地球の仕組み

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Essay ■ 3_130 ダイヤモンド 3:産状
Letter■ ザクザク・天候不順
Words ■ エゾ梅雨ではないが長雨の日々が続く


(2014.06.19)
 オフィオライトからのダイヤモンドは、数千個という数が見つかっています。ダイヤモンドの岩石の中での産状もわかってきました。では、オフィオライトの中でダイヤモンドがどのように形成されるのか、それが問題なのです。


Essay■ 3_130 ダイヤモンド 3:産状

 オフィオライトの中からダイヤモンドが見つかるといいましたが、オフィオライトの岩石群の中の、どのようなところから見つかっているのでしょうか。
 ダイヤモンドは、オフィオライトのカンラン岩とクロミタイトと呼ばれる岩石の中から見つかっています。
 カンラン岩とは、マントルを構成している岩石で、オフィオライトではマグマを供給した「出がらし」の(ダナイトやハルツバージャイトと呼ばれる)カンラン岩と、マグマが冷えてできた結晶が沈降してマグマ溜まりの底に層状にたまった(レルゾライトと呼ばれる)カンラン岩があります。ダイヤモンドが見つかるのは、「出がらし」のカンラン岩から多いようです。
 また、クロミタイトとは、クロム(Cr)成分に富んだスピネル(クロムスピネルと呼ばれます)という鉱物を主とする岩石です。クロミタイトは、レルゾライトのさらに下に、つまり最も早期にマグマから沈殿してできた岩石ています。時には、「出がらし」カンラン岩の中に「さや状」や「マユ状」にできることもあります。ダイヤモンドは、「さや状」クロミタイトから見つかっているようです。
 研究の過程で、オフィオライトから数千個のダイヤモンドが見つかっています。見つかる比率は、300から600 kgの岩石から数十個ほどのダイヤモンドが見つかります。サイズは0.2から0.5 mmの直径で、黄色や黄緑色などの色がついています。Ni-Mn-Coの合金の包有物の中に、ダイヤモンドが見つかることが多いようです。これは、キンバーライトのダイヤモンドとは明らかに違った産状です。
 オフィオライトのカンラン岩やクロミタイトでは、多様な金属元素の合金鉱物が見つかっています。通常岩石中では、金属元素は酸化物になっているので、金属のままであるということは酸素がないか強い還元的な環境でなければなりません。ですから、オフィオライトの中に、特殊な還元的環境が出現するような条件があったことは確かです。
 数千個という大量のダイヤモンドは、大量の岩石から分離されたものでした。岩石の中にある状態のダイヤモンドが、6個だけみつかっています。6個のダイヤモンドは、岩石の中での産状がわかるので重要な試料となります。いずれもクロミタイトから見つかっていて、ダイヤモンドのサイズは0.2から0.5 mmの直径があります。クロミタイトはクロマイトという鉱物からできていますが、ダイヤモンドの周囲は、0.5から1 mmほどのマグネシオクロマイトに取り込まれていて、ダイヤモンドの周囲には非晶質の炭素もあります。このようなクロマイトの中だけに還元的な条件が出現した産状となっています。
 オフィオライトのダイヤモンドは、上で述べたような記載からその存在は確認できました。岩石中での産状も把握されてきました。でも、事実としてわかっているのは、ここまです。
 問題は、なぜオフィオライトからダイヤモンドが見つかるのかという成因です。その推定を、次回、紹介しましょう。


Letter■ ザクザク・天候不順 

・ザクザク・
ダイヤモンドが数千個も見つかっているというのは、
ザクザクありそうですが、
大量の石を処理しているから見つかっているのです。
大量処理は、鉱業的な探し方でもあります。
研究においても目的があれば、大量処理をして
必要な試料を集めることはあります。
私はやったことがありませんが、
論文で時々見かける手法でもあります。
体力勝負の研究で、非常に労力が必要な手法でもあります。
その結果として見つかるダイヤモンドは、
サイズも小さいく、色も付いていることから、
装飾用としては向いていないのかもしれません。
鉱業としては、成立するかどうかは不明です。
ですから、とりあえずは学術的に調べていくことでしょうね。
成因や産状の広がりなどが明らかになってくれば、
鉱業的に採算がとれるかどうかもわかってくるでしょう。

・天候不順・
北海道の天候不順は、ここ1週間ほど継続しています。
天気が悪く、毎日のように
雨が降ったりやんだりしています。
梅雨明けころに、梅雨前線が北に上がって
エゾ梅雨と呼ばれる現象が起こることがあります。
しかし、今回の雨は、気温も低めで、
梅雨前線も太平洋におりているので
エゾ梅雨とは違っています。
まあ、こんな時もあるのでしょうね。


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