地球の仕組み

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Essay ■ 3_146 地下5kmのダイヤモンド 3:蛇紋岩
Letter■ 秋から冬へ・達成感
Words ■ 成功体験を大切に


(2015.11.12)
 化学気相成長と呼ばれる方法でもダイヤモンドは形成されます。その方法は、比較的低温低圧でも可能で工業で用いられています。化学気相成長は、地球の自然の中でも達成できるでしょうか。その場所を突き止めたという報告されました。


Essay■ 3_146 地下5kmのダイヤモンド 3:蛇紋岩

 化学気相成長法によるダイヤモンドの形成が可能であることは、前回紹介しました。この方法は、工業的には実用化されているものです。化学気相成長法で形成されたダイヤモンドが、天然に産することはないのか、というのが前回までの話でした。
 北海道大学の研究者たちが加わっておこなった共同研究が、2015年6月1日に発表されました。Scientific Reports誌において、
Nanodiamond Finding in the Hyblean Shallow Mantle Xenoliths
(ヒブリーンの浅いマントルの捕獲岩から発見されたナノダイヤモンド)
という論文でした。
 ヒブリーンは、イタリアのシチリア島の南東にある高原の地名です。シチリア島の東岸には有名なエトナ火山がありますが、その南側に位置しており、ピブリーンも火山地帯です。火山岩の中に含まれていた岩石からダイヤモンドが見つかったというのです。
 ダイヤモンドを含んでいた岩石は、捕獲岩でした。火山岩に含まれている起源や種類の違う岩石は捕獲岩と呼ばれます。捕獲岩は、火山のマグマが上昇してくるとき、途中にあった岩石をマグマが取り込んできたものです。ですから、捕獲岩はマグマができた位置より浅いところにあったものとなります。マグマが持ち上げてきた岩石は、マントルからのものでしたが、ダイヤモンドができるような深い場所ではありませんでした。
 捕獲岩はマントルを構成していたカンラン岩だったのですが、蛇紋岩とよばれる岩石に変わっていました。蛇紋岩は、カンラン岩が水や二酸化炭素と反応してできものです。カンラン岩が蛇紋岩に変わるとき、いろいろな鉱物が化学反応をして、最終的にメタンができ、そのメタンと二酸化炭素から炭素ができ、その炭素がダイヤモンドになったと考えられます。
 蛇紋岩中の炭素を含む物質の中を調べると、予測通りに、ダイヤモンドが見つかりました。ダイヤモンドであることは、透過型電子顕微鏡や顕微ラマン分光法などで確認されています。
 このダイヤモンドは非常に小さく、大きは2から10nm(ナノメートル、1/100万mm)しかありません。小さいサイズなので、ナノダイヤモンドと呼ばれています。通常の顕微鏡でも見えないサイズなので、工業的にも利用できるものではありません。しかし、科学においては、この発見は重要な意味をもちます。それは、次回としましょう。


Letter■ 秋から冬へ・達成感 

・秋から冬へ・
11月になり、秋も終わりそうです。
ほぼ毎日、自宅のストーブは焚いています。
大学も暖房が入っています。
いよいよ秋から冬になりつつありそうでう。
今年は少々早目の初冠雪や初雪があったので、
冬を早く訪れたように思います。
これから長い冬の季節が始まります。

・達成感・
私のゼミの4年生は、今、
卒業研究をまとめるので必死になっています。
毎週一回は添削しています。
一つの項目を書くのに費やされる苦労、努力と
少しずつ形が整ってくる感激とを
味わっていただきと思っています。
そして、達成感を味わっていただきたいと思っています。
今、4年生の授業数はなかり少なくなっています。
卒業研究や卒業論文が
選択科目になっているところもあります。
今の学生にとって受験は楽になってきているので
ひとつのことに必死に取り組む経験が
少なくなっていると思います。
そんな経験をして欲しいと思っています。


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