地球の仕組み

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Essay ■ 3_205 下部マントルの鉱物 2:高温高圧実験
Letter■ 師走・卒業研究
Words ■ いよいよ12月なんとなく焦る気持ちが・・・


(2022.12.01)
 地震波で推定した地球内部の条件を実験装置で作り出すことができます。マントルの岩石を高温高圧状態にすることで、間接的ですが、深部を探る研究が進められています。


Essay■ 3_205 下部マントルの鉱物 2:高温高圧実験

 地球内部で浅いマントルを構成する岩石は、造山帯などでカンラン岩が見つかっています。もともとマントルにあった岩石を、直接調べることができます。しかし、マントルの浅いところの岩石しか地上にはありません。マントルはカンラン岩からできていることはわかってきました。
 間接的に調べる方法として、前回紹介したように、地震波を用いると、地球の中心まで探ることができます。その探査から、地球内部の密度や温度分布がわかってきました。マントルの岩石を地球内部の条件にすることで、深部の岩石の状態を再現することができます。このような方法は高温高圧実験と呼びます。
 高温高圧実験には、いくつかの手法があります。隅に切り込みを入れた超硬金属を組み合わせて、隙間に試料を入れて、大きな加圧装置で試料に力がかかるようにして、電熱線で加熱をする技術があります。これは非常の大掛かりな装置となります。2個のダイアモンドの狭い先端を平らにして試料を置き、両側から押すことで加圧し、結晶内をレーザーを通して加熱する技術もあります。これは、コンパクトな装置となります。また、高速で物質を発射した衝撃、あるいは爆発の衝撃波で、瞬間的ですが、高温高圧状態を発生する方法などもあります。いずれも実験室で実施される方法ですが、それぞれ長所短所があります。
 このような高温高圧実験で、地球深部の条件でカンラン岩がどのように結晶に変わっていくかを調べられています。カンラン岩を構成している鉱物は、カンラン石と輝石が主なものですが、高温高圧になるとペロブスカイト構造になることがわかってきました。ペロブスカイト構造とは、灰チタン石(CaTiO3)という鉱物がもつ結晶構造です。非常にコンパクトな構造で、密度が大きくなり、高圧条件で安定な結晶となります。カンラン石や輝石も、高温高圧ではその構造をもつことがわかってきました。
 高温高圧実験で合成された鉱物は、天然に存在するかどうかは不明です。そのため、天然の鉱物が見つかったときに、はじめて正式名称がつけられることになっています。通常の岩石では見つかりそうもありません。どんなところで見つかるでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 師走・卒業研究 

・師走・
いよいよ師走に入りました。
里にも何度か降雪がありましたが、
積雪にはなかなか至りません。
日毎に暖かい日や寒い日が繰り返されていますが、
少しずつ寒さは募っていきます。
北海道の冬は、雪があるのが、当たり前です。
ですから、一面が白くならないと
冬という実感がなかなかわきません。
本当は一面が白くなると
面倒なこともいろいろ起こってくるのですが。

・卒業研究・
12月上旬が、わが大学では卒業研究の締め切りになっています。
ゼミの学生は、必死になって取り組んでいます。
提出後の1月には発表会があるので
提出が終わっても、気を緩めることなく、
発表準備に入らなくてはなりません。
ゼミでは、年末に発表の予行演習をすることしています。
とりあえず作成しておくことと、
他の人の発表を見ておくことで
修正のための方針が立つはずです。
ラフな発表原稿と方針があれば、
安心して正月が過ごせるでしょう。
そんな親心ですが、伝わるでしょうか。


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