地球の仕組み

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Essay ■ 3_67 小さいのに多様:日本列島の石2
Letter■ 日本の役割・季節は巡る
Words ■ 北国ももうすぐ春ですね


(2008.03.13)
  地球の表面は、大気(気体)か海洋(液体)が覆っています。しかし、固体としての地球は、岩石が主役になります。日本列島は本当に多様かどうか、他の地域との比較によって比べていきましょう。


Essay■ 3_67 小さいのに多様:日本列島の石2

 日本列島は、地球の全表面積からすると、非常にささやかな存在にすぎません。そのようなささやか列島が、なぜ、多様な岩石からできているのでしょうか。まず、多様さを確認しておきましょう。
  地球の3分の2を占める海からみていきましょう。海は液体ですから、海底から下が固体部分となります。海底の主体は、海嶺で形成された火成岩からできています。その火成岩は、海底では噴出して火山岩になり、深部では深成岩になります。海嶺では常にマグマが活動してて火成岩が形成されますので、古い海底の岩石は、海嶺の両側に押しやられます。
  海面近くに棲息しているプランクトンは死に、その遺骸が海底に降り積もります。遺骸がでる量は少ないのですが、時間と共に着実にたまってきます。ですから、古い海底にはウーズとよばれる生物の遺骸からできた堆積物、深部ではそれが固まったチャートと呼ばれる岩石が覆っています。地球の大半を占める海底が、このようなかなり単調な成因の岩石からできていることになります。
  目を大陸に移すと、列島とは比べ物にならないくらい雄大な景色が見られます。アメリカ大陸は、中部から西部にかけては、雄大さの典型ではないでしょうか。中部は広大な大平原が広がります。その地下は、長い年月をかけてたまった堆積岩からできています。西部のロッキー山脈になると標高が上がり、堆積岩が河川の侵食を受けています。ロッキー山脈の中にあるグランドキャニオンは、日本人には想像もつかないほどの大きな川と侵食地形が見られます。削られた谷の断面では堆積岩がきれいな地層を見ることができます。グランドキャニオンの北にはイエローストーン国立公園があります、イエローストーンは火山活動の活発なところで、今でも温泉や噴気がでています。グランドキャニオンから西に向かうとシラネバダ山脈があります。そこには有名なヨセミテ国立公園の渓谷があり、その巨大な渓谷を構成するのは花崗岩です。その花崗岩が、氷河によって削られたもの雄大な渓谷となっています。すべてが巨大です。
  大陸の雄大な景観も、同じ成因の岩石類からできています。広大な範囲が同じ成因の岩石からできているのです。大陸や海底では、似た成因の岩石からできることのほうが、地球では一般的なのです。
  それと比べると、小さな日本列島に実に多様な成因の岩石があります。これは、やはり特別なことだと考えられます。他の地域でも同じような多様性が見られるのでしょうか。実は、いくつもあります。もちろん多様であるために、日本列島と同じものはありませんが、似たような多様性をもつ地域があります。
  そのようなものは、アラスカのアリューシャン列島、カムチャッカ半島、インドネシアの大スンダ列島、中央アメリカの西インド諸島や大アンチル諸島などがあります。すべてに共通しているのは、海溝が近くにあることです。もちろん日本列島も海溝に面しています。千島・カムチャッカ海溝、日本海溝、伊豆小笠原海溝、東海トラフ、南海トラフ、南西諸島海溝などが平行しています。
  どうも日本列島の多様性は、海溝が重要な役割を果たしているようです。


Letter■ 日本の役割・季節は巡る

・日本の役割・
地質学は、欧米、特にヨーロッパで発展してきたものです。
欧米は、大陸に属しますので、単調な成因の岩石が分布する地域です。
ですから、列島の多様さは、あまり考慮されずに地質学が進んできました。
明治以降、日本では多くの地質学者が調査研究をしてきました。
その結果、列島は、大陸とは違う特殊なところだということがわかってました。
現在では、大陸の形成において、
列島が重要な役割を果たしていることもわかってきました。
小さな列島ですが、地質学では、重要な役割を担っています。
また、日本の研究者もその役目を果たしているのです。

・季節は巡る・
大学は入試の後半と卒業を迎えています。
北海道も暖かい日が続いて、雪解けが進んできました。
先日は雨が降りました。
冬は北海道では傘を持ちあるかないので、皆少々戸惑っています。
しかし、長く待ち望んだ春が、もうそこまで来ました。
今年の冬は前半は暖冬でしたが、後半に大雪が何度もあり、
積雪は例年を上回ったようです。
それも、もう過ぎたことです。
まだ何度も雪は降るでしょうが、季節は確実に巡っています。


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