地球地学紀行

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Essay■ 4_149 2019年残念シリーズ 2:秋吉台
Letter■ ジオパーク・道北調査
Words ■ もう10月です。北国の秋も進んでいます


(2019.10.03)
 秋吉台は、以前にも訪れたことがあります。学会のついでできたので、公共の乗り物を使ってきました。秋芳洞内と博物館を見て、周辺の地形を散策で見ただけでした。

Essay■ 4_149 2019年残念シリーズ 2:秋吉台

 8月の野外調査では、レンタカーを使っていたので、秋吉台周辺の地形、秋芳洞の再訪を考えていました。他にも2つの鍾乳洞もあったので、だいぶ様子が違っているようで、入ろうと思っていました。秋吉台を訪れたのは、大雨が少し小休止になった時期でした。時々晴れ間も見えることもあり、悪天候に時期ではあったのですが、野外の調査が少しはできるほどでした。
 秋吉台で一泊したのですが、初日は鍾乳洞が増水のため入ることができませんでした。2日目は少し水が引いたとのことで、コースの半分ほどは入ることができるので、入洞することにしました。料金は半額になっていましたが、いけるところまでいって、あとは同じコースを戻ることになります。まあ、車があったのでそうするしかなかったのですが。
 秋芳洞には、正面入口(最も下流)、エレベーター口、そして黒谷口(最も上流)の3つの入口があります。今回は、上流側の黒谷口とエレベーター口が空いていました。エレベーター口から先に、橋があるのですが、増水で危険なので進めませんでした。ルートとしては、黒谷口から入り、エレベーター口へ抜けるか、その逆かのコースです。私は車があったので、黒谷口から入り、同じコースを戻ることにしました。本来なら、正面入口に近くにある「千町田」や「百枚皿」は秋芳洞を象徴するものなので見たかったのですが、増水でいくことができませんでした。「傘づくし」まで行けましたが、その先の「千町田」にはいけませんでした。
 「傘づくし」は広い洞になっており、川の流れも大きところで、その川を橋で渡ることになります。洞内は激しい轟音が響き渡っていました。私が訪れた時には、橋は見えるようになっていたのですが、昨日は水没していたようです。通常では見れない、鍾乳洞の増水の状況を見学することができたことになりました。
 鍾乳洞は、石灰岩の侵食と沈殿によりできたものです。鍾乳石は沈殿によるものですが、洞自体は侵食による作用が大きなもので、化学的な侵食は定常時に少しずつ進みます。しかし今回ような大雨で、洞内での物理的、機械的侵食が激しく進むことになるのでしょう。そんな様子を今回垣間見ることができました。稀な状況を見ることができたのです。
 地表でも、いくつか珍しいところを見ることできました。カルスト地形で谷状ところを「ウバーレ」と呼びます。通常は単なる地形的くぼみに過ぎないところですが、雨が降ったときだけ水が貯まる「帰り水」と呼ばれる池があります。また、雨が降ったときしか流れない川で、増水しているとこも見ることができました。通常では見られないものも、大雨のために見ることができました。


Letter to Reader■ 夏休み中の調査・秋の訪れ

・ジオパーク・
秋芳洞を含め、美祢(みね)はジオパークになっています。
そのため、地質や地形の見どころでは
解説パネルができているので見学しやすくなっています。
各地の市町村で、地質学的名所を持っているところは、
町おこしの一貫でジオパークを目指すようになっています。
ジオパークがあるところは、
地質に興味をもって見学する人にとってても、
助かるものになります。
今後も増えることが期待しています。

・道北調査・
9月の中旬から、急激に秋めいてきました。
9月下旬に道北に3度めの調査に出ました。
実はこのエッセイは、出発前に書いて、
予約して配信しています。
道北は、寒そうですが大丈夫でしょうか。
今年の調査は、まだ道北と日高が
予定に入っているのですが、
寒さは大丈夫でしょうか。
この寒さだと雪が心配です。