地球の仕組み

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Essay ■ 3_120 本源マグマ 1:火成岩の多様性
Letter■ 研究のスパイラル・いったりきたりの季節
Words ■ 今日(水曜日)は嵐です


(2013.12.12)
 大きな多様性が、少ない要素で説明できれば、その要素は多様性の本質に迫っていることになります。しかし、その要素が現実の多様性より広いものを説明しているとしたら、要素をもっと厳選すべきかもしれません。


Essay■ 3_120 本源マグマ 1:火成岩の多様性

 マグマは、地下深部で岩石が溶けたものをいいます。マグマが固まったものが火成岩となります。岩石の成因として、火成岩のほかに、変成岩と堆積岩があります。
 陸地に分布する岩石の種類を区分すると、65%が火成岩になり、27%が変成岩、8%が堆積岩となっています。これを地殻全体に敷衍していいかどうかは慎重にすべきでしょう。例えば、海洋地殻は、表層には生物の死骸が降り積もってできた堆積岩に覆われていますが、表層より下の海洋地殻の大部分は火成岩でできていることが知られています。大陸は上から降り積もる堆積岩はないため、地下まで上記の比率が利用できると考えられています。大陸だけでなく海洋も考えると、地球全体の地殻は、圧倒的に火成岩が多いといえそうです。
 火成岩は、マグマが固まったもので、火成岩の起源をさぐれることは、マグマの起源をさぐることになり、地球の種たる岩石の起源を探ることになります。起源の探求は、火成岩の研究において重要なテーマとなっています。
 火成岩の種類は非常に多様です。その多様な種類に対応するマグマがあったはず。それを網羅的に知るには、火成岩の研究のネタは尽きることはなさそうです。
 もし、あるいく種類かのマグマが、性質を変化をしながら、多様な火成岩をつくりだすのであれば、そのメカニズムを解明すれば、火成岩の起源は解決してしまいます。となれば、研究テーマが尽きるかもしれません。
 多様性形成のメカニズムの解明は、火成岩岩石学の研究テーマですが、その概略は、実はわかっています。
 マグマを生み出す素材(起源物質と呼びます)となる岩石の種類、マグマが溶けるときに起こる溶融作用、そしてマグマが固まるときに起こる結晶分別作用が重要な役割を果たします。
 起源物質の種類が違えば、それが溶けてできるマグマも違ったものなるはずです。起源物質の多様性を見極めれば溶融作用とは、マグマの溶け方で、起源物質がどのように、どの程度が溶けるのか、によってできるマグマも違ってきます。
 マグマが固まる時、いくつかの結晶ができて、沈降や浮遊していきます。するとその結晶は、マグマが分かれて(分別あるいは分化といいます)いきます。分別した結晶の分だけ、マグマの化学組成は変化していきます。分別作用が継続すると、マグマの成分の変化により結晶の種類が変わり、結晶の種類が変わるとマグマの組成変化の方向を変わります。結晶分別作用では、マグマが固まるまで起こり続ける作用です。
 これらの要因が組み合わされることによって、火成岩の多様性ができています。これらの要因から生まれる多様性の範囲は、非常に広いものです。実際の岩石にはないほどの広がりがあります。十分すぎるほどの広がりがありますが、現実の火成岩には、そこまでの多様性はないようです。そうなると、現実のマグマあるいは火成岩において、どの要因が主として多様性を生み出しているか、を見極めていく必要があります。
 それは、次回としましょう。


Letter■ 新学期・春? 

・研究のスパイラル・
多様性を多様なままとらえることも必要です。
それが個別の記載となります。
個別の記載がある程度集まってくると
多様性を生み出す仕組みを考えていくことになります。
より普遍的な要因を求めることになります。
多くの研究者がそれを目指しテーマでもあります。
要因がわかると、それを個別の自然に適用していきます。
そのようなチェックが進むと、
要因があっているか、間違っているか、
あるいは今回紹介したように、
どの要因が一番効くのかが興味となります。
こんなスパイラル、あるいはループが研究を深めていきます。

・いったりきたりの季節・
冬だと思っていたのに、
先日雨が降りました。
冷たい雨で、道路の氷があまり溶けることなく
滑りやすくなっていました。
歩くのが怖くなるような道路状況でした。
今年は、季節がいったりきたりします。
でも、冬の寒さは来ていますが。


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