地球の仕組み

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Essay ■ 3_77 高温のマントル:コマチアイト3
Letter■ 感傷に浸る・長男の成長
Words ■ できたてはアツイ。冷める前に打て


(2008.07.16)
  コマチアイトの起源をさぐっていくと、太古代のマントルに異常な高温域があったことが分かってきました。そもそもコマチアイトが火山として噴出するには、はやりマントル全体が高温でなければなりません。その熱のもとは、地球の形成時に蓄えられたものでした。


Essay■ 3_77 高温のマントル:コマチアイト3

 コマチアイトは、マントルが大きな部分溶融をしためできたことがわかってきました。マントルの部分溶融の程度を増やすには、通常より温度が高ければいいのです。温度が高ければ、よりたくさんのマントルが溶けます。
  地球のマントルですから、いくらでも上げるというわけにはいきません。地球史上、あるいは地球熱史上、許される範囲があるはずです。岩石を溶かしてみる実験などで、その溶ける温度を推定することができます。コマチアイトのようなMgOの多いマグマは、非常に高温(1650℃以上)の条件で形成されます。もちろん、この温度は、現在のマグマのできる温度よりかなり高いものです。
  ところが、これほど温度が高くなくても、部分溶融の程度を上げることができます。それは、溶けるマントルに少量の水(重量比で3〜5%)があれば、部分溶融の程度を増やすことができます。コマチアイトができたマントルに水があったのか、なかったのかによって、想定されるマントルの温度も変わってくることになります。
  イギリスのベリー(Berry, Danyushevsky, O'Neil, Newville & Sutton)らは、その問題を解決したという論文を、昨年(2008年)の10月にネイチャーという雑誌に発表しました。
  ベリーらは、ジンバブエの27億年前のコマチアイトを使いました。カンラン石の結晶の中に閉じ込められているメルト(液体という意味)を見つけて、分析しました。このメルトは、結晶の中に取り込まれているので、包有物(インクルージョン)と呼ばれています。メルト包有物とは、カンラン石が結晶化するとき、つまりカンラン石ができるときのマグマが取り込まれて、そのまま保存されたものです。つまり、コマチアイトのマグマそのものです。メルトとはいっても、現在はガラスになっています。
  もしカンラン石が変質していなければ、メルト包有物も、もとのままの状態で保存されているはずです。そのような包有物を見つけて、ベリーらは、鉄の酸化状態(すべての鉄の中で3価の鉄イオンの占める比率)を調べました。すると、マグマの鉄の酸化の程度は非常に低く、現在の中央海嶺の玄武岩と同じだということがわかりました。このような低い酸化度は、海嶺玄武岩のように非常に水の少ない環境(重量比で0.2〜0.3%)でできたと推定されました。
  以上のことから、コマチアイトは、1700℃ほどの高温の条件で、マントルがたくさん溶けてできたことになります。1700℃は、マントルでも異常な高温ですが、このような異常に温度の高いマントルが、太古代にはあったことになります。
  通常は、地表近くまでマグマが上がってくると、冷却にともなってカンラン石ができてマグマから取り除かれ、MgOの濃度は下がっていきます。しかし、コマチアイトは溶岩として地表に流れ出ています。これは、昔の地球内部が、今よりももっと温度が高かった可能性を示しています。なぜ高温であったのでしょうか。
  案外簡単に答えは見つかります。その答えは、地球が熱い状態からスタートしたからです。材料となる小惑星が衝突合体しながら、地球は形成されました。衝突時にはその場はものすごい高温状態になります。地球の内部に蓄えられた熱は逃げにくく、熱くなった地球はなかなか冷めません。そんな地球の誕生のシナリオが描かれています。その名残の熱は、今も地球内部に蓄えられています。ですから、太古代には、地球形成時の名残の熱がまだ十分に残っていたのです。
  コマチアイトのスピニフェクスには、そのような意味があったのです。


Letter■ 感傷に浸る・長男の成長

・感傷に浸る・
先日、写真を整理していました。
すると、ついつい写っているときのことを
思い出してしまいます。
つまり感傷に浸っているのでしょう。
それはそれで楽しいのだですがが、
ついつい見入ってしまいます。
たまたまその作業は仕事として行っていたのですが、
気づくと結構時間がたってしまっていました。
結局他の仕事へのしわ寄せがいきます。
感傷に浸ることも、自分の首を占めているのですね。

・長男の成長・
長男が自分自身の進路について考え始めました。
先日、進路について今までとは違う考えができたようです。
なぜ変更したかを聞いたら、
その理由を忘れたといいます。
そんな大事なことを忘れるとは信じられないのですが、
まあそれは、今度思い出しておくといってます。
それより、自分自身のことを、刹那的な思いではなく、
親の許容条件、自分の能力、嗜好、夢など
いろいろな条件を考え、客観的に考えることが
少しはできるようになったのでしょうか。
それとも単に、刹那的な心変わりなのでしょうか。
自分自身のことを、深く考えられるようになったのであれば、
これは成長とえいます。
次は親を乗り越えるためのステップへと進むのでしょう。
そうなると私がそれにどこまで対抗出るのでしょう。
できるだけ大きな壁になっていこうと考えていますが、
どれだけ立ちはだかられるでしょうか。
あっさりと、かわされるかもしれませんが。
まだ、少ししか話していないので、
長男の本心はわかりません。
もっと話をしていく必要がありそうです。


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