地球の仕組み

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Essay ■ 3_202 海と大気の起源 5:系外惑星での検証
Letter■ 近場の調査・夏の仕事が一段落
Words ■ 北国の夏も終わりそうです


(2022.09.15)
 原始地球の大気の形成に関する別の報告があります。その報告は、これまで紹介してきたシミュレーションと似た結果がでてきました。これは、地球でも起こっていた現象の有力な傍証になるでしょう。


Essay■ 3_202 海と大気の起源 5:系外惑星での検証

 原始地球から、小天体の衝突によって地球表層の揮発成分が剥ぎ取られたというシミュレーションにより、現在の地球の成分と材料の隕石との違いが説明できるという報告を紹介しました。
 この報告の目標は、過去の地球での出来事に関する「検証の確かさ」で、言い換えると「検証の検証」することができるかということです。シミュレーションとして答えが出たとしても、「本当に起こったか」どうかは不明です。地球の出来事は過去に起こっているので、過去の出来事を本当かどうかは、「時間の不可逆性」により、検証はできません。シミュレーションが扱った出来事の「検証の検証」は不能です。
 しかし、全く別の方法で同じような結果が示されれば、「検証を検証」することはできませんが、「検証の確かさ」を増すことができます。この小天体の衝突によって、大気が剥ぎ取られるという現象が、別の天体の観測で確認されてきました。
 シュナイダーマン(Schneiderman, L.)らの研究で2021年10月にNature誌に報告した
Carbon monoxide gas produced by a giant impact in the inner region of a young system.
(若い恒星系の内惑星領域における巨大衝突による一酸化炭素ガスの形成)
という論文です。これは、恒星HD17255という系外惑星(太陽系外の惑星)の観測によるものです。
 惑星形成の状態にある惑星での観測です。地球や太陽系のシミュレーションとは、まったく異なった方法である、他の天体の観測によるなので、独立した方法による検証となります。
 論文タイトルでは、衝突により一酸化炭素ガスができるという意味なので、そこから大気が剥ぎ取られたということをどう説明していくのでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 近場の調査・夏の仕事が一段落 

・近場の調査・
今週も野外調査にでかけました。
9月中旬になると、通常の校務の大変になってきて
下旬からは、後期の講義がはじまります。
今後、調査の日程があまりとれません。
2泊3日での短期での調査になります。
近場でじっくり見たいところを調査します。
今年の夏、最後の調査となります。

・夏の仕事が一段落・
論文の査読の修正、投稿も終わりました。
科研費の書類も先週末に提出しました。
2冊の本の原稿も先週、印刷屋さんに渡しました。
夏に予定していた大きな仕事を
すべて終えることができました。
次なる論文の準備も必要なのですが、
一段落となるので、調査で気分転換しました。
10月以降も調査ができればと思っていますが
講義が続きそうなので、どうなるでしょうか。


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