地球の仕組み

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Essay ■ 3_59 皆既月蝕
Letter■ 人間の目・秋の気配
Words ■ 今回の天文ショーは楽しめましたか?


(2007.08.30)
  月蝕が天文ショーであることは、多くの人が知っているはずです。月蝕の情報は、テレビや新聞のニュースで流れるので、一度ならず月蝕を見たことがある人も多いでしょう。しかし、皆既月蝕を見るチャンスは、人生において実はそうそうないのです。


Essay■ 3_59 皆既月蝕

 2007年8月28日の皆既月食を、ご覧になったでしょうか。日蝕は地球の限られた地域でしか見ることができませんが、月蝕は夜の側であれば地球のどこからでも、肉眼で見ることができます。ですから、比較的多くの人が経験できる天文ショーです。
  今回の月蝕は、本州や四国では雲があって見えなかったところも多かったようですが、幸いにも私が住む北海道は快晴で見ることができました。九州でも天気が良かったようですし、本州でも雲の切れ間から見られた方といるようです。
  今回の皆既月食は時間帯が早かったので、多くの人が見るチャンスができ、家族でも楽しむことができました。逆に早い時間帯だったので、明るさの残った空でやや見づらく、地平線から低いところで障害物があったり、大気の影響を受けることがハンディにもなりました。
  月蝕とは、月が地球の影に入ることです。つまり、太陽、地球、月の順に一列に並ぶことです。もともと満月であるのに、短時間で満月が欠けて、またもとに戻っていきます。
  月は約一ヶ月で地球を一周しています。ですから、満月のたびに、地球の影に入るなるはずなのですが、実際にはそんなに頻繁に月蝕は起こりません。月が地球をめぐる面(軌道面)が、地球が太陽を巡る面(公転面)と一致していないためです。月の軌道は、公転面に対して5.1度傾いています。ですから、満月のたびに月蝕が起こるわけではありません。普通、月蝕は年に2度ほど起こりますが、少ない時には1年に一度もないこともあるし、多いときは3回起こることもあります。
  月が地球の影の中に完全に入るのを皆既月食といいますが、一部分だけが欠ける部分月蝕の方が多く起こることになります。天候も必ずしも晴れるとは限らず、札幌では20年以上も皆既月蝕は見られなかったそうです。いろいろな条件によって、皆既月蝕を実際に自分の目で見ることができるのは、人生で数回程度のチャンスになるようです。以前も家族で部分月蝕は見たことがあるのですが、皆既月食を今回見ることができたのは、非常に幸運だったのでしょう。
  今回の皆既月食は、皆既状態になったとき、本来なら光の当たらない影の中に入るのだから、真っ暗で見えないはずなのですが、赤茶色にぼんやりと明るくみえました。これは、地球にある大気のためです。
  地球の大気を通り抜ける光は、少しですが屈折して影の中に回り込みます。そのとき、夕焼けの同じ原理で、大気の中を通り抜けた光のうち、青い光は散乱して、赤い光が通り抜けやすくなります。そのため、赤っぽい光が、月面をぼんやりと照らします。
  日蝕と違って皆既月蝕は長い時間続きます。月は地球から38万km離れているのですが、そのあたりで地球の影の大きさは、月の直径の約2.7倍になっています。ですから、6時52分から8時22分まで長時間、皆既の状態になっています。その後少しずつ月が現われていきます。
  今回の皆既月蝕は、我が家では家族全員で、自宅の窓から、何度も眺めることができました。こんなチャンスは早々ないとすれば、次回の皆既月食は2010年12月21日ですが、家族全員で見ることのできるのでしょうか。


Letter■ 人間の目・秋の気配

・人間の目・
夕食後、月蝕がみることができるか、家族で窓から眺めてみました。
するとちょうど皆既になる直前で、ほとんど欠けている状態でした。
その後、7時前に見たら皆既になって、赤銅色に淡く輝く月になっていました。
皆既で淡く輝く月をコンパクトデジカメで気軽に撮影したのですが、
やはり失敗していました。
手ブレではなく、暗すぎて光が不十分だったらしく
何も写っていませんでした。
その後8時半頃には皆既が終わっていたので、
同じ条件で撮影してみたところ、そちらは撮れていました。
それほど明るさが違っていたようです。
人間の目は暗いところになれると、本当は暗くいはずなのですが、
目の感度がいいため、淡い光が見えてしまうのですね。
デジタルカメラの無能さより、人間の目の性能の良さに驚かされました。

・秋の気配・
ここしばらく北海道は快晴が続いています。
朝夕の涼しくなるですのでが、昼間が暑い日となります。
しかし放射冷却のため、早朝は、
あまりの涼しさに上着を着てくるようになりました。
8月末だというのに、午後は研究室が暑くなります。
西日が差し込み始める3時を過ぎると、
研究室が暑くなって耐えられなくなり、早々に帰宅してしまいます。
午前中は非常に快適なので、仕事がはかどります。
8月後半から準備を始めていた論文が快調に進んでいます。
また、自宅も夕方まで暑いのですが、夜になると涼しくなり、
寝る前には寒くなり窓を閉めなくてはなりません。
秋の夜風のようです。
もう朝夕は秋の気配が出てきました。


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