地球地学紀行

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Essay ■ 4_109 祝「四国西予」日本ジオパーク認定
Letter■ リピーター・紅葉
Words ■ 秋も少しずつ深まっています


(2013.10.10)
 富士山の世界遺産認定で世間は、少し前から沸き立っていますが、世界ジオパーク、日本ジオパークというものもあります。私が関わっていた四国愛媛県の西予市も日本ジオパークに、隠岐が世界ジオパークにとして認定されました。ジオパークの近況を紹介します。


Essay■ 4_109 祝「四国西予」日本ジオパーク認定

 先日の夕方、遠方の友人から電話がありました。2010年4月から2011年3月まで、愛媛県西予市に滞在していた時に、受け入れ先として世話になったTakさんからでした。2013年9月24日に、Takさんが中心になり市を上げて準備をしていた「四国西予」が、日本ジオパークに認定されました。
 私の滞在がきっかけになったのでしょうか、西予市はジオパークへの申請に向けてスタートしました。私も微力ながら協力していたので、それから2年を経っての日本ジオパークに認定されたのは、うれしいことでした。2013年9月24日からは日本ジオパーク「四国西予」としての活動が期待されます。
 今年6月22日の富士山の世界遺産認定で、メディアは賑わっているのですが、その影でジオパークの運動も各地で継続されています。以前にもジオパークや、西予市のジオパーク構想について紹介したことがありますが、再度ジオパークとはどのようなものか、そして近況を紹介しましょう。
 ユネスコの支援によって2004年に世界ジオパークネットワークが設立され、世界各国で取り組まれている活動です。「地球の活動の遺産を見所とする自然の公園」がジオパークとなり、それを日本や、世界ジオパークネットワークが認定していくものです。
 世界遺産もユネスコによるものですが、保護を重視されています。一方、ジオパークは保護だけでなく活用も重視されています。活用とは、地質遺産を教育や科学普及に利用することで地域振興のための「開発」も認めています。利用し開発できることが、世界遺産との大きな違いといえます。
 ジオパークには、地質学的に重要な地点がいくつもある地域であることはもちろんなのですが、地域の行政、民間、研究機関が連携して活動することが重要だとされています。そのような地域の地質遺産を人や組織が連携して活用しているかどうかが、ジオパーク認定にむけての審査のポイントになります。
 最近、ジオパークに向けての動きが活発化しています。2013年9月9日、韓国のチェジュ島でおこなわれていたアジア太平洋ジオパーク大会で、隠岐ジオパークが世界ジオパークに認定されました。9月24日には、阿蘇ジオパークも世界ジオパークに加盟申請に推薦することが決まりました。日本ジオパークとして、四国西予のほかに、三笠、三陸、佐渡、おおいた姫島、おおいた豊後大野、桜島・錦江湾の6地域も認定されました。2013年10月現在、日本には32地域のジオパークがあり、そのうち6地域が世界ジオパークになっています。
 ジオパークとして地質遺産が陽の目をみて、地域の人たちがその重要性を理解し、ほかの地域の人たちにもその重要性を伝えるという好循環が起これば、ジオパークの趣旨にそった活動となることでしょう。ジオパークは、あくまでも地域が連携して利用していった結果として、そこに与えられるものではないでしょうか。そんなことも地域の多くの人の知恵を出し合って運動、活動を高めていくことが重要な趣旨でしょう。そんな地域おこしの活動が盛んになって欲しいものです。
 観光客誘致のみの目論見で活動して思わぬ不和が起きてはと、不安に思うのは、杞憂でしょうか。


Letter to Reader■ リピーター・紅葉

・リピーター・
地質の名所をみるとき、
ジオパークであることは非常に便利な地域となります。
資料や案内板も豊富で、
地質の重要性もわかりやすくなっています。
ネットでの情報も公開されているので、
事前準備もしやすくなります。
見学地点へのルートも整備されているので、
見たいところへのアプローチもしやすくなっています。
ジオパークでないところは、
そうはいきません。
位置がおぼろげにわかっているだけで、
あとは、その付近をうろうろして見つけたり、
近所の人に聞いて行ったりします。
ですから、見たいところへ辿りつけなかったり、
途中で断念したりすることがあります。
でもそんなところは、
心残りで、再度尋ねることもよくあります。
その時にその地への愛着が深まります。
このよう訪問は、私自身の特殊性なのでしょう。
でも、リピーターを多数生み出すことも
ジオパークの大切な使命ではないでしょうか。
ジオパークでリピーターをうみだす工夫も
地域ごとに違ったものになるはずです。

・紅葉・
10月になって、比較的暖かい日が続いています。
少し体を動かすと汗が出て、
じっとしていると涼しいような肌寒いような気候です。
これが秋というものなのでしょう。
紅葉もだいぶ進んで、
木によってはかなり葉を落としています。
落ち葉を使った実習をおこなっています。