地球の仕組み

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Essay ■ 3_170 核の姿 5:若い内核
Letter■ 道南調査3・YOSAKOIソーラン
Words ■ 北海道の初夏を知らせるYOSAKOIソーラン祭りがはじまりました


(2018.06.07)
 微小な部分を内核の条件にして、そこで電気伝導度を測定してます。ただし、そのためには、微小部分への特殊な技術の導入が必要でした。その技術を開発をすることで、今回の実験が成功しました。


Essay■ 3_170 核の姿 5:若い内核

 今回の実験を一言でいうと、レーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセル装置内に収束イオンビーム加工装置で配線をした試料を内核の条件において、電気伝導率をSPring-8で計測した、となります。少々難しいのですが、少し詳しくみていきましょう。
 ダイヤモンドアンビルとは、2つのダイヤモンドのとがった先端を少し平らにして、向かい合わせにして、押し付けると、その先端には高圧が発生します。先端の面積を小さくすればするほど、高圧になっていきます。先端を直径数10μmほどにして、そこに実験する物質を置きます。ダイヤモンドアンビルでは、約360万気圧という地球中心部の圧力まで発生することが可能です。
 なぜ効果なダイヤモンドを使用するかというと、硬いということと、光もレーザー光も通します。レーザー光を用いると、挟んだ物質を加熱することができます。この装置で目的の試料となる鉄を、内核の温度圧力条件にすることが可能となります。さらに、試料を温度圧力条件を保持したまま、SPring-8から出てきたX線マイクロビームを照射します。そこから出てくるX線回折像から、高温高圧条件のまま結晶構造を求めることができます。
 しかし、これまで試料が直径30μm以下の非常に小さな部分で、電気伝導率を測定することはできませんでした。そこで太田さんたちは、収束イオンビーム加工装置というものを用いて、微小な部分での電気配線をする仕組みを開発しました。その装置を用いて電気伝導率を測定できるようにしました。157万気圧、4500Kまでの条件で電気伝導率を測定しました。
 その結果、約90W/m/Kという値をえました。これはシミュレーションによる値と同じになりました。そこから、前に述べた方法で、内核の年齢を計算したら、約7億年前という値になりました。
 もしこの結果が正しければ、地球誕生から約7億年前まで、約30億年間、内核は存在しなかったことになります。これは、地球誕生時に核内に蓄えられた熱が非常に多く、そして冷めるスピードも遅かったことになります。そして内核の成長速度も非常に速くなります。
 これまで地質学的には、約13億年前に磁場強度が増えた時期があり、それは内核の誕生に関係したものだと考えられていました。今回の結果が正しければ、内核以外で、磁場の変化の原因を考えなければなりません。地球の歴史についても、いろいろと再考が必要になりそうです。
 今回の実験は、鉄を用いておこなわれていますが、核には鉄より軽い元素が含まれていることがわかっています。鉄以外の成分が入っていると、熱伝導率が変化するかもしれません。現実の核の成分で、再度実験を行う必要があります。今回の手法は、そのような成分が加わっていても実験可能だとされていますので、より現実に近い核の成分での実験がなされることが期待されます。
 次回は、もうひとつの核の新知見は、核内で石英があるのではないというものです。今回の結果とも関係するものでもあります。


Letter■ 道南調査3・YOSAKOIソーラン 

・道南調査3・
先週後半から今週はじめまで道南にいっていました。
少し雨がぱらついたり、風が強かったりしたのですが、
基本的には調査は順調に進みました。
ただし、目的を達成できたどうかは、問題です。
目的を達成できるような露頭が発見できるかどうかです。
今回は沢筋にはいったのですが、
露出がよくなく、風化も進んでいました。
やはり海岸沿いの露頭がいいようです。
今回新たな露頭をいくつか発見し、
これまでの調査で発見した露頭を再調査しました。
まあ、すべてが上手くいったわけではないですが、
それなりの成果を上げられたというところでしょうか。
来月にもう一度、調査に行く予定です。

・YOSAKOIソーラン・
北海道の初夏を象徴する
YOSAKOIソーラン祭りがはじまりました。
大学のチームも、毎年参加しています。
祭りの初日には、大学で出陣式をおこないます。
私も毎年、見学しています。
今年はゼミの学生もいます。
メンバーの学生は、この6月を目指して
日々練習を積んできました。
がんばって踊ってもらいたいと思います。


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