地球地学紀行

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Essay■ 4_160 火星研究への旅 5:火星の磁場
Letter■ 感染対策・ゴールデンウィーク
Words ■ 春なのに、感染と残雪が


(2022.04.21)
 火星の核を想定した高温高圧実験で、液体不混和の可能性がでてきました。2つの液相が分離する時期に、磁場が発生したという仮説が提出されました。その仮説からいろいろな疑問も派生してきますが、これも進歩です。

Essay■ 4_160 火星研究への旅 5:火星の磁場

 前回、「Fe-S-H系」と「液体不混和」について説明しました。火星の誕生直後は、内部が高温高圧条件だったので、「Fe-S-H系」からできた核は、完全に均質(1相)の液体でした。
 冷却によって、鉄とイオウが液相の状態で分離(2相)して「液体不混和」が起こることがわかりました。ある時から2つの液相ができて、重い鉄が下に沈み、軽いイオウが浮き上がってきます。この分離の時期には、核内の液相が活発に動き、対流することになるので、磁場が発生したと考えらえています。
 さらに温度が下がって現在の火星の核の条件(圧力が20〜40万気圧、温度が2000〜2500 K)になると、完全に2つの液相が分離した状態になってしまいます。きれいに成層(上にイオウの液相、下に鉄の液相)しているので、対流しない状態と推定されています。そのため、磁場の発生ができなくなったと考えました。
 さて、このシナリオは、どこまで正しいのでしょうか。高温高圧実験に基づいた仮説です。実験では、水素が大量に含まれた条件でおこなわれています。火星の表層に水が存在していたことは明らかになっています。しかし、水(水素)が、核にまで大量に運ばれたのは、どのようなメカニズムなのかは、不明です。
 また、大量に核内に存在していた水素は、どこにいったのでしょうか。鉄かイオウの相に混じっているのでしょうか。それともマントルや火星外に放出されたのでしょうか。その時期やメカニズムはどのようなものでしょうか。
 また、核の存在は検証されていますが、軽いイオウの層があるかどうかは不明です。さらに、鉄やイオウが液相として存在しているのあれば、それぞれの層内で対流サイズは小さいですが、起こっているはずです。その対流では、なぜ磁場が発生しないでしょうか。
 水のあった地球でも、核は似た条件にあったことが想定されます。地球ではイオウの液相の存在は確認されていません。詳しく調べられているので、多分ないはずです。では、火星と地球の層構造の違いは、何によるのでしょうか。
 他にも課題はいろいろとありそうです。根拠をもった新しいシナリオができたので、そこから生じた次なる課題なります。研究は進展しているのです。


Letter to Reader■ 感染対策・ゴールデンウィーク

・感染対策・
対面授業がはじまっています。
やはり学生の顔を見ながらの授業がいいです。
一方、コロナ感染も身近に迫っているのも感じます。
大学の方針で感染対策をしているので、
身近に感染者が出ても濃厚接触にはなっていません。
怖がってばかりで、遠隔授業に戻るのも大変です。
空気感染が明らかになっているので、
いつ体内にウイルスが入ってくるかもしれません。
もう入っているのかもしれません。
だれがいつ発症してもおかしくない状態です。
体内に入っても発症しないで対処できる人もいるでしょう。

・ゴールデンウィーク・
北海道では、まだ少し残っていますが
根雪もだいぶ溶けました。
今年の春は少々遅めに来ています。
北海道では日々感染者が増加しています。
今後どなるかは不明です。
感染拡大で再度、まん延防止重点措置に
ならないことを願っています。
今年こそ、ゴールデンウィークには、
久しぶりに夫婦で温泉につかりながら
のんびりとしたいと考えているのですが。