地球の仕組み

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Essay ■ 3_192 地磁気逆転 4:影響
Letter■ 太陽嵐・晩秋から冬へ
Words ■ 冬が近づいています


(2020.11.05)
 今回のシリーズの最後に、もし現在、地磁気の逆転が起こった場合を考えていきましょう。地磁気の変動からその危険はあるようです。地表では、生物には、人類には、大きな影響がでてくるようです。


Essay■ 3_192 地磁気逆転 4:影響

 ここまで、チバニアンに起こったもっと最近の地磁気の逆転を見てきました。数万年に一度の現象なので、「現在を調べる科学」(地球物理学や地球化学など)では、過去のことを調べることができません。また、「人類が残した記録を通じで調べる科学」(考古学や人文歴史学など)でも、78.1万年前の現象は記録されていません。これまで、地磁気の逆転を人類が経験をしたことも、科学で観測されたことももないので、過去の現象を調べるしかありません。そのような学問としては、地質学を活用するしかありません。
 ここまでのエッセイで述べてきたように、チバニアンで起こった松山−ブルン地磁気逆転が、もっとも近い時代に起こった事件となります。その時代の地層を詳しく調べてわかったことは、前回まで紹介したように、2万年間、双極子磁場の強度が弱い状態が続き、非双極子ができては消えるという、不安定な状態になります。このような状態のとき、地球はどのような環境になるのでしょうか。
 地磁気全体が弱まるので、磁気圏のバリアの効果が薄れます。そのため、太陽風や銀河風などの強いプラズマや電磁波が大気圏内に入ってきます。低緯度でも頻繁にオーロラが発生するかもしれません。地表まで達すると、陸上生物、海面付近で暮らす生物に、影響を与える可能性があります。強烈な宇宙線を浴びることになり、DNAの鎖を切れてしまうことで、癌化する細胞が多くなるでしょう。宇宙線や電磁波の強度によりますが。人類にも、少なからぬ影響を与えるはずです。
 現在、人類の科学技術の多くは、電子機器に依存しています。先端の電子技術を用いた、つまりほぼすべての産業や文明は、壊滅的な被害を受けることになります。電磁波からの影響から守るためには、多大なコストがかかるでしょう。
 当面、使用可能なのは、昔ながら電気を用いないアナログな道具や機械になることでしょう。一次産業でも、昔ながらのガソリン・エンジンや蒸気機関、人力や牛馬を用いたものは、影響はないでしょう。そんな状態は、19世紀のような時代に逆戻りすることになります。現在、文明になれた人類に耐えられるのでしょうか。まるで、SFのような話しかと思っている方も多いでしょう。
 「3_180 北磁極の移動 1」(2019.08.22)から「3_184 北磁極の移動 5」(2019.09.19)のエッセイで、最近、磁極の移動速度が、5倍以上も速くなっていることを紹介しました。その時、今後地磁気の逆転が起こる予兆かもしれないという話しをしました。この現象が、もし逆転の予兆なら、どれくらいの猶予があるのでしょうか。今後の課題です。
 チバニアンの地層が、未来の危機に対して、重要な情報をもたらすことでしょう。チバニアンの認定は終わりました。今後は、地質時代としての重要性に着目した研究での貢献が期待されます。


Letter■ 太陽嵐・晩秋から冬へ 

・太陽嵐・
地磁気の逆転による被害は、予想もつきません。
太陽面での爆発であるフレアの巨大なものは太陽風と呼ばれ、
地表でも影響を受けることが知られています。
10年に一度ほどこのような現象がおこっています。
太陽嵐は、2013年には電波障害や停電が起こっており、
2015年には北海道の名寄でオーロラが観測されています。
ハッブル宇宙望遠鏡も太陽にもっと船体の厚い部分を向け
宇宙ステーションでは影響を受けにくい
位置に乗組員は避難する体勢を取ります。
CCDなども、宇宙空間に長く置いていると
宇宙線によって画素がかなりダメージを受けるそうです。

・晩秋から冬へ・
北海道は、各地の峠などで初雪のニュースが聞かれます。
私の町では、まだ初雪はありません。
でもストーブはかなり頻繁にたくようになりました。
厳冬期ほどの一日中、つけることはありませんが、
朝夕には毎日つけるようになりました。
いよいよ秋も終わりに近づいています。


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