地球の仕組み

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Essay ■ 3_184 北磁極の移動 5:移動速度と逆転
Letter■ 休日への配慮・校務出張
Words ■ 危機への対処を


(2019.09.19)
 磁極の移動速度が大きくなっています。これは何を意味しているのでしょうか。もしかしたら、地磁気逆転の前兆現象かもしれません。文明社会は、逆転現象を経験をしていません。科学技術では、大きな混乱が起こるかもしれません。


Essay■ 3_184 北磁極の移動 5:移動速度と逆転

 外核の液体の金属鉄が対流することが、地磁気の発生原因でした。地磁気は流体の流れに由来しているため、不安定で、変動が起こり、時には磁気のN極とS極が反転するようなことも起こります。地磁気の逆転は、過去に何度も起こっており、今後も起こると推定されます。
 現在の北磁極はカナダのエルズミーア島の西の北極海にあり、1900年頃にカナダ本土のすぐ北にあったことは、すでに紹介しました。その移動距離は、100年ほどで1100kmになります。平均すると年間10kmほどになります。しかし、長期間、詳しく観測していると、移動速度が変動していることもわかってきました。
 1970年には年間9kmであった移動速度ですが、2001年から2003年までは年間41km、近年では年間55kmほどになってきました。移動速度がだんだん大きくなっていることがわかってきました。
 地磁気の観測は、地理作成や移動、交通など現在の社会では重要な情報になっています。ですから、定期的に観測をしてデータが公開されています。アメリカ海洋大気局(NOAA)は、通常5年毎にデータを更新しているます。しかし、NOAAは、2019年1月に1年前倒して4年でデータを更新しました。それは「北極地方における予期せぬ変化のため」としています。
 上でも紹介しましたが、北磁極の移動は、外核の対流の変動のためだと考えられています。ですから、現状のまま変動し続けると、もっと大きな異変が起こる可能性もあります。その異変とは、磁極の逆転です。
 過去に磁極の逆転は何度も起こっているので、今回の北磁極の移動のその前兆かもしれません。もっとも最近の逆転事件は、これも前に紹介しましたが、258万1000年前から77万年の松山期と呼ばれる、現在とは逆磁極期がありました。詳しくみると松山期にも、短い期間(数万年)での正磁極期になる逆転現象が、5回ほど起こっていますが、全体としては逆磁極期が長いため一括して松山期とされています。他の磁極期でも、同様に短い逆転現象が、多数起こっています。
 77万年前から現在までは、「ブリュンヌ正磁極期」と呼ばれています。不思議なことに、ブリュンヌ正磁極期には、逆転現象が全く起こっていません。この77万年間、地磁気が非常(異常?)に安定している時期となっています。外核の対流を考えると、いつ逆転現象が起こってもおかしくはありません。今回の移動速度の変化が、磁極の逆転につながる前兆かもしれません。
 逆転は少なくとも数百年、数千年の期間かけて起こるでしょう。その間、地磁気が弱まったり、なくなったりすることになるはずです。70万年以上逆転現象がないので、現在起こると、どのようなことが起こるかは、記録もなく不明です。
 その時を推定できる小規模な現象が、時々起こっています。太陽のフレアの激しい活動で、地球に磁気嵐が起こります。磁気嵐では人工衛星の故障や通信障害などが起こりました。現在社会は、ますます電波や電子機器に依存しています。もし逆転現象が起これば、地磁気が長期間なくなることになります。そこで、大きな混乱が起こかもしれません。
 たとえ今回の移動速度が逆転現状の前兆ではなくても、やがて地磁気の逆転現象が起こるはずです。その時の対処も考えていてもいいのではないでしょうか。


Letter■ 休日への配慮・校務出張 

・休日への配慮・
月曜日休日が2回、連続します。
大学は夏休み期間の終わりなので、
23日の秋分の日だけが休講になっています。
曜日ごとの週間スケジュールでものごとでは
この月曜日の休日のシステムは、大きな影響があります。
しかし、国には祝日を多くすることのほうが重要なようなので
学校教育などの不都合は顧みられません。
まあ、今の国は、国民、庶民への配慮は少ないようです。

・校務出張・
今週後半は、1泊で校務で出張します。
宿泊の出張は、頭さえ切り替えておけは、
気分転換となります。
早朝の出発なので自家用車ででかけます。
そのため、体力的は疲れそうなので
無理をしないように早目にでて
休み休み行こうと考えています。


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