地球の仕組み

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Essay ■ 3_187 地磁気とマグマの海 3:マグマオーシャン
Letter■ 梅雨前線・論文の完成
Words ■ 今年の梅雨は長くて天候不順


(2020.07.23)
 地磁気は、現在の生物にとってはバリアとなっています。昔は、地磁気が生物にどのような影響を与えていたのでしょうか。地磁気と生物の関係に対して、新しいアイディアが提案されました。


Essay■ 3_187 地磁気とマグマの海 3:マグマオーシャン

 地磁気のはじまりついてですが、実はいつから始まったのかは、はっきりとはわかっていません。34億年前からあったという説から最近できたという説まで、いろいろあります。外核の熱対流を大きく左右する固体核ができたのが10億年前だという説、あるいは地球ダイナモが働き出したのが10億年前からいう説まで、地磁気の原因に関する考えもさまざまです。古い磁気の強度の検出が難しいので、未解決のことも多いようです。
 現在の地球生物は、地磁気のバリアに守られているのですが、地磁気のバリアがない時、生物にはどのような影響を受けるのでしょうか。カンブリア紀以前、生物は海水中で暮らしていたので、有害な宇宙線は海中深くには入り込まず、問題はなかったと考えられます。水がバリアになっていました。
 地球の磁場は、海水中に暮らしていた生命には関係がなかったのでしょうか。2020年2月に発表された報告で、重要な役割を果たしていたのではないかという説がでてきました。スティクスルードと共同研究者が、「Nature Communications」という科学雑誌に報告した、
 A silicate dynamo in the early Earth
 (初期地球内での珪酸塩ダイナモ)
というシンプルなタイトルです。
 この報告では、地球初期からダイナモが働いて地磁気があったとしています。珪酸塩ダイナモが重要です。ここまで述べてきたように、地球のダイナモは、金属鉄の流動によるダイナモがその由来となっていました。金属鉄ではなく珪酸塩がダイナモ(発電)しているというのです。
 この報告によれば、地球形成から数10億年間の磁場を生み出していたのは、地球初期に形成されていたと考えられるマグマオーシャンだと主張しています。マグマオーションとはいっても、基底マグマオーシャン(basal magma ocean)と呼ばれる液体の層が磁場を生み出していたと考えています。
 そもそもマグマオーシャンとは、どんなものでしょうか。マグマオーシャンとは、月の観測から提唱され、そこから一般の天体へに適用されたものです。
 天体は、小天体が衝突合体しながら成長していくと考えられています。小天体が衝突すると膨大なエネルギーが放出されます。その時、気体成分も放出され、主な成分は二酸化炭素で、原始天体の大気となります。二酸化炭素の大気があると、温室効果も起こります。激しい衝突が続くと、天体表面は溶けてマグマの海ができたまま維持されます。この状態がマグマオーシャンと呼ばれています。月では、マグマオーシャンで形成されたと考えられる岩石が月の高地をつくっている岩石だと考えられています。月は惑星形成の初期の様子を残しています。
 やがて、公転軌道上の小天体は、一番大きな天体にすべて衝突合体されてしまうと、冷却がはじまります。それぞれの天体は、独自の進化がはじまっていきます。
 では、基底マグマオーシャンとは、どんなものなのでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 梅雨前線・論文の完成 

・梅雨前線・
本州は、まだ梅雨前線が居座っているようで
今年の梅雨明けは遅れそうです。
北海道も、すっきりとしない天気が続いています。
晴れたり、曇ったり、雨が降ったり、蒸し暑い日など
一日で目まぐるしく変わります。
体調を壊してしまいそうです。
新型コロナウイルスの収まらない流行の中なので
感染にも注意しなければなりません。
心の重い日々が続きますが、
皆様も体調にはご注意ください。

・論文の完成・
7月は論文にかかりきりになっていました。
なんとか当初の目標を達成して
書き終わることができました。
文章量が、投稿規定の2倍以上になってしまいました。
一応投稿しますが、編集委員会がどう判断するでしょうか。
デジタル出版なので文章量の制限は不要だと思うのですが。
論文は、一連の内容となっているので、
分割するのは困難です。
まあ、投稿してからの判定を待ちましょう。


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