地球地学紀行

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Essay ■ 4_48 手塩川再訪:秋の道北1
Letter■ 天狗岳・白滝村
Words ■ 北海道は秋たけなわ


(2004年10月21日)
 秋の深まった道北へ調査に行きました。そんな道北の秋の調査で思ったことを書きましょう。


■Essay 4_48 手塩川再訪:秋の道北1

 10月の連休に道北へ調査に行きました。ゴールデンウィークに道北を調査したのですが、雪解けの増水期で、河川沿い調査が十分できませんでした。今回は、その不足を補いながら、より調査を進めるために、再度道北の調査にでかけました。目標は前回調査し残した手塩川と渚骨川、そして今回新たに湧別川も調査することにしました。それと海岸沿いを少し調査することにしました。
 天塩川は手塩岳を源流として、利尻島を右手に見て日本海に流れ込みます。天塩川の長さ(幹川流路延長と呼ばれます)は、256kmあり、石狩川(268km)についで、北海道では2番目の長さで、日本でも第4位の長さを持っています。
 春に手塩川の河口から中流を調査したのですが、河口は護岸されていて、調査しようがありませんでした。今回は、中流から上流、手塩岳に向かって調査しました。上流には、岩尾内ダム、ポンテシオダムなどがあります。その周辺で調査をしました。
 天塩川の源流の手塩岳は、もうひとつ一級河川の源流となっています。それは、渚骨川です。渚骨川は、紋別でオホーツク海に流れ込んでいます。天塩岳は2つの川の分水嶺でもあるのです。
 北海道では、中央に南北に走る山並みがあります。この中央の山並みは、東西の分水嶺となっています。分水嶺とは、その峰を境に川が別の反対側に流れ、別の海へと分かれていくところで、山の稜線が分水嶺になることが多くなります。
 北海道の中央を走る分水嶺は、南は襟裳岬から、日高山脈、十勝岳、トムラウシ岳、大雪山、天狗岳、天塩岳、北見山地、宗谷岬へと続きます。さらにその先は、樺太(サハリン)へと続きます。分水嶺の南の方では、十勝川として東側の太平洋へ、沙流川と鵡川として苫小牧のある西側の太平洋へ注ぎます。分水嶺の北の方では、常呂川、湧別川、渚骨川はオホーツク海へ、天塩川は日本海へと注ぎます。
 北海道の中央では南北に険しい山並みが続き、東西の交通の障害となっています。低い峠のあるところが、交通で重要な役割を果たしています。北見峠は今や自動車道ができて、苦もなく車で通ることができます。しかし、旧道のくねくね道を走るのもいいものです。交通量の少ない峠道を走ったので、色鮮やか紅葉が見ることができました。峠は紅葉の盛りで、木々の色が鮮やかで、夕方曇って薄暗くなってきても、色のため明るく見えるほどです。特に北見峠の東側では、白樺が道路沿いにすばらしい紅葉を見せくれました。シラカバロードと呼ばれています。
 北見峠の東側には白滝村があります。湧別川の源流の村にもなっています。大雪山から続く火山がこの付近にも分布しています。約300万年前の火山だと考えられています。この火山の特徴として、黒曜石が大量にでることです。黒曜石は石器などに使えるもので、うまく割ると鋭利な割れ口ができます。このような黒曜石は、現在もとれるようです。
 昔の人も、黒曜石を利用していました。2万数千年前の旧石器時代の人が石器を作って住んでいたようです。白滝遺跡群と呼ばれ、湧別川沿いに100箇所以上の遺跡が見つかっているようです。当時でも有数の石器製作地だったようで、湧別技法として独特の製法を持っていたようです。ここで作られて石器がシベリアでも見つかっているそうです。非常に多様でそして繊細な石器があります。国指定の史跡となっています。自動車道を作るときには、その遺跡調査がなんされ、できるだけ埋蔵物少ないルートが選ばれたようです。
 紅葉真っ盛りの道北は、思いで深いものとなりました。



■Letter to Reader 天狗岳・白滝村

・天狗岳・
標高1553mの天狗岳のふもとにある北大雪スキー場。
スキー場にあるロッジに宿泊しました。
夏は登山客が、冬にスキー客が泊まるロッジです。
ちょうどはざかい期だからでしょうか、
秋の連休だというのに、泊まる人は二組だけでした。
親切なおじさんとおばさんが食事から宿の世話をしてくれました。
標高が高いせいでしょうか、朝夕は寒く、
ストーブをたきました。
寒い朝、子供たちと外を散歩しました。
山から見下ろす朝の景色は爽快で、
谷間には雲が降りていました。
下に見える放牧地や家並みが雲に隠れて見えました。
紅葉と雲の上に立っている自分を思うと、
まるで天上の世界にいるような錯覚を覚えました。

・白滝村・
白滝の道の駅で黒曜石でつくった細工を
売っているところがありました。
みると石器を作っている人がいます。
子供たちと見ていると、
おじさんが親切に説明してくれました。
そして石器の作り方も実演して教えてくれました。
子供たちは興味深々です。
土産に黒曜石の原石を買って帰りました。
いつか、石器を作りたいと考えています。
それとも自分たちで黒曜石を探して
原始人のように石器を作りましょうか。
白滝村は、また行きたいところとなりました。