地球の仕組み

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Essay ■ 3_194 核の水 2:高温高圧実験
Letter■ 高温高圧発生装置・職域接種
Words ■ 秋が深まってきました


(2021.10.07)
 高温高圧実験は、いろいろな装置を用います。ダイヤモンドアンビル装置は、光や電磁波を通すという特徴があります。その利点を活かして、高温高圧状態での物質を、その場で観測します。日本ではSPring-8が利用できます。


Essay■ 3_194 核の水 2:高温高圧実験

 地球深部を探る方法として、高温高圧実験があります。シミュレーションの一種ですが、知りたいところの地球内部の物質を用意して、そこの温度圧力条件においたとき、どのような状態になるかを調べるものです。
 実験では、一定時間、高温高圧条件に物質をおいて、一気に常温常圧にもどして(急冷、quenchといいます)、鉱物を入手し、それを調べていきます。一定時間といいましたが、安定的(平衡状態)に鉱物が形成される間となりますが、それは経験的に求められるものです。また、急冷することで、高温高圧状態の鉱物が残ることもありますが、残らないことも多々あります。残らないとしても、残存した鉱物の形態や急冷でできた鉱物から、高温高圧状態の鉱物を推定することは可能です。このような方法で高温高圧実験が進められてきました。
 現在、兵庫県には世界に誇る大型放射光施設SPring-8があります。SPring-8は兵庫県にある、円周1400kmや140mの直線状の加速器など、多様で強力な電磁波が発生できる装置です。その電磁波を、高温高圧状態の物質に当てることで、その場で物質の状態を観測することができます。
 この実験は、ダイヤモンドを用いて実験をします。宝石のダイヤモンドのようにカットして研磨したものを用います。ただし、底を平らにしたものを2個用意して、底同士をあわせて、その間に試料をセットして、ネジを用いて締めることで、圧力をかけます。
 パンプスのヒールの面積が狭く、尖っているほど、踏まれると痛くなります。これは、同じ圧力(体重)でも力のかかる面積が狭いほど、単位面積あたりの圧力が強くなる原理です。ダイヤモンドの底の面積が狭いほど圧力が上がります。このような高温高圧装置はタイヤモンドアンビルと呼ばれています。ダイヤモンド自体が高価なので、失敗して破損すると大きな痛手となります。
 なぜそんな高価なダイヤモンドを用いるかというと、圧力かけても耐えられる硬さも重要なの条件なのですが、温度を上げるために、レーザー光を用いています。レーザー光を高圧状態にして物質に当てることで高温を発生します。ために、光を透過する物質でなければなりません。また、観測するために必要な電磁波を通すことも重要になります。そのような理由で、ダイヤモンドが用いられています。
 タイヤモンドアンビルの技術は日本が先進的で、地球中心部の条件も発生できます。SPring-8が加わることで、地球深部の研究でも、日本がリードできます。
 現実のマントルや核は調べることはできませんが、地球深部の条件で存在する物質の状態を、直接調べることができます。シミュレーションの一種ですが、条件や物質には不確かさがありますが、実物の試料を観測することで検証するという強みがあります。高温高圧実験のその場観測によって、間接的ではありますが、より実態に近い状態で地球深部を調べることができます。
 タイヤモンドアンビルとSPring-8を用いた高温高圧実験による、地球の核に関する研究成果を、次回からは、紹介していきましょう。


Letter■ 高温高圧発生装置・職域接種 

・高温高圧発生装置・
高温高圧発生装置は、大きなものでは、
広い実験室を占めるほどのものもあります。
タングステンカーバイトという
超硬度の合金をアンビルを用いるもの、
加圧を二段階や、油を用いるものなど
いろいろなタイプがありますが、
それぞれの長所短所がありますが、
高温圧実験に関しては、
日本が成果をリードしていました。
私が以前いた研究所にも
巨大な高温高圧発生装置がありました。
私自身は使う実験はしていませんでしたが、
よく出入りしていました。
懐かしく思います。

・職域接種・
北海道も緊急事態宣言が解除され、
店や仕事は徐々に条件がゆるくなっていきます。
大学も危機管理レベルが1になり、
対面授業が一部ですが、もどってきました。
職域接種で二回目のワクチン接種もはじまりました。
自粛生活を続けていますが、
緊急事態宣言の解除で、
精神的にはかなり楽になってきました。
感染対策はしていくことになるでしょうが。


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