地球の仕組み

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Essay ■ 3_168 核の姿 3:内核の形成時期
Letter■ エゾハルゼミ・道南調査
Words ■ エゾハルゼミの鳴く声に初夏を感じる


(2018.05.24)
 地球の核について新たにわかってきたことが、2つあります。ひとつは、内核の形成された時代が非常に若いということ、もうひとつは核の成分に石英が混じっているいるということが報告されました。まずは、内核の形成時代についてみていきましょう。


Essay■ 3_168 核の姿 3:内核の形成時期

 地球は、液体の外核と固体の内核があることは紹介しました。この内核と外核の形成はいつ頃かという話題について報告がありました。その前に、地球の冷却史を概観しましょう。
 地球ができたての頃は、小天体や隕石が頻繁に衝突、合体を繰り返していたので、地球は外から内部まで、高温の状態だったと推定されます。衝突がおさまってくると、冷却がはじまります。このエッセイで何度か紹介していますが、38億年前には海ができきていた証拠があります。つまり、地表は水が存在できるほどに、冷めていたということです。さらに同時期には、プレートテクトニクスが起こっていたこともわっていますので、地球の内部の冷却がすでにはじまっていたことになります。そして、25億年前には大きな大陸が形成され、コアの冷却に伴って内核も成長し始めたと考えられていました。しかし、内核の形成時期については、十分な証拠があるわけでありませんでした。
 液体の核が流動していれば、地球ダイナモ理論というものによって、地球では全体が磁石となり地磁気が形成されることになります。過去の地磁気(古地磁気と呼ばれています)は、地層や火山の磁気の測定から、その存在を知ることがきます。35億年前の岩石には、もう地磁気があったと考えられています。ですから、地球の初期にマントル(岩石部分)と核(鉄の部分)が分離していたと考えられます。
 プレートテクトニクスが働いて冷却がはじまると、ある温度(鉄が結晶化する温度)まで下がってくると、液体から固体が生じるようになるはずです。液体の外核の冷却によって、鉄が固化し沈殿していき、固体の内核ができてきます。内核は高温(5000℃から6000℃)なのですが、圧力が非常に高圧(360GPa以上)なので、鉄が結晶化します。
 核は中心から半径3500kmまではあるのですが、そのうち約1200kmは固体であることが、地震波からわかっています。これが内核となります。地球ではプレートテクトニクスが現在も働いていますので、今も冷却を続けていいます。内核は成長中なのです。
 固体の鉄が沈殿し始めてきたのが、内核の形成のスタート時期となります。実は内核の形成時期については、よくわかっていませんでした。Natureという科学雑誌に、2016年6月に
Experimental determination of the electrical resistivity of iron at Earth’s core conditions
というタイトルで掲載されたものです。詳細は、次回としましょう。


Letter■ エゾハルゼミ・道南調査 

・エゾハルゼミ・
エゾハルゼミに鳴き始めました。
この声が聞えると、一気に初夏に突入です。
青空のエゾハルゼミはなかなかいいものです。
北海道も短い春が終わったのです。
昼間はかなり暑くなっていますが、
朝夕はまだ寒いくらいです。
さすがに、ストーブはもうたかないと思いますが。

・道南調査・
道南に調査に4回でることになりました。
一度目はゴールデンウィーク前半に
2度目5月中旬(先週末)に、
来月早々に3度目、4度目が7月上旬です。
一度目の調査でなかなか面白いところを発見したので、
そこを詳しく調査していくことにしました。
先週は、2回目では、最初の重要箇所を調査を終えて、
次回の3度目は、次なる重要露頭を集中的に調査する予定です。
4度目は、再調査のためにとっています。
詳細は、GeoEssayの方で紹介していきます。


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