Essay ■ 4_51 屋久島1:花崗岩の島
Letter■ 雨の島・はじめての味覚
Words ■ リフレッシュできて快調です
(2005.01.20)
2005年の正月明けは、屋久島と種子島に出かけました。屋久島に2005年1月5日から8日までいました。屋久島は、海上にひときわ高い山として聳え立ちます。それは隣の種子島(約280mが最高度)と好対照です。まずは、屋久島の話を2回にわたって紹介しましょう。
■Essay 4_51 屋久島1:花崗岩の島
屋久島は周囲約130kmで、面積約500平方km(種子島より少し広い)の丸い形の島です。屋久島は世界遺産に登録されているので有名です。亜熱帯から亜高山帯にかけての植生の垂直分布が見られ、ヤクスギがあることでも有名です。植生が垂直分布をするというのことは、屋久島の標高が高いということを意味しています。宮之浦岳は標高1936mもあり、屋久島で一番高いのですが、九州でも一番の標高を誇っています。
屋久島は円錐形の形をしています。このような形は、地質の特徴によるものであります。屋久島の大部分は、花崗岩という岩石が占めています。花崗岩とは、マグマが地下でゆっくりと固まった深成岩です。屋久島の花崗岩は1300万〜1400万年ほど前(新第三紀の中期第三世と呼ばれる時代)にできたものです。
屋久島の花崗岩は、長石、石英、そして黒雲母からできているもの(詳しい分類でいうと黒雲母アダメロ岩と呼ばれるものです)です。特徴として、粒子が粗い結晶からできているのですが、中でも、長辺が10cm以上にもなる角柱状の大きな長石(正長石と呼ばれる鉱物です)がみられます。島の中央にこのような粒子の粗い花崗岩があり、周辺部では粒の細かい花崗岩になります。
屋久島でみられるような花崗岩は、日本列島では新しい時代にできた花崗岩の仲間です。このような新しい時代の花崗岩は、紀伊半島から四国南部、九州南部にかけて、点々ですが、約1000kmにわたって見つかります。西南日本外帯と区分されている地帯です。
これらの花崗岩は、少々変わっていて、キンセイ石を含んでいるのが特徴です。このような特徴を持つ花崗岩は、Sタイプ花崗岩と呼ばれています。Sタイプ花崗岩は、日本列島では、西南日本外帯と北海道の日高帯にしか見られません。このようなSタイプ花崗岩のマグマは、早く移動する熱いプレートが、低角度で沈み込んだとき、上にあった堆積物が溶けてできたと考えられています。
花崗岩をつくったマグマは、地下12kmほどの深さで岩石として固まり、固まった後、比較的比重が小さいので、上昇してきて、やがて海面より高くなりました。上にあった地層のほとんどが侵食されて、島の大部分が花崗岩の島となったのです。この花崗岩は、地下12kmで固まったものが、現在最大約2kmの標高まで持ち上げられています。ですから、1400万年で約14km浮上したのですから、平均すると年間約1mmのスピードで上昇したものだと考えられます。これは、かなり速いスピードでの上昇といえます。
花崗岩のマグマが固まるとき周辺にあった地層は、四万十層群(屋久島では熊毛層群と呼ばれています)よばれるものです。四万十層群は、日本列島の関東から東海、近畿、四国、九州から続くもので、砂岩や泥岩の地層からできています。花崗岩のマグマが四万十層群に入り込むときに、熱いマグマで焼いて変成作用(接触変成作用)を及ぼしています。このような変成岩をホルンフェルスといいます。四万十層群は、現在も屋久島の周辺部に残されています。その内側にはホルンフェルスの部分があります。
島の内部の大部分は花崗岩で、周辺に堆積岩が少しあるという構造が、屋久島の地質となっていて、これが屋久島の特徴をつくっているのです。
■Letter to Reader 雨の島・はじめての味覚
・雨の島・
屋久島には4日間いましたが、
実際には2日しか見学時間が取れませんでした。
ですから、見たいところの半分も見ることができませんでした。
島の南半分がほとんど見れませんでした。
広いせいもあるでしょう。
あるいは、歩いてみるところが多いせいもあるでしょう。
でも、一番の理由は天候のせいでもあります。
天気が悪いのです。
雨が多いのです。
「1月に35日雨が降る」というほど、雨が多いようです。
私たちが滞在した4日間のうち、
一日は終日雨で、あとはほとんど曇りでした。
太陽が見えるたのは、ほんのつかの間です。
特に山では、雨がよく降りました。
屋久島は、雨の島です。
・はじめての味覚・
今回の旅行は、家族4人で行きました。
私はもちろん調査をするのですが、
費用を節約するために、旅館ではなく、
できるだけ安い宿泊施設として、
ロッジを借りて自炊をしていました。
このロッジは、まだできて1年も経っていない新しいもので、
自炊可能な、二階建ての快適なロッジでした。
そのロッジの持ち主は、漁師さんで、
最後の夜には、獲れたてのトビウオとサンマの刺身を
持って来てくださいました。
いずれの魚も、刺身は初めてだったので、最高でした。
家族で、はじめての味覚を楽しみました。
屋久島はトビウオが名物らしく、
昼食に入った食堂でも、トビウオのから揚げを食べました。
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