地球地学紀行

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Essay ■ 4_115 室戸岬2014 3:枕状溶岩
Letter■ 夏休み・熟睡
Words ■ いよいよ夏本番です


(2014.07.24)
  室戸岬周辺には、タイプの違うマグマ活動があります。その一つが枕状の形状をした、日沖の火山岩です。周辺のマグマの活動が、解明されているわけではありませんが、少しずつ関係が解き明かされています。


Essay■ 4_115 室戸岬2014 3:枕状溶岩

 室戸岬には、付加体でありながら、マグマの活動を起こり、斑れい岩という深成岩ができていることを、前回紹介しました。室戸付近では、他のところでも、マグマの活動を見ることができます。
  室戸岬を東へ周り、徳島方向にすこし向かうと、日沖(ひおき)という小さな港があります。その港の位置は、少々わかりにくく、狭い道ですが、室戸ジオパークのサイトの一つになっています。
  日沖は、防波堤のコンクリートに囲まれた小さな港です。海岸でも見ることができますが、そのコンクリートの上を歩いて行くと、不思議な形の岩を見ることができます。波や風がある日は、少々注意が必要ですが、その不思議な形をした岩は、ついついもっと近寄って眺めてみたくなる存在です。
  丸い形をした岩が、いくつも積み重なっています。港の周辺の磯は、この不思議な岩が含まれています。枕状溶岩と呼ばれています。
  マグマが海底で噴出すると、海水に触れた部分は、すぐに固まってしまいます。外が固まっても、内側ではまだマグマのままで、しかもマグマはあとからも流れてきています。すると、固まった岩石の表面が破れて、マグマが海水中に噴出します。それもすぐ固まるのですが、割れ目から流れでた溶岩は、まるで練り歯磨きをチューブから押し出したように、細長い丸い枕のようになって、固まりながらも、次々とでてきます。これが繰り返されると枕状溶岩ができます。
  日沖周辺には、枕状溶岩と似たマグマの活動による火山岩類があります。貫入岩であるドレライトや火山砕屑岩などがあります。それらの関係は、近年明らかにされてきました。
  海洋地殻は、海嶺でのマグマによって形成されたものです。上部は海底の火山活動で、枕状溶岩からできます。日沖の枕状溶岩も同じような見かけの岩石です。ところが、この枕状溶岩は、海洋地殻の火山活動で形成されたものではなく、海溝付近の付加体の中で活動したマグマによってできたとされています。
  日沖の枕状溶岩と室戸岬の斑れい岩との関係は証明されていませんが、室戸岬の斑れい岩が付加体の堆積岩を貫いたのが海溝付近であったのと似ています。いずれも、列島の付加体の中でおこった不思議なマグマの活動となります。
  詳細は別の機会にしますが、フィリピン海プレートを形成した海嶺が、日本列島に潜り込んだ活動に起因しているものではないかと考えられています。これはプレートテクトニクスという大規模な活動なので、広域に起こった可能性があります。南紀の潮岬、足摺岬にも、付加体の中でマグマの活動が起こっているます。ただし、マグマの性質が少々違っているので、話はますます複雑なのですが。


Letter to Reader■ 夏休み・熟睡

・夏休み・
いよいよ、小・中学校は夏休みになりました。
大学は、まだ講義の最中のところが多いと思います。
我が大学も、来週はじめまで講義があり、
その後、前期の定期試験があります。
さらに、追・再試がその後にあります。
ですから、大学の夏休みは、8月のお盆前からとなります。
お盆明けには、前期の成績の提出が待っています。
教員は、それまでに採点をしなければなりません。
北海道とはいえ、一番暑い時期に試験や採点という
集中力を使わなければなりません。
学生も教員も大変です。

・熟睡・
北海道も夏らし天気が続いています。
乾燥しているので、過ごしやすいので助かっています。
夜は、窓を閉めなければ寒いほどです。
先日の蒸し暑い夏の日に、母が我が家に来ました。
北海道でも暑いだろうといったのですが、
京都から来た母は、そんなに暑くないといいます。
京都はもっと蒸し暑かったと、いっています。
京都の夏の暑さから開放されて、
ぐっすりと眠れているようです。