地球の仕組み

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Essay ■ 3_99 大陸の成長:超大陸 1
Letter■ パラダイム転換・冬の勇み足
Words ■ まだまだ秋のはずなのですが


(2011.10.06)
  大陸はプレートによって形成され、移動し、変化していきます。そんな大陸の歴史の中で、たまたまほとんど大陸が一箇所の集まることことがあります。このような状態の大陸を超大陸と呼んでいます。今回は超大陸のシリーズです。


Essay■ 3_99 大陸の成長:超大陸 1

 プレートテクトニクスという考え方によって、大地の営み、そして生い立ちが説明されています。プレートテクトニクスとは、地球の表層が10数枚のプレートによって覆われていて、それらのプレートの運度によって大地の営みを説明しようという考え方です。
  プレートには海洋プレートと大陸プレートがあり、それら性質の違いによって、すべての地質現象を説明できるというものです。プレートテクトニクスが提唱されたころから、以前の考え方である地向斜モデルの欠点を補うだけでなく、過去のプレートが動いているという証拠が多数ありました。しかし、プレートが現在進行中の現象として、本当に動いているかどうかは、まだ示されていませんでした。それが批判、反論の最大の理由でもありました。
  今では、超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry、VLBIと略されています)によって、プレートの移動は実測されています。ですから、プレートテクトニクスは、実証されたモデルといえます。まあ、今もかたくなにプレートテクトニクスを信じない人もいますが、納得できる対案がないので、あまり説得のある反論はありません。
  海洋プレートは海嶺で新たに形成され、海溝で沈み込み、地表の物質は新陳代謝されています。一方、大陸は、海洋プレートに比べて軽い物質からできているので、マントルに沈み込むことなく、大陸プレートとして地表を移動していきます。
  大陸を構成する物質は、列島(地質学では島弧と呼ばれます)で新たな大陸物質が形成されていきます。列島の沈み込み帯では、海洋プレートからしぼりだされたを成分によって、マントル物質が溶けマグマができます。マグマは列島の成分と混じり合うことで列島固有の成分となります。列島固有の成分は、実は大陸の成分の本質でもあります。少しずつではありますが、大陸物質は増えていくことになります。
  大陸物質は、いろいろな時代に、いろいろな量、形成されていきます。ある時期には大量に形成され、またある時期には余り形成されない時期もあったようです。造山運動や火山活動、侵食、風化などの作用によって、大陸物質は変化を続けています。昔のまま、今まで残っている大陸物質はほとんどなく、変形、変質、変成など変化しています。変化は起こりますが、いったんできた大陸物質の大部分は、地表に滞留することになります。そのおかげで、地球の古い歴史まで復元することができるのです。
  大陸プレートは、割れたり、合体したり変化をすることがあります。そして、時には、ほとんどの大陸が一箇所に集まることがあります。そのような大陸を超大陸と呼びます。


Letter■ パラダイム転換・冬の勇み足 

・パラダイム転換・
今では、ほとんど地質学の論文が
プレートテクトニクスを前提に書かれています。
プレートテクトニクスが否定されると、
大混乱になることでしょう。
そのような大混乱を地質学は経てきました。
地向斜からプレートテクトニクスへの変化は、
大きなパラダイム転換の時期になりました。
1960年から起こった科学革命です。
その当時のことを、私は知りませんが、
しばらくあとの1980年前後、私がいた時期の大学には
まだ科学革命の名残がありました。
科学革命では、流血こそしませんが、
人間の営みですから、いろいろ軋轢、不和、怨恨なども生じます。
それらの心模様は、弟子の世代まで残ることもあります。
科学の場は、純粋に論理だけですから、
そのような痕跡は表面上は消えていますが、
心の問題は、なかなか消えないようです。

・冬の勇み足・
北海道は、先週末から急激に寒くなりました。
近くにみえる山並みには初冠雪があり、
平野にも、みぞれやあられが降りました。
今年の冬は、例年より少々早めのようです。
まだ紅葉は済んでいないのに、
寒さが一気にきました。
もっと秋を楽しみたいのですが、
冬の勇み足でしょうか。


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