地球の仕組み

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Essay ■ 3_83 プレート:マントル1
Letter■ 燃料電池・地質学を背景に
Words ■ 勝負は得意なところで


(2010.03.11)
  今回から、地球のマントルについて紹介していきます。案外、知っているようで知らないマントル、分かっているようで分かっていないマントルではないでしょうか。そんなマントルの実態を、新知見とともに紹介したいと考えています。まずは、基礎的なところからはじめましょう。


Essay■ 3_83 プレート:マントル1

 マントルは、地球内部を構成する主要な部分となります。マントルを紹介する前に、地球の層構造から説明していきましょう。
  地球を構成しているものは、重いものは下、軽いものが上という順に整然と配列しています。地球の構成物で一番軽いものは、大気で、次が海洋です。そして岩石が次にあります。岩石もその密度によって、大きいものが下、小さいものが上となっています。軽いものは、花崗岩の仲間で大陸地殻をつくっています。次が玄武岩の仲間で海洋地殻を構成しています。そしてカンラン岩の仲間がマントルを構成しています。一番重いものが、鉄を主成分とする核(コア)となります。
  地殻は平均的には海洋地殻が6km、大陸地殻が30〜40kmで、地球の半径の6380kmからすると非常に薄く、体積でも1.4%にしかなりません。地球を大雑把に見ると、固体の岩石と鉄からできている星であるといえます。
  深さ約2,900kmまでカンラン岩のマントル、それより深いところでは鉄の核となります。体積でみるとマントルは83%、核が16%になりますが、核が一番密度が大きいため、質量では、32%ほどになりますが、それでもマントルの67%の半分程度です。マントルは、地球の主要な構成物といえます。
  3000kmほどにわたるマントルでは、深くなるとともに、岩石にかかる圧力が増し、そして温度も上昇していきます。物質に温度圧力が加わると、結晶構造や物性が変わることがあります。カンラン岩でも物性の変化が起こります。
  深さ約100kmまで、マントルの岩石は、固く、力が加わると割れたり壊れて(塑性(そせい)と呼ばれます)しまいます。つまり、上部マントルの最上部と地殻は、ひと塊の硬い岩石の板(プレートと呼ばれます)として振舞います。このような地殻とマントルの最上部をあわせてリソスフェア(岩石圏)と呼んでいます。
  プレートは一枚ではなく、十数枚に分かれています。それぞれ名前が付けられ、その多くは、運動の方向やスピードも実測されています。その境界部は、プレートが上昇し新しいプレートが形成され広がっていく境界(中央海嶺)と、、冷めたプレートがぶつかりあう境界(沈み込み、衝突)、プレートの動きによって無理な力がかかり割れてしまった境界(トランスフォーム断層)ができます。それぞれの境界で、地球の激しい活動として、火山、地震、大地の上下運動、断層などが起こります。
  このプレートの動きを、地球表層の大地の変化を引き起こす原因として構築されたモデルが、プレートテクトニクスです。
  プレートテクトニクス1960年代後半以降に発展し説ですが、その当時はマントルの対流運動の実態は見えていませんでした。地表付近の地形や現象によって構築された仮説でした。
  100kmより深くなると、マントルは可塑性を持ち、長い時間をかければ流動性を持つようになり、アセノスフェア(岩流圏)と呼んでいます。このアセノスフェアが地球内部の熱を地球表面に伝える、地表で冷めたプレートが再び地球深部にもどるという動きが、プレートテクトニクスの原理となります。続きは次回としましょう。


Letter■ 燃料電池・地質学を背景に 

・燃料電池・
前回のシリーズでは、何人かの方からメールをいただきました。
私が知らないことを、数人の方から
ご教授いただきました。
前回、Sakさんへの返事を一部を紹介しましたが、
Tabさんからも、燃料電池について、
詳しく紹介いただきました。
今回は、私からのTabさんへの返事の一部を
少し長くなりますが、紹介します。

「では、エネルギー問題を解決するのは、最終的には、核エネルギーでしょう
か。核分裂炉と核融合炉、あるいはより効率的な高速増殖炉がその最終目標で
しょうか。送電ロスを考えると、都市部近郊に設置された原力発電所で大規模
なエネルギー供給をおこなうのがいいはずです。人口密度の低い地域では、水
力、風力、太陽発電などの複合的な発電システムが必要でしょう。そのために
は、科学技術をもっとすすめ、効率と安全性を高める必要があります。できれ
ば、すでに人工衛星には利用されてきましたが、地球上では車などの乗り物に
搭載しても安全性を確保できればいいのですが。エネルギー規模と送電ロスな
どを考え、ベストの原子炉と送電システムを考えればいいでしょう。
  でも、このような「もっとエネルギーを」という考えは、どうしても経済的
発展への希望が背景にある気がします。少ないもので足るを知ること、幸福感
は金銭や便利さだけでは生まれないことも知る必要があると思います。そのた
めには、教育が重要になると思います。
  子供たちをみていると、決して金銭で買えるもの、便利なものだけでなく、
いろいろなものに興味を持ち、それを楽しんでいます。単純な昔ながらの鬼ご
っこにすら、彼らは大いに楽しみを覚えています。それは、彼らの幸福感に繋
がっていると思います。こんな気持ちを大人も持っていれば、幸せになれると
思います。
  額に汗して働くこと、作物を作ること、人が喜ぶような仕事をしてあげるこ
と、・・・・・。ところが、現状は、儲けること、利益をあげること、いい家
にすむこと、いい服をきること、最新の電子機器、家電、車を持つこと、に幸
福感があると錯覚しているように思います。そのような精神的な偏りを何とか
し行くべきであるというのが、私の現在の結論です。理想主義かもしれません
ね。」

・地質学を背景に・
環境問題の一つの原因でもあるエネルギー問題を
本エッセイで取り上げました。
何度も書いたのですが、
今まで触れないことにしてきました。
しかし、今回あえてそれの禁を破り
エッセイにしました。
やはり多くの方が興味をお持ちのテーマであるため、
反応も今までなくありました。
特に識者の方の反応は、
私にとっては刺激的でした。
別に嫌な思いをしたわけではないのですが、
専門外のところで話をすると、
どうしても、解決案も理想主義的で、
実態が伴わないものになってしまいます。
その当たりを読者はいかがに感じられたでしょうか。
やはり地質学を背景にしたエッセイにしていきたと思い
今回はマントルにしました。
少々古いかもしれませんが、
いくつかの新知見を交えて紹介するつもりです。


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