地球地学紀行

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Essay■ 4_150 2019年残念シリーズ 3:津和野のメランジュ
Letter■ 秋の訪れ・安全第一
Words ■ 北海道は紅葉が進んでいます


(2019.10.10)
 津和野は、島根県の南西部の山間にあり、山口県と接しています。津和野は古くからある町で、江戸時代には津和野藩でした。日本で最も古い岩石が見つかっていましたので、見に行くことにしていたのですが・・・・。

Essay■ 4_150 2019年残念シリーズ 3:津和野のメランジュ

 津和野は島根県のもっとも南西に位置しています。山間の狭い盆地ある町です。小さな町ですが、古い町並みは整備されていて観光地となっています。この津和野に、8月末に訪れました。もちろん観光名所をめぐるではなく、石をみるためです。
 津和野では、今年、報告された最古の花崗岩類が分布している地でもあります。この最古の花崗岩については、前回までの「日本最古の岩石」のシリーズで紹介しました。その岩石を含む舞鶴帯に属する地質体も分布しています。
 津和野周辺には、他にも古い時代(ペルム紀から三畳紀)の付加体が分布しています。この地域の付加体は、鹿足(かのあし)層群と呼ばれています。鹿足層群は、石灰岩、チャート、玄武岩、タービダイト層などと、そしてそれらが擾乱されたメランジュなどが見ることができます。鹿足層群の付加体は、日本がまだアジア大陸の縁にあったときに、海洋プレートの沈み込みによって付加してできたものです。
 最古の花崗岩類はもちろんのこと、津和野付近の鹿足層群のいくつかの露頭で観察する予定をしていました。深海底で形成された層状チャートを津和野商人(あきんど)で、益田市長沢町の匹見川上流でメランジュの産状(泥岩中に堆積岩の礫を含んだもの)などを観察するつもりでした。ところが、津和野についた日、そして翌日は、記録的な豪雨でした。そのため調査はできませんでした。
 南南西から津和野へ流れ込んでくる津和野川は、まっすぐな流路を持っています。この流れは、断層によって形成された直線的な地形によってできています。断層は、47kmも連続する弥栄(やさか)断層の南西の端にあたります。
 津和野は断層とはもうひとつゆかりがあります。日本の断層研究は、小藤(ことう)文次郎が先駆者でした。文次郎は、1891年に濃尾地震で形成された根尾谷断層を最初に研究し報告しました。その小藤文次郎は、津和野の出身です。
 大雨で津和野川、それが合流して町を流れる高津川は増水していました。恐さを覚えるほどの水位になっていました。津和野には、地質に関する見どころ、人物もいました。でも、雨のため、ほとんど露頭は観察することはできず、残念でしたが、安全を優先しました。


Letter to Reader■ 秋の訪れ・安全第一

・秋の訪れ・
北海道には、もう秋が訪れています。
朝夕の冷え込みが強まってきました。
大雪では、すでに初雪の報告があり、
我が家でも、9月からもう何度かストーブもたきました。
毎日ストーブをたくほどではないですが、
ストーブが必要な時期になってきました。
木々の紅葉もはじまりました。
これから秋が深まっていくことでしょう。

・安全第一・
午前中を見る予定をしていたのですが、
津和野が大雨なので、早々に別の目的地に移動しました。
山口県の県境を越えたとたん、
持っていた携帯電話の警報がなりました。
山口市内の河川で洪水警報が出たとのことです。
ラジオのニュースをつけたら、
津和野でもいくつかの地域で河川の増水のため、
避難警報がでているとのことでした。
場所によっては、足止めをくっていたかもしれません。
それを考えれば、露頭を見ることより
安全に移動できたことに感謝すべきでしょうね。