを、突き止めようとした研究が報告されました。

Essay■ 4_167 火星研究への旅 12:シャーゴッタイト

 火星から飛び出して、地球にまで来て隕石となるためには、いくつかの過程あります。火星が固まった大地があり、そこに大きな隕石の衝突が起こり、そのとき飛び出した破片の一部が、火星の引力圏から飛び出し、太陽の引力にひっぱられて、火星より内側の軌道に入りました。それらの破片のうち、地球と交差したものが、隕石として地球に落下することになります。
 前回、火星起源の隕石が何種類かあることを紹介しました。複数の種類があるのは、飛び出した時代や場所に違いがあったことになります。当然、地球に落ちてこないものもあるはずです。火星から飛び出すような衝突が、何度かあったことになります。
 隕石の情報を読み取ることで、飛び出した場に対して、束縛条件をつけることができます。今回の報告は、シャーゴッタイトに関するものでした。シャーゴッタイトは火山岩ですが、枯渇したマントルで形成されたマグマからできたものでした。枯渇したマントルとは、火星形成時のままのマントル(始原的、未分化とも呼ばれます)ではなく、溶けやすい成分が抜けたマントルから形成されたマグマとなったものです。地球では海洋地殻を形成するようなマグマに相当します。また、その形成年代も数億年前であること、また110万年前に衝突があったこともわかっています。
 火星では、プレートテクトニクスが働いていなかったので、マントルプルームという対流が起こっており、その対流の上昇が枯渇したマグマの活動場になりそうです。
 火星から飛び出したのであれば、隕石に相当する衝突クレータがあるはずです。隕石の情報をもとに、クレータ探しをしていくのですが、どのクレータからそれぞれの火星起源隕石が由来したかを特定するのは非常に難しいものでした。今回、それを特定したというのが、ラガイン(Lagain)さんらの論文になります。


Letter to Reader■ 遅ればせながら・野外調査再開

・遅ればせながら・
調査にでていたので、てっきり、その前に
本メールマガジンを予約配信しているものだと思っていました。
ところが、週末に次のメールマガジンを書こうとしたら
発行していないことに気づきました。
今まで毎週かかさず発行してきたのですが、
ついに発行忘れをしてしまいました。
用意していたので、残念です。
遅ればせながら発行します。

・野外調査再開・
先週末から月曜日にかけて
道南へ野外調査にでかけました。
その様子は別の機会に紹介しましょう。
今回「地球地学紀行」として火星研究の旅を
シリーズで続けているのは、
なかなか調査にでかけられないためでした。
しかし、今季から野外調査には
出かけられるようになってきましたので
そろそろ紹介できるものもでてきそうです。