地球の仕組み

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Essay ■ 3_213 内核の話 4:地球ダイナモの更新
Letter■ 四万十層群・梅雨
Words ■ 梅雨入りしていますが涼しいです


(2023.06.22)
 内核の変化を、外核の変化から推定していきます。外核の変動は、ある時代の形成された岩石の、古地磁気の測定から調べることができます。ただし、その考え方は、いくつかの段階を経たものになります。


Essay■ 3_213 内核の話 4:地球ダイナモの更新

 前々回、内核の歪な成長の観測から、内核の形成が新しかったのではないかという報告を紹介しました。今回は、2段階のステップで内核の起源を考える論理になります。
 2段階とは、まず古地磁気を探ることで、地磁気の発生源の地球ダイナモの変化を知ることができます。地球ダイナモは、外核の流動によるものです。外核の流動は、マントルを通じての熱の放出によって駆動されていると考えられています。熱の放出は、外核の結晶化と内核の成長率に影響を与えます。つまり、古地磁気の変動は、内核の成長の変動と対応しているとみなしていきます。
 内核が成長する時は、地磁気が強くなると推定されています。逆に成長していない時は、地磁気が弱くなっていくことになります。この考えを用いた報告がありました。2022年のNature Communications誌に、アメリカのロチェスター大学のZhouさんたちの共同研究で、
 Early Cambrian renewal of the geodynamo and the origin of inner core structure
 (カンブリア紀初期の地球ダイナモの更新と内核構造の起源)
という報告がなされました。
 古地磁気の変動として、エディアカラ紀(約5億65000万年前)に非常に低い地磁気になっていたことがすでに知られています。そこから強い地磁気に戻っていきます。しかし、この変動の期間のデータが不足していました。
 この報告では、カンブリア紀初期(約 5億3200万年前)に形成された斜長岩を用いて、空白の期間を埋めるために、地磁気を測定しています。この観測データから、エディアカラ紀の低い時と比べて、5倍も大きい強度になっていることがわかりました。短期間に急激に変動したことになります。
 超低強度の地磁気の定義データから、変動の開始は5億5000万年前ころからと推定されました。その時期を変動の開始年代と仮定して、熱モデルを作成したら、3300万年以内で回復していきました。また、内核が現在のサイズの50%(半径620km)まで、約4億5000万年前には成長していたと考えられます。この50%という値は、前々回示した地震波異方性が見つかった位置に相当します。
 エディアカラ紀からカンブリア紀にかけて、内核の成長に大きな変化が起こっていたようです。
 今回の報告と、前々回紹介した報告は独立した研究でした。いずれもいくつかの仮定やモデルを用いたもので、観測データを説明しています。そこには検証性が少々問題がありそうでした。それが、今回、関連がでてきました。このような独立した方法での関連は、検証性を高めていくように見えます。


Letter■ ・四万十層群・梅雨 

・四万十層群・
このエッセイは、予約送信しています。
今回は、徳島から高知まで、
太平洋沿岸を調査して回ります。
海岸沿いのルートは、決まっているので、
以前にも訪れた露頭も多く巡ることになります。
しかし、典型的な露頭は、
何度みてもよく、いろいろと考えることもでてきます。
四万十層群で、さまざまな産状を見て回っています。

・梅雨・
梅雨になりました。
気象庁によれば、四国は5月29日に
梅雨入りしているとのことです。
6月上旬には台風の影響の大雨もあり
涼しい日も続いています。
梅雨のない北海道からきたので、
久しぶりの梅雨を体験していますが、
まだ蒸し暑い日があまりないので助かっています。


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