地球地学紀行

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Essay ■ 4_41 ミニ日本列島:沖縄1
Letter■ 長い日本列島・沖縄に帰る人へ
Words ■ 南に帰る人、北に帰る人


(2004年3月11日)
 沖縄に調査にいきました。目的は、沖縄の川原の石ころと海の砂の調査、そして代表的な地層の調査です。そんな沖縄のようすを紹介しましょう。まずは、沖縄の地質の概略を見ていきましょう。沖縄を含む南西諸島はミニ日本列島ともいうべき性質を持っています。


■Essay 4_41 ミニ日本列島:沖縄1

 沖縄は、日本の一部です。それは、国としての意味ではなく、地質構造の上からみて、日本の一部となっているという意味です。本州、四国、九州から連続した構造をもった地質が、沖縄にはあります。
 日本列島は、海洋プレートが沈み込む陸側に古くから位置していました。ですから、沈み込むプレートに伴って、付加体とよばれる地質体が常に形成され、くっついている場でありました。
 付加体とは、海洋地殻とその上にたまった遠洋性堆積物(チャートや頁岩)、さらに海溝付近でたまる陸から運んで来られた堆積物からできています。
 付加体を構成する岩石や地層を広域で見ると、大きな時代区分の違いや、大断層(構造線と呼ばれています)ができます。そのような時代や構造の境界を利用して、日本列島の地質構造を区分しています。
 本州、四国、九州などの日本列島の西半分(西南日本とよんでいます)には、日本列島と並行に延びる中央構造線という大きな境界があります。中央構造線を境にして、太平洋側を外帯、日本海側を内帯とよんでいます。外帯の中でも重要な境界として、仏像(ぶつぞう)構造線というものがあります。
 仏像構造線とは、内帯側に傾斜した大きな逆断層で、中央構造線側に古生代後期から中生代中期の付加体(三波川変成帯と秩父帯とよばれる2つの帯があります)があり、海側に中生代後期より新しい付加体(四万十帯とよばれます)があります。
 付加体を貫くようにしてマグマの活動があります。そのようなマグマの活動の記録は、マグマが地下で固まった深成岩や、マグマが地表に噴出した火山岩からみることができます。
 深成岩は、付加体のいろいろなところで見られますが、深部で固まったものです。ですから、現在の地表で見ることができるようになるには、隆起して、上を覆っていた岩石や地層が侵食によって削剥されなければなりません。深成岩が地表に出ているところは、長い時間が経過したところや、隆起と侵食の激しいところとなります。
 火山岩は、海洋プレートのもぐりこみによって火山列として形成されます。まさに火山が、日本列島の伸びている方向に並行して列を成しています。もぐりこむプレートの角度によって、海溝からの最初の火山があらわれる位置までは、地域によって違ってきます。
 日本列島の一番内帯側には、日本海のような縁海とよばれている海が形成されています。
 沖縄を含む南西諸島では、このような日本の主だった構造をみることができます。太平洋側(正確にはフィリピン海)には、沈み込み帯である琉球海溝があります。その内帯側(西側)には、列島があり、縁海にあたる東シナ海(正確には沖縄トラフといます)という構造をもっています。
 また、南西諸島は、3つの構造帯が列をなしています。東シナ海側、つまりいちばん内帯側に、新しい火山島列があります。硫黄島、口永良部島、中之島、諏訪之瀬島、硫黄鳥島などで、現在も活動中の火山がたくさんあります。
 列島の中央は、古い時代の付加体で、奄美大島、沖縄島北部などと、南西諸島の一番南にあたる石垣島、西表島、与那国島も、古い時代の付加体です。ペルム紀とみられる化石が見つかっていますが、多くはジュラ紀から白亜紀にかけての付加体です。本州でいう三波川変成帯と秩父帯に相当するものです。
 最後に、太平洋側、つまり一番外帯側には、白亜紀から第三紀の堆積岩からなる付加体があり、種子島や隆起サンゴ礁の沖永良部島や宮古島など低平な島が多い。本州でいう四万十帯に相当するものです。
 深成岩の活動も見られます。深成岩は主に花崗岩で、すべて第三紀に活動したものです。北から、屋久島、奄美大島、徳之島、沖永良部島、渡名喜島、沖縄島、石垣島などで、規模はさまざまですがみられます。
 このように見ていくと、南西諸島は、狭い範囲に日本列島の外帯を除く地質の要素と同じようなものが、出ていることになります。
 沖縄島については、次回としましょう。



■Letter to Reader 長い日本列島・沖縄に帰る人へ

・長い日本列島・
沖縄には、2月26日から3月2日まで、5泊6日の滞在でした。
3月1日に雨に降られました、それ以外は良い天気でした。
雪の北海道から、桜の終わった沖縄へいくと、
これが同じ日本かと思えるほど、その気候は違っていました。
連日20℃を越える日が続いていました。
帰ってきた日には、寒波の襲来で、
千歳空港が−6℃というアナウンスがありました。
そのとおりの寒さでした。
日本列島は長いですね。

・沖縄に帰る人へ・
私のゼミの学生に沖縄からの交換学生が2名いました。
そして逆に沖縄に後期の半年だけ交換留学する学生も一人いました。
そんな沖縄からの交換学生が、
「今日沖縄に帰ります!
北海道での1年間すっごく楽しかったですよ(^▽^)。
今までいろいろお世話になりました、ありがとうございます。
また遊びに来ますねー♪゛」
というメールを残して、先日沖縄に帰っていきました。
私とは、入れ違いでした。
彼らも北海道の冬には、驚きもし、感動もし、苦労もしたようです。
こんな機会を利用できた彼らは幸せだったと思います。
そんな彼らに、私は、次のようなメールを出しました。

「この1年は、素晴らしい思い出となったと思います。
普通の大学生には、味わえない、いい経験になったと思います。
目には見えないでしょうが、
きっと何か変わったこと、成長したことがある思います。
今度は、この経験を活かすために、
そんな成長した自分の活躍の場を見つけてください。

私は、一足先に沖縄を訪れました。
2月26日から3月2日まで、
恩納の「ゆりかしリゾート」に5泊しました。
そこをベースに、レンタカーで北部を中心に見て回りました。
家族は、水族館と海とホテルのプールがよかったようです。
私は、もちろん、地質調査ができたことです。

では、お元気で残りの学生生活を送ってください。」

という返事を書きました。