地球の仕組み

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Essay ■ 3_160 海の水の寿命 3:蛇紋岩の水
Letter■ 年末は・好きこそ
Words ■ よいお年を


(2017.12.28)
 海洋プレートのカンラン岩の部分にも、水が染み込む可能性がでてきました。すると、今までの海洋地殻だけの水の持ち込みとは、違った見積もりになってきます。海のどんな未来を、予測させるのでしょうか。


Essay■ 3_160 海の水の寿命 3:蛇紋岩の水

 これまでは、海洋地殻だけが、地球深部に水を持ち込んでいると考えられていました。海洋地殻の含水率は、重量で2.1%でした。これで地球深部に持ち込まれる水の量を見積もると、年間1.1×10^9トンとなります。
 海洋地プレートのマントル部のカンラン岩には、アウターライズ断層で水がマントルまで、染み込んでいることがわかってきました。もしそうなら沈み込む海洋マントルにも、水が含まれている可能性があることになります。
 そこで、海洋プレートを構成している海洋地殻や海洋マントルに、どの程度水を含むのかが問題となってきました。それは、海洋プレートが海溝で沈み込む時、地下深部に、どの程度水を持ち込むかということが基準になるからです。沈み込み中に水が絞り出されて、ある程度の地表に戻りますが、その量は見積もることができ、年間2×10^8トンと考えられています。ですから、沈み込む海洋プレート全体での水の量がわかれば、もとの水の量を引けば、地球深部に入っていく量が見積もれます。
 畠山さんたちは、カンラン岩が水を含んだ時できる蛇紋岩で、透水実験で調べていきました。千葉の嶺岡帯と海洋地域(パレスベラ海盆、マリアリ海溝、トンガ海溝)から得られた蛇紋岩の浸透率(含水率)は、重量で2.3%の水を含むことがわかりました。
 カンラン岩(蛇紋岩として)には、重量で2.3%の水が含まれています。従来のモデルでは、地球深部に持ち込まれる水の量は、海洋地殻の厚さが7km分で考えていました。しかし、水が染み込む可能性があるマントルの厚さは5kmほどあるので、それが加わることになります。厚さと浸透率から、地球深部に持ち込まれる水の見積もりは、年間は約2.3×10^9トンとなりました。
 海洋地殻だけでは年間1.1×10^9トンでしたが、海洋マントルも加わると年間2.3×10^9トンとなり、これまでの見積もりの倍以上の水が、地球深部に持ち込まれる可能性がでてきました。
 これらの見積もりから、海水の未来が導きだされました。現在の海水の量は1.4×10^18トンとなります。そこから年間2.3×10^9トンの海水ががなくなっていきます。すると、6億年間で海水がなくなるという見積もりになったのです。
 しかし、この見積もりに、いくつかの疑問があります。それは次回としましょう。


Letter■ 年末は・好きこそ 

・年末は・
我が家での年末の行事は、
餅つき機による正月用の持ちをつくこと、
大晦日に年越しそばを食べることくらいです。
子どもたちは紅白歌合戦をみているようですが、
私はいつもの時間には布団に入っています。
実は、先週、すでにもちをついて家族で食べました。
しかし、実家の母がもち米を送ってくれるので、
昨年度の古いもち米を消費するためでした。
正月用のもちは、今年の新米のもち米でつくことにしました。
これは、30日につく予定です。

・好きこそ・
今年最後のエッセイとなりました。
大学の講義は26日で終わりました。
私はいつもと変わりなく、年末も大学で仕事をしてます。
締め切りに追われて、いつも仕事をしています。
正月も自宅で多分、いつものように
追われている仕事をしていることでしょう。
もしこれがノルマとして強制的に行われていたら、
ブラックな働き方になりますね。
でも、好きでやっていたら問題はないはずです。
皆様も良いお年をお迎えください。


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