地球の仕組み

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Essay ■ 3_137 プレートはなぜ動くのか 5:特異か普遍か
Letter■ 連続します・人間ですから
Words ■ 北海道の寒さもピークは過ぎたようです


(2015.02.26)
 プレートがなぜ動くのか。対流しているマントルが、海洋地殻を引っ張ることによって動く、ということになりました。ただし、これは太平洋プレート北東部という限られた地域で見出された結論です。このモデルはプレートテクトニクス全体に及ぶのでしょうか。


Essay■ 3_137 プレートはなぜ動くのか 5:特異か普遍か

 小平さんたちは、今回の観測結果から、マントルが海洋地殻を引っ張るという現象を示している、という結論を導きました。また、マントルの動きは、地磁気から得られた海洋地殻から移動速度より速いこともわかったそうです。これもマントルが海洋地殻を引っ張っているということを示しています。
 小平さんたちの報告は、太平洋プレート北東部という一つの限定された地域においてなされた観測に基づくものです。さらにその地域は、海嶺の沈み込みという特異な現象を起こしているところでありました。ですから、今回の結果が地域の特異性に由来するのか、それとも普遍的な特徴なのかは、今後の検討を待たなければなりません。
 今回観測されたようなリーデル剪断は、太平洋プレートの他のところでもみつかっているようです。プレート全般でも、今回のようなマントルの海洋地殻の引っ張りが起こっているか、また地震波の方向異方性も見つかるかもチェックする必要もあるでしょう。
 マントルが海洋地殻を引っ張っているというモデルは、今までの主流の考えとは相反するものです。ですから、今回の結果が、プレートテクトニクス全般に拡大できる普遍性をもっているものなか、あるいは海嶺が沈み込むとという特異な現象が起こっている地域での限定的な現象なのか、を見極める必要があります。
 今後、小平さんたち、あるいはJAMSTECは、太平洋プレートの中央にあたるハワイ北方でも、地球深部探査船「ちきゅう」も用いた調査をする予定だそうです。マントル最上部までの掘削することを目指しているようです。そのような掘削を伴う調査には時間がかかりますが、実物試料が手に入るというのは非常に重要なことです。今後も注目していきたいものです。
 今回のこの論文に関する紹介は終わりですが、実は先日、この内容に大きな関わりのある報告がでました。その報告は、やはり従来のプレートテクトニクスの「常識」を覆すもので、今回の結論を支持するものです。続きますが、新しいシリーズとして、紹介していく予定です。


Letter■ 連続します・人間ですから 

・連続します・
今回のように連続したエッセイ(5回)を書いていると、
連載の期間は、1ヶ月ほどに渡ります。
その間、エッセイの内容に関する報告が
出ることもあります。
もともとこのエッセイは、6つの項目に分かれていて
全体のエッセイの数のバランスを考えながら書いています。
万遍なく項目を書くように心がけています。
しかし、今回は、あまりに近い内容の論文なので
連続して書くことにしました。
次なる「マントル対流」のシリーズとして続けるつもりです。
よろしければ、お読みください。

・人間ですから・
エッセイを連載を書いている時は
その間、内容について興味を維持していることになります。
そんな時に、書いている内容と関連する論文が出てくると
通常より、目につきやすくなっているはずです。
多分、今回の論文もそのような関係によって
目についたものだと思います。
まあ、人間ですから仕方がありません。
興味のあるものへと進みましょう。


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