地球の仕組み

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Essay ■ 3_172 核の姿 7:対流と磁場
Letter■ 大阪北部地震・九州へ出張
Words ■ 地震の被害はなかったですか


 シリーズで紹介した最初の論文で、7億年前に内核ができたと示されました。それ以前の地球では、磁場の形成の仕組みについて、再考しなければなりませんでした。二酸化ケイ素の結晶化が、この原因となりそうなのです。


Essay■ 3_172 核の姿 7:対流と磁場

 前回紹介しましたのは、核内で軽い成分として含まれていたケイ素と酸素が、核の上部、一番浅いような条件では、固体として結晶化するという実験結果でした。結晶化した二酸化ケイ素は、溶けた鉄より密度が小さいので、浮いてマントルの底に付け加わることになります。一方、軽い成分が抜けた鉄の密度は大きくなり、深部へ沈んでいくことになります。その結果として、核内で溶けた鉄だけで対流が発生する可能性が、指摘されました。では、そこから、地球の歴史に、どのようなシナリオを付け加えることができるのでしょうか。
 内核として固体の鉄ができはじめたのが、7億年前からだということは、このシリーズの前半で紹介しました。地質学的にはそれよりずっと古くから磁場が発生したことがわかっています。そのために、核内で対流を起こしていはずです。しかし、核内の対流には問題がありました。
 もし、溶けた鉄だけで対流を発生するには、熱が核からマントルへ移動していく必要があります。そのためには、地球全体が急激に冷却されなければなりません。そうなると、地球初期には核がすごく高温でなければなりません。マントルも、それに伴って高温になっていたはずです。この仮定は、地質学的な観測事実と矛盾することになります。
 今回の報告で、固体の鉄がない、溶けた鉄だけから核ができていた時代でも、二酸化ケイ素の結晶化が対流の原因とできます。液体の核が対流すれば、地球ダイナモ理論によって磁場発生することになり、これでこれまで課題を解決できます。結晶化は、物理的な条件があれば、必然的に起こるものです。地球の冷却に伴って二酸化ケイ素が結晶していれば、それが核の対流を引き起こせます。さらに冷却が進めば、鉄の結晶化も対流の駆動力になるでしょう。
 この論文では、さらに推測が進みます。もし、地球誕生時から磁場があれば、強烈な太陽風や紫外線などの電磁波などから、地球表層を守ることかできます。さらに磁場があれば、大気の宇宙空間への散逸を防ぐこともの可能だと考えました。これは地球の海を守ることにもなるはずです。
 地球深部の小さな結晶ができる条件があったことが、地球表層の環境を守ること、つまり現在の海と生命のあふれる地球にいたる道へとつながったかもしれないのです。壮大なストーリーですね。検証は今後必要でしょうが。


Letter■ 大阪北部地震・九州へ出張 

・大阪北部地震・
大阪の地震は出張中に知りました。
皆様は大事はなかったでしょうか。
母が京都に住んでいます。
風邪で寝ていたそうで、
突然激しい震動で驚いて起きたそうです。
その後は、頭上にものがない部屋で過ごしたそうです。
ものが倒れたそうですが、
大きな被害はなかったようです。
京都に住んでいる長男は、当日は休みだったそうです。
驚いて起きたそうですが、また寝てしまったとのこと。
連絡がつかなったので、
家内とども、被災したのかと気をもんだのですが
若者は、気楽なものですね。

・九州へ出張・
先週末、学会で九州にいきました。
学会自体は2日間でしたが、前泊と後泊をして
3泊4日の出張となりました。
久しぶりの九州でした。
なにより、のんびりとした気分で旅を楽しみました。
自身の野外調査では、基本的に車移動になるのですが、
今回は公共の乗り物と自分の足だけで移動しました。
レンタカーも使いませんでした。
観光地めぐりもなく、移動の行程を楽しむこと
ゆっくりとした、滔々とした時間の流れを楽しめました。
いい気分転換となりました。


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