地球地学紀行

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Essay ■ 4_55 恐竜展1:Dinasur Factory
Letter■ 北海道の春・都会では
Words ■ 私は田舎ものですから、田舎が好きです


(2005.04.14)
 春休みに、東京に出かけて、2つの恐竜に関する展示を見てきました。ダイノソア・ファクトリーと恐竜展2005です。今回はダイノソア・ファクトリーを紹介します。


■Essay 4_55 恐竜展1:Dinasur Factory

 林原科学博物館は、林原(はやしばら)という民間企業が、モンゴルのゴビで恐竜化石の発掘を長年にわたって続けています。これは営利を目的としない学術調査です。さらに多数の研究者を常勤職員としてやとって、10年以上かけて発掘成果を博物館として展示しようと考えています。林原科学博物館は、岡山駅前にできる予定で、現在準備されています。発掘の成果は上がり、博物館の準備は着実に進んでいます。
 準備の一環として、今回、パナソニックと共同して、東京の有明で、収集された標本がダイノソア・ファクトリーとして展示されてます。聞くところによると、展示のスタッフの研修もかねているようです。
 林原の持っている恐竜の標本と、パナソニックのもっている技術デジタル・ネットワーク技術が連動した展示となっています。
 私は、昨年夏、岡山で学会があったとき、準備中の林原科学博物館を見学することができました。説明では、主な標本はダイノソア・ファクトリーに行っているということでした。まだ化石を掘り出し(クリーニング)中のものがあって、それを見学したのですが、すごい標本がいくつもあったので、そのとき見れなかった標本を見てみたいと思っていました。それが東京に出かけた理由でもありました。
 さて、この展示を見た感想ですが、標本は予想通りに立派なものでした。貴重で、驚き、楽しめる標本がいろいろありました。子供連れで行ったのですが、子供でも楽しめるものでありました。そのひとつにFACTスコープというものがあり、子供は楽しんで使っていました。
 FACTスコープは入る時に渡され、首からかけます。そしてまず使い方の説明を受けます。これは携帯情報端末(PDAと呼ばれる)で、液晶画面と耳につけたヘッドホーンから説明がなされます。FACTスコープは、決められた場所にかざすことによって、その場で必要な情報が読み込まれて、ヘッドホーンからは音声が、FACTスコープの液晶では画像などの情報が示されます。
 これは、ユビキタスと呼ばれるネットワークシステムのひとつです。FACTスコープを利用することで、欲しい情報をネットワークから取り出せるようにすることを目指したものです。
 この最先端のユビキタスを目指したものは、どうも私にはもの足りませんでした。最初のうちは真新しくて、決められた場所に行くたびにFACTスコープを近づけては聞いていました。しかし、あまりにも説明が長く、自分の進むスピードと合わないので、データは読み取るのですが、やがて半分も聞かなくなりました。もちろん興味のあるところは、一生懸命に聞くことになります。でも、後半になって疲れてくると、ついつい聞き逃すことになってしまいます。すると、最初から聞かなくてはならなくなり、つらい時もありました。いっそ、きっちりとした説明パネルがあった方が、私には、もっと早く情報を得られたと思いました。
 でも低年齢の子供には、文章と図だけでは難しいようです。文字はラベルで名前を読むことがせいぜいです。子供にはそれがやっとのようです。ですから、FACTスコープのような道具を使って、子供でもわかりやすい説明が有効だと思います。
 うちの子供だちを眺めていると、このような装置を持ち、扱うことが面白く、最初の2、3箇所では、一生懸命説明を聞いていました。しかし、後になるほど、FACTスコープで情報を読み込み、FACTスコープの液晶画面を操作することに興味が行っていたようです。一種のゲーム感覚になっていくようです。
 子供たちが、最後まで興味を持ち続けたのは、実物標本と案内員との会話でした。道具は所詮脇役です。情報すら脇役で、過剰にあると必要のない、わずらわしいものにもなります。必要なときに、必要なだけ見られる工夫がもう少しあるといいと思います。恐竜を見に来た人には、恐竜を存分に見せること、そして足りない部分は人が補うこと、これに勝る展示手法はないと思いました。
 ダイノソア・ファクトリーにケチをつけたようですが、真意はそうではありません。ここの展示はすばらしく、案内員も親切でした。ですから、いい展示だったと思います。ただ、ほめるばかりが能ではなく、よくなかった点も指摘しておくべきでしょう。ですから上のような感想を書きました。お近くのかた、東京に出かける予定のある方、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。すばらしい展示と、先端のIT技術、それらのコラボレーションをお楽しみになっていかがでしょうか。



■Letter to Reader 北海道の春・都会では

・北海道の春・
東京には、3月30日から4月1日まで滞在しました。
桜のつぼみも少しほころびかけてきた頃でした。
海沿いの有明をうろうろしていたときは、
曇りで、風も強かったので肌寒かったです。
北海道より暖かいだろうと薄着をしてきたので、
少々寒く感じました。
東京は、もう葉桜となっているでしょう。
北海道では、桜はまだまだです。
今は、雪解けの真っ最中です。
ふきのとうが顔を出し始めたばかりです。
でも、太陽さえ出れば、春めいた暖かい日となります。
大学の若者たちは薄着です。
冬でも薄着なのですから、
もうジャンバーの下は、半袖のTシャツ
といういでたちのひとも見かけます。
私は、今でも厚手のジャンバーを着ています。
もちろん厳冬期の一番寒いときのものではないですが、
本州の冬に着ていたものです。
私は朝型の生活をしていますから、
朝6時頃には自宅を自転車で出ます。
曇りで風でもあると寒くなります。
ですから、いまだに厚着をしています。
もしかしたら、加齢によって
寒さに対する抵抗力がなくなったためでしょうか。
もしそうなら、上の言は、すべていいわけですね。

・都会では・
私たちは北海道の町外れに住んで、もう4年目になります。
もうすっかり田舎暮らしが身についてきました。
近頃では、札幌の町さえ大都会に思えます。
今回、東京で3日間、うろうろしました。
小さな子供づれだったので、
余裕を持って行動していたのですが、疲れました。
初日は、札幌−東京の飛行機での移動、
ダイノソア・ファクトリーの見学、
子供たちの大好きなLEGOの店で買い物、
そして上野のホテルへ
という行動でした。
いつもにない行動量となりました。
思っている以上に歩いていることもあるのでしょうが、
やはり人の多さ、あわただしさに、疲れました。
初日、ホテルに着いたときは、
家族全員へとへとになっていました。
食事をとるために、外に出ることもできず、
コンビニへ、私が弁当を買いに行く羽目になりました。
さて、一番の問題は、
子供たちに恐竜が思い出として、
心に残ったのでしょうか。
それとも、疲れた記憶でしょうか。
あるいは、おもちゃのLEGOの記憶でしょうか。
親としては恐竜であって欲しいのですが。