地球の仕組み

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Essay ■ 3_182 北磁極の移動 3:コアの対流
Letter■ 大洪水・バタバタと
Words ■ 北海道は晩夏です


(2019.09.05)
 地球の北磁極の移動について考えています。地磁気の北極と南極の位置が、地球の中心を通る反対側にないことを、前回紹介しました。今回はその理由について説明していきましょう。


Essay■ 3_182 北磁極の移動 3:コアの対流

 地球の磁場は強力で、表層だけの現象ではなく、大気圏外にもその影響は及び、太陽や銀河の中心付近から高速で飛んでくる、電荷を持った粒子(プラズマと呼ばれます)を弾いてしまいます。このプラズマ粒子は一種の放射線でもあるので、生命体には危険な存在です。地球磁場のおかげで、地球の外からの粒子が表層に降り注ぐことなく、安全に保たれています。
 では、そもそも地球の磁場は、どのようにして発生しているのでしょうか。地球の内部に原因はありそうです。しかし、地球内部は、直接見ることができないので検証は難しく、間接的証拠で、一番もっともらしい仮説で考えていくしかありません。
 まず、地球の地殻やマントルでの発生の可能性はどうでしょうか。地殻もマントルも岩石からできています。岩石には、磁気をもった鉱物(磁鉄鉱など)があります。磁鉄鉱を多く含む岩石(ある種の花崗岩)でも、方位磁針を近づけると、少し揺らすことができるほどの磁力しかありません。ほとんどの地殻の岩石は、地球の磁力の発生源にはなりません。また、マントルのカンラン岩には、磁性をもった鉱物はほとんど含まれていません。
 地殻やマントル以外のところとなると、核しかありません。地震波などの観測、天体物理的推定、隕石の類似性などから、核は金属鉄(少量の金属ニッケルも含む)からできていると考えられています。また、地震波から、内核は固体ですが、外核は液体であることは、間接的ですが検証されています。以上のことから、外核に液体の金属鉄、内核が固体の金属鉄となっていると推定されます。金属鉄は磁力を伝えやすく、またもし電気が流れて、その電流の媒体が動いていれば、磁場を発生することはができます。
 外核が液体の金属鉄で、温度にムラがあれば対流するでしょうし、地球の自転でも動くことが考えられます。このような金属鉄の対流によって電流が生じれば、磁場を発生することにできます。外核は、地球に占める体積でも質量でも非常に大きな割合になっています。外核が磁場を発生するとなれば、内核は磁石として働きます。その磁力は地球全体にも及ぶほどのものになるはずです。このような対流による発電は、「地球ダイナモ説」と呼ばれています。地球ダイナモ説は仮説ではありますが、理論的にかなり究明されているので、地磁気の原因が、外核の対流によるものだとされています。
 対流による磁力なので、永久磁石のように安定したものではありません。外核の温度もムラも均質とは限りませんので、対流も複雑なものと考えられます。そのようなことから、地球の磁場の全体としては、自転軸にそっているようですが、正確に地球中心を通るものではないことも理解できます。これが、地磁気のずれの説明となります。
 地球磁場の不安定さによって、今回のシリーズである北磁極に移動や、もっと不思議な現象が起こったことも知られています。


Letter■ 大洪水・バタバタと 

・大洪水・
山陰地域の調査から、今週はじめに帰ってきました。
今回の調査は、ほとんど目的を達成できませんでした。
九州に災害をもたらした大雨は
中国地方西部でも激しく降りました。
ちょうど、調査予定地の津和野、山口市、萩、美祢などにいる時、
洪水警報、避難勧告などが次々と出ていました。
調査の8日間の内、移動日の2日(曇り)以外、
晴れは1日、曇が1日で、あとはすべて大雨でした。
泊まるところが大丈夫かどうか、不安になるほどでした。
安全第一を考えて行動しました。

・バタバタと・
北海道は帰ってきた日は少々蒸し暑かったですが、
翌日からは秋晴れになりました。
今週は、週末には出張、日曜からは帰省となるので、
バタバタしています。
調査のデータを十分まとめることが
できないうちに、次々とすべきことがあります。
まあ、長期の調査のあとには
付きもののことですが。


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