地球地学紀行

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Essay ■ 4_99 トゥファ1:西予2月
Letter■ 継続こそ力・紅梅
Words ■ ケプラーシリーズは少しあとになります。


(2011.02.23)
  西予市城川町古市を流れる中津川のさらに支流にトゥファと呼ばれる石があります。その石は、地下水から沈殿してできたものです。そのトゥファには、一年の気候変動の記録が残されていました。


Essay■ 4_99 トゥファ1:西予2月

 「トゥファ」というものをご存知でしょうか。英語では「tufa」と表記されます。西予市城川町古市の中津川には、「トゥファ」と呼ばれる石があります。
  トゥファは、石灰分をたくさん含んだ地下水から地表で炭酸カルシウムが沈殿した石です。一種の石灰華のようなものですが、温泉地帯のもととは区別されています。温泉地帯の石灰成分の沈殿物は、トラバーチン(travertine)とよばれています。
  石灰分を多く含んだ地下水は、石灰岩層があるところを流れているものです。石灰成分の多い地下水が、地表に出てきて大気にふれると、二酸化炭素が抜け出てきます(脱ガスといいます)。すると地下水の炭酸カルシウムは水にとけていることができず(過飽和といいます)、沈殿してきます。このようにしてできた石が、トゥファです。
  水の流れが滞りやすいとことでは、二酸化炭素が抜けやすくなります。そのようなところが、比較的水がたまるため、山間の沢では、段差のあるとこになります。そこに、トゥファはできやすくなり、トゥファのすぐ下は、小さな滝のようになります。
  トゥファの表面には、フィラメント状のシアノバクテリアが生育しています。シアノバクテリアもトゥファの形成に関係があります。
  城川には大きな石灰岩体がいくつかあり、鍾乳洞も見つかっています。石灰岩からの湧き水があればどこもでトゥファができるわけではなく、それなりの条件を満たす必要があるようです。西予市で、トゥファをつくる条件を満たしていたのは、中津川の支流だけでした。
  中津川のさらに小さな支流ですが、そこで1年以上にわたって、水質や水量などを調べた研究結果があります。広島大学の狩野彰宏さん(現在九州大学)たちが調べられたものですが、この研究から、トゥファの形成において、季節変化が起こっていることがわかりました。そしてそこから古気候解析まで話が進みます。その詳細は次回としましょう。


Letter to Reader■ 継続こそ力・紅梅

・継続こそ力・
狩野さんたちの研究は1999年と2000年に報告されています。
調査は、1997年3月から、1998年4月まで
ほぼ月に一度14回にわたってなされました。
その結果、ローカルの現象にとどまることなく、
グローバルな現象へと展開できることに気づかれました。
なかなか面白い研究だと思います。
その発想の原点が、1年以上に渡る
非常に地道で継続的な努力によっています。
継続こそ力となるのでしょうか。
成果の詳細は次回とします。

・紅梅・
先日春を思わせる陽気の快晴の日に、
富士山(とみすやま)へ行きました。
つつじが有名ですが、
先日は梅を見に行きました。
梅園もあり、紅梅がもう盛を過ぎていました。
白梅が一本だけで咲いていましたが、
ほかの木はまだでした。
山里の城川は梅はこれからですが、
いろいろ春が来ました。
残された一ヶ月は、時間が許す限り
出歩こうと思っています。