地球地学紀行

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Essay■ 4_135 日豊の旅 4:青島の洗濯板
Letter■ 洗濯板・卒業式
Words ■ 3月は人たちが移動する時期です


(2017.03.09)
 冬の日豊の旅は、宮崎の青島で終わりました。天気はよかったのですが、冬の季節風が強い日でした。海岸の砂が視界を遮るほどの嵐になっていました。しかし、島の林の中の神社に入ると、静寂さが覆っていました。

Essay■ 4_135 日豊の旅 4:青島の洗濯板

 冬の調査の最後、昼過ぎに、宮崎市に着きました。その日は宮崎市から少々離れたところに宿泊して、翌日には飛行機で帰る予定をでした。宮崎市の町の南東に小さな島に向かいました。青島です。青島には何度か来ているのですが、今回、再度、訪れることにしました。
 青島は、弥生橋でつながっているので、冬でも渡って調査できます。アプローチが楽にできるので、簡単に地層の調査ができます。青島を最後の調査地にしました。
 平らな島(最高地点6m)なのですが、植生があり、その中に青島神社があります。神社の中にいると、鬱蒼とした林になっているので、島の中にいるを忘れてしまいそうに静寂に包まれます。島の植生は「青島亜熱帯性植物群落」として特別天然記念物に指定されています。ここは、亜熱帯性植物が生える北限となっています。
 神社や植生がある上に、島の周辺には、潮が引いていれば、きれいな地層が広がって見えます。この地層は、砂岩泥岩の繰り返し(互層といいます)で、泥岩部分が侵食を受け、砂岩が残っています。このような段々の形状が洗濯板に似ていること、そしてそのサイズが大きいことから、「鬼の洗濯板」あるいは「鬼の洗濯岩」と呼ばれています。
 潮が引くと、海岸線に鬼の洗濯板が広っていて、歩いて見て回ることができます。島の周囲に平らな侵食面があるので、海食台(波食台とも呼ばれます)として形成されました。それが、海面に顔を出しているので、隆起した海食台と考えれられています。海面すれすれなので、その隆起は大きいものでなかったようです。でも、地形的に珍しいものなので、「青島の隆起海床と奇形波蝕痕」として、これも天然記念物に指定されています。
 青島だけでなく、近くの海岸にも洗濯板のような地層が出ているところがあります。そこは以前に調査をしたことがあるので、今回は青島だけでした。
 私が訪れた日は、晴れていたのですが、季節風が激しく、海岸の砂が砂嵐のように舞っていました。島は周囲860mしかないので、一周しようと考えていたのですが、島の先端から北側に周ろうとすると、風が強く当たる場所になり、周るのを断念しました。
 ところが、神社の境内に入ると、環境は一変します。神社は林の中なので、風の強さを感じることはありませんでした。神域を感じさせる静寂な環境を生み出していました。


Letter to Reader■ 洗濯板・卒業式

・洗濯板・
洗濯板は、もう死語になっているのでしょう。
見たことも、聞いたこともない人も、
今では、多いかもしれません。
かつては、汚れのひどい部分に石鹸をつけて、
この板に押し付けて、こすることで洗い落とすものでした。
実は家内が、今も小さな洗濯板を使って洗濯をしています。
子どもたちが、クラブで激しく汚したとき、
その汚れを落とすために使っています。
今も使う人がいるので、売っているようです。

・卒業式・
大学は、いよいよ卒業式が近づいてきました。
以前は大きな会場を借りて、卒業式をおこなっていたのですが、
現在では、大学のホールでおこなうようになりました。
かなり広い会場なのですが、3回に分かれて執り行われます。
最近は、卒業式などの式典に
保護者の方々も多く参加されるようになっています。
その分の席を用意するために、何度かに分けて式典を行っています。
式典のあと学科ごとに分かれて学位記を手渡しができます。
その後に、卒業生や保護者の方と話ができるので
例年、なかなかいい卒業式になります。
今年もそうなればいいのですが。