地球の仕組み

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Essay ■ 3_211 核の成長 2:歪な内核の成長
Letter■ 四国山地・台風2号
Words ■ 台風の被害はなかったでしょうか


(2023.06.08)
 内核の成長が、歪になっていることがわかってきました。インドネシアとブラジルの下では、内核の成長に違いが見つかりました。この観測から、地球の歴史や熱の歴史へと、話が波及していくことになりそうです。


Essay■ 3_211 核の成長 2:歪な内核の成長

 内核は鉄の結晶でできていますが、調べる方法は地震波となります。地震波の伝わり方を詳しく調べることで、一様でないことがわかっています。内核の深さとともに地震波速度が変化していること、内核の境界部が歪な形をしていることが見つかっています。
 赤道(東西)方向に伝わる地震波よりも、南北方向に伝わる地震波の方が速くなっています。ブラジル(東半球と呼んでいます)と比べると、インドネシア(西半球)が大きくなっていることがわかりました。成長の程度でいうと、東側のほうが60%ほど多く結晶ができていると見積もられました。西側では、半径が年間 1 mmの成長することになります。インドネシアの方が結晶化が進むということは、冷めやすいことも意味しています。
 このような地震波速度の変化は、核の力学的成長と鉄の結晶の物理的計算からシミュレーションしていくと、結晶が一定の方向を向いて成長(異方性といいます)していることで説明できました。インドネシア側だけが速く成長していることになり、観察のデータと一致しました。
 さらに、結晶の成長速度から、内核がかなり短時間で形成されてることが推定されました。これは内核の形成が若い(15億年前から5億年前)という説にも合っていました。
 内核の形成が、最近、内核が若いといわれてきています。しかし、30億年前にはすでに、地球には現在と同じ程の地磁気があったことはわかっています。現状の地球ダイナモに匹敵する磁場が、かつては液体の鉄だけで発生していたことになります。それは、現在の地球ダイナモとは異なったメカニズムになりそうです。そこについて、再考が必要になるかもしれません。
 また、もし15億年や5億年で今のサイズに成長してきたのなら、今後、液体の鉄がどの程度の期間、残るのことになるかも、気になります。
 このような内核の成長過程は、地球の磁場の歴史、あるいは熱の歴史にも大きな影響がありそうです。


Letter■ 四国山地・台風2号 

・四国山地・
今回も、予約送信しています。
四国山地に沿って東から西に向かって
野外調査をしていきます。
中央構造線の南側に沿って
険しい山並みが四国山地になっています。
構造線や山並みは東西に走っているので
東西の谷沿いに道があります。
ただし、険しい山中なので
移動に時間がかかりますが。

・台風2号・
台風2号による線状降水帯が
四国を通り抜けました。
2日には、町で緊急警報がでました。
高齢者等避難の状態でした。
激しい雨が降っていました。
洪水と土砂災害が心配でしたが、
3日には晴れ間が戻ってきました。
野外調査に出れるのでホッとしています。


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