地球地学紀行

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Essay ■ 4_77 恐竜博物館:若狭の旅2
Letter■ ギャラリートーク・レストラン
Words ■ 春まだ浅き恐竜の里


(2008.04.10)
  北陸の旅の目的として、福井県立恐竜博物館の見学がありました。なぜ福井に恐竜の博物館があるのか、と思われる方もいるかもしれませんが、実は福井県は日本でも有数の恐竜の産地なのです。今回は、恐竜博物館の話をしましょう。


■Essay 4_77 恐竜博物館:若狭の旅2

 福井県立恐竜博物館は、若狭から北陸の旅の最後の目的地でした。今回の旅行は、主に海岸線を見てまわっていました。しかし、恐竜博物館は、内陸に車で1時間ほどいった勝山市にあります。山がせまっているため、3月30日でしたが、北海道さながらに、春まだ浅く雪があちこちに残っていました。行った日は残念ながら、冷たい小雨の降る天気で、博物館の外にある公園を見ることはできませんでした。しかし、もともと恐竜の化石をみることが、目的でしたのでよしとしましょう。
  以前、博物館の特別展のために、資料を提供したことがあったのですが、行くことはできませんでした。私も、今回が初めての訪問なので期待していました。子供たちも、たくさんの恐竜の化石がみることができるので、楽しみにしていました。
  博物館の展示は、噂にたがわず、30体以上もある恐竜骨格のコレクションは見ごたえのある見事なものでした。中でも、福井で産出した恐竜化石として、新種のフクイラプトルとフクイサウルスの復元された全身骨格は、圧倒されました。
  フクイラプトル(学名:Fukuiraptor kitadaniensis)は、中生代白亜紀前期の肉食恐竜(カルノサウルスの仲間)です。勝山市北谷で体の各部の化石がいくつも見つかっており、全長4.2mと推定されています。勝山市の北谷で見つかったことにちなんで名づけられました。
  フクイサウルス(学名:Fukuisaurus tetoriensis)は、北谷から頭骨や体の部分の化石が多数見つかり、それを手がかりに全身骨格が復元されています。全長4.7mもあったと推定されています。白亜紀前期のイグアノドンの仲間の草食恐竜です。手取(てとり)層群から見つかったことにちなんで、命名されています。
  いずれの恐竜も、手取層群から見つかっています。実は、この手取層群は、日本でも恐竜の宝庫として有名な地層なのです。手取層群は、福井県だけでなく、石川県、岐阜県、富山県と広く分布している地層です。そして、各地から恐竜などの化石が見つかっています。その中でも、福井県では、化石を産出する手取層群が広く分布しており、日本で有数の恐竜産地となっています。1989年以来、何度も発掘調査が行われ、現在も新しい化石が見つかっています。
  手取層群は、中生代の地層ですが、化石がたくさん見つかる中・上部は、白亜紀に当たります。白亜紀は、全地球的に暖かい時期でした。その頃、日本列島はまだ独立しておらず、大陸の端にくっついていた時代でした。手取層群がたまった環境は、海に面し、内湾から淡水のまじるような河口(汽水域といいます)、そしてより内陸の川や湖(淡水域)などにかわっていく湿潤な環境のところにたまったものです。つまり、暖かい地域の大きな川が流れ込む広大な氾濫原から海岸にかけてたまったと推定されます。そのような場所は、現在でもそうですが、多様な生物が生きていくのにいい環境でした。そのため、恐竜の体の化石だけでなく、鳥類や恐竜の足跡の化石、ワニやカメなどの化石も見つかります。
  恐竜博物館のある勝山は、私が訪れた時は、氷雨降る残雪の山里でしたが、昔は恐竜の闊歩する暖かな海辺の低地だったのです。そんなことに思い馳せながら、博物館を後にしました。


■Letter to Reader ギャラリートーク・レストラン

・ギャラリートーク・
福井県立恐竜博物館は2000年7月14日に開館しました。
当時、私はまだ神奈川県立生命の星・地球博物館にいました。
ですから、同業の開館ですから、気にしてました。
でも、ついつい行く機会がなくして、そのままにしていました。
そして、今回はじめて、見学することができました。
毎週日曜日に開催さているギャラリートークにも参加しました。
ギャラリートークとは、学芸員が展示物を用いて解説するというものです。
そのときは、海から陸への進化(魚類から両生類へ)
の話を聞くことができました。
子供には少々難しかったようですが、私にはなかなか面白かったです。

・レストラン・
恐竜博物館で子供たちが期待していたものに、
館内のレストランにあるプテラノ丼、恐竜の卵などの
変わった名称のメニューを食べることがありました。
残念ながら恐竜の卵は10食限定のようで、食べられませんでしたが、
次男が楽しみにしていたプテラノ丼を頼むことができました。
また、福井の名物であるソースカツ丼も食べることができました。
なおプテラノ丼は、鳥肉の丼でした。